毎月の給与から控除されるもので、法律によって定められているものとしては、健康保険料、介護保険料(ただし40歳から64歳までの従業員)、厚生年金保険料、雇用保険料などの「社会保険料」と、源泉所得税、住民税などの「税金」とがあります。
社会保険料は、それぞれ保険料額表と呼ばれるものがあり、報酬額に保険料率をかけた金額が保険料として決められていて、会社と従業員で基本的には半分ずつ(雇用保険料は若干異なる)を負担することとされており、このうちの従業員負担分が、毎月の給与から天引きされます。
例えば、毎月の給与が20万円だとして、現行の厚生年金保険であれば、月額保険料が全額で34,948円、会社負担額と折半した本人負担額は17,474円となります。賞与が支給された時も、賞与額に応じた保険料が別途引かれます。
健康保険は、加入している保険組合や保険の種類によって保険料率は異なりますが、基本的な計算のしかたは、厚生年金保険と同じです。
雇用保険は、一般的な業種あれば、全額で年収(残業代なども含む)の1.35%、うち従業員負担分は0.5%で、これが按分されて毎月天引きされます。
所得税は、所得の額に応じて5%~40%の税率が定められていますが、毎月の給与からは、概算の税額が源泉所得税として天引きされ、過不足があった場合は、年末調整によって金額調整をします。
住民税は、住所のある市区町村に納める税金で、所得税と同様に毎月の給与から天引きされます。税率は市区町村によって異なり、税額は前年1年間の給与総額をもとに算出されるので、社会人1年目は、徴収されない人も多いと思います。
それ以外に、各会社で控除項目が定められている場合があります。社宅費、親睦会費、財形貯蓄、社内預金、団体生命保険料、労働組合費、貸し付けの返済金などがこれにあたります。
控除されている金額は、給与明細に記載されますので、それぞれ確認をしてみてください。
一概には言えませんが、だいたい額面年収の75~80%が手取り額だと考えると、おおむねの目安になると思います。
初任給をもらったとき、そこから控除される金額が多いことに驚くかもしれませんが、これらを納めることは国民の義務でもあります。そんなことも含めて、お金の管理は計画的にされると良いと思います。
小笠原隆夫さんプロフィール(http://profile.ne.jp/pf/unity-support-ogasawara/)
IT企業出身の人事コンサルタント。2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表を務める。システム開発会社でのSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、組織が持つ特性を的確に見据えた人事制度策定、採用活動支援、人材開発、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングをさまざまな企業に対して行っている。パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。