面接で自己紹介や自己PRをする際、アルバイトの経験を例に出して話を展開していく人が多いと思います。
本来は、学業を通じて学んだことを語るのが一番良いのでしょうが、実際に「大学で勉強ばかりしてました!」という人は少ないでしょう。それくらいアルバイトは一般的なので、その経験をベースに話を展開していく人が多いのもうなずけます。
むしろ、面接の場でアルバイトについて話をしない場合、 「これまでにどんなアルバイトをしましたか?」 と面接官から直接聞かれることもあるかもしれません。
私の場合、これまでたくさんの就活生の方の面接をしてきましたが、自分からアルバイトの経験を聞くようなことはほとんどしませんでした。個人的に、社会人として仕事ができるかと、アルバイトの経験値は相関性がないと思っているからです。
ですが、
「大学で勉強ばかりしてました!」という人や、技術職採用で、たまに見かける典型的な理系の人を面接するような時は、状況によってアルバイトの経験を確認することがあります。
なぜかというと、こういったタイプの人は、机上論好きというか、浮世離れしてるというか、 民間企業に勤めて利益を上げることにリアリティを持っていない人が稀(まれ)にいるからです。
■ ■ ■
むかし『クイズダービー』というテレビ番組がありました。
内容は、クイズ回答者5人の中で正解するであろう人に自分の持ち点を賭けて、最後に残った点数で勝敗を競うクイズ番組です。
その回答者の中に某大学の教授さんがいましたが、これが浮世離れしていて、なかなか正解しない。だから、かなりの高倍率。専門知識はかなりあるのでしょうが、クイズダービー的には大穴の役割でした。
要するに何が言いたいのかというと……、
学者タイプの人を面接していると、
・働いてお金を稼ぐという、常識の価値観を持っていないのでは?
・お金を稼ぐということに嫌悪感を持っている可能性があるのでは?
と疑ってしまうことがあるのです。
そういった人の価値観を確認する意味で、アルバイトの経験について尋ねたりします。
学生が、アルバイトのエピソードを持ち出す場合は、陥りやすい勘違いがあります。それは、
・アルバイトでスゴイことをした!
・バイト先の人に頼りにされていた!
・変わったバイトをした!
などといった、話に注力することです。
私自身も学生時代にアルバイト経験があるから言えますが、一つのアルバイトを長くやっていれば、他のバイトの人を統括したり、社員がするような仕事を一部任されたりすることがあります。
そういった経験を得意気に話す人がいますが、バイトはバイト。社員の領域を超えることはできないはずですし、万一超えたとしても、これから面接する企業にとってプラスになるとは限りません。
バイト先の企業の本質や奥深さは、なかなか見えにくいものです。本人は、いかに有能な人間だったかをアピールしているつもりでしょうが、面接官にしてみれば「それはすごかったね。」で終わってしまいます。
バイト経験は有能かどうかを図る尺度にはなりません。
・社員をはじめ、一緒に仕事をしている人から、どういうことを学んで自分の糧にしたか?
・バイトなりに任された仕事について、なぜその仕事をしなければならないのか?
・その仕事はバイト先の企業にどういう効果をもたらすのか?
など、
「本質を理解することに努めた」ニュアンスを話に含ませた方が、自己PRになります。
これはとても難しい作業ですが、アルバイトの経験をエピソードに利用しようと考えている人は、今一度自分の話が単なる自慢に終わっていないか確認してみてください。
文・コンテンツ提供●安藤恒久
【プロフィール】
東京農工大学農学部卒。その後福山大学大学院工学研究科修士課程修了。1996年、大手飲料食品メーカーに入社。主に経営部門で会社組織運営に携わる。その後は、ブライダル業界に転身。管理部門の責任者として株式公開業務担当。以降、雑貨商社、IT、教育など多様な業界で事業構築を行う。2005年6月から始めた、「会社側の本音」と「就活生の自信構築」をコンセプトに書き連ねたブログ『会社サイドの就活日記 ~面接は怖くない!企業と面接官の本音を知ってください!~』は毎年 数多くの就活生や新社会人のバイブルとして支持されている。
『会社サイドの就活日記 ~面接は怖くない!企業と面接官の本音を知ってください!~』
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