作成された文章の形は、以下の2通りに分かれる傾向があります。
(例 「あなたの長所は?」で作成された自己PR)
(A)私は試合に臨むにあたり、過去の対戦結果を調べ、可能であれば相手の試合を観戦し、弱点を研究しました。……この結果、チームの3部から2部への昇格に貢献できました。これらのことから、私の長所は○○です。 |
(B)私の長所は○○です。この長所を特に発揮したのはサークル活動でのことです。私は試合に臨むにあたり、過去の対戦結果を調べ、可能であれば相手の試合を観戦し、弱点を研究しました。……この結果、チームの3部から2部への昇格に貢献できました。 |
違いは、設問に対する結論記入の位置です。
(A)は結論が文末に、(B)は冒頭にあります。(A)は文章として根本的におかしいわけではないのですが、仕事では「まず結論を示し、後に説明を加える」姿勢が重視されますので、(B)のように結論先行で作成するようにしましょう。
詰め込むアピールネタが多い人ほど、時に陥る文章作成ミスがあります。それは、前半と後半とで内容がずれてしまうケースです。
(前半)最先端の研究機関で科学に触れる貴重な経験を得たいとの思いから、1か月の留学プログラムに参加しました。このプログラムには世界中から学生が参加しており、使用言語は英語でした。当初、私の英語力では付いていけず、チームの足を引っ張り、申し訳ないという気持ちから萎縮しがちでした。しかし、このままではダメだと考え、私のモットーである「七転び八起き」精神で頑張ることにしました。 (後半)「七転び八起き」が私のモットーとなったきっかけは受験の失敗です。全て不合格との結果が出てしばらくは何も手につきませんでしたが、家族の応援などもあり乗り越えることができました。失敗しても、躓いてもいい。大切なのは、逃げずに挑戦する今を送ること。この考えが私の軸となっています。 |
上記の例文では、留学の話をしているのかと思ったら、急に受験の話になってしまいましたね。これでは、「あれ、いつの間にか話が変わってしまっている」と読み手は混乱し、「仕事上の報告もが分かりにくい内容になりそうだ」とのマイナス印象を持たれてしまいます。
例文の場合、後半の後に、再び留学に話題を戻し、どう頑張り、どう乗り越えたか?を加えれば、文章として整う可能性はあります。ただ、この場合でも、後半を大幅に削り簡潔にする必要があります。どんなエピソードを軸に、何を伝えたいのか、テーマを一貫して通すことが重要です。
今回、紹介した注意点は、どれも、「見直す」「下線を引く」「下書きをする」といった単純作業や、「他者にチェックしてもらう」ことで容易に回避できます。怠らずに実践してください。
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文・岡 茂信
<著者プロフィール>
岡 茂信 (おかしげのぶ)
現在東証1部の情報システム開発企業での採用選考経験を元にジョブ・アナリストとして独立。大学及び就職イベントでの講演、有名企業に対し採用アドバイスを実施。著書に「就職活動がまるごと分かる本」「エントリーシート完全突破塾」「適職へ導く自己分析」がある。また、「岡茂信の就活の根っこ」(http://ameblo.jp/okashigenobu/)で就活の土台となる旬な情報を発信している。