自分が進むべき業界を絞り込み、職種や条件を考慮して、最終的に就職したい会社を決定するのは、当たりまえのこと。しかし、業界研究、企業研究をすればするほど「自分はいったい何をしたいのか」「どんな会社に入りたいのか」といった根本的な問題で足踏みをしてしまう学生もいるでしょう。限られた時間の中で、妥協も後悔もせずに前向きな就活をするには、どうしたらいいのでしょうか。
妥協して望まない会社で働くことだけは避けたいという人は、まず、「どんな会社で働きたいのか?」ではなく、自分が「何を望まないのか?」をできるだけ具体的に考えることからスタートしてみましょう。知名度の低い会社では働きたくないのか? 賃金の安い会社では働きたくないのか? その場合、知名度とはどの程度なのか? 安い賃金とはいくら以下の事なのか。できるだけ具体的に考えることが大切です。そうやって自分の中に明確な物差しを作ることで、自分がそれほどこだわっていないものが分かってきます。自分は賃金がよければ会社の規模にはこだわらない、あるいは出版界に入れるならば勤務地はどこでもいいなど、絶対に妥協したくないという部分と、そうでもない部分があることに気づくはずです。
志望する業界や企業を絞り込むことができたとしても、残念ながら必ずその企業に入社できるとは限りません。結果として、自分が望まない企業からしか内定をもらえなかったとして、その会社に入社することになったとしても、"ある視点"を持っていればそれは妥協にはならないのです。"ある視点"とは何か? それは中途でもいいので志望した業界や企業に進むことを諦めないことです。今の時代、転職は珍しいことではありません。新卒では無理だったとしても、それはちょっと寄り道をしただけで、いつか本当に自分が望む道に進めばいいだけの話だと考えてみましょう。
本当の妥協とは望まない会社に行くことではなく、自分自身の夢や希望を諦めて、楽な道を選ぶことです。現時点では「叶わない夢」でも、いつか叶えるという「前向きな妥協」ができるかどうかが、大切なのです。
文●imago