【知ってた?】腕時計の中には「水晶」が入ってる!

【知ってた?】腕時計の中には「水晶」が入ってる!

2015/06/25

就活の悩み・疑問

【新・業界研究】身近なモノにまつわる秘話を公開!

ニッポンもの物語[時計編]

時計、ペットボトル、鉛筆、ガム、ノートパソコン……我々の日用品はすごかった! ちょっとためになって、就活にも役立つ? 当たり前のモノにひそむ物語をご紹介します。第3回は「時計」です!

■古代人は地面に棒を挿した

思えば、なぜ時計は時計回りに回るのでしょう。
答えは簡単。古代、時の流れを知る最も簡単な手段は日時計でした。そして、地面に棒を立てると、北半球の場合、棒の影が右回り……いわゆる時計回りに動くのです。もし時計が南半球のアフリカやオーストラリアで発明されてたら、時計は左回りだったかもしれませんね。

■時計が「振り子」だったわけ

では次に、昔ながらの振り子時計はオランダ人のクリスチャン・ホイヘンスによって発明されましたが、その原理となった「振り子の等時性」はイタリア人のガリレオ・ガリレイによって発見されました。

1583年のある日のこと。ガリレオはピサの大聖堂で、天井に吊るされたランプが揺れているのを目にし、ある事実に気付きました。ランプが勢いよく大きな振れ幅で揺れている時も、勢いを失ってゆっくり小さな振れ幅で揺れている時も、振り子が行って、戻ってくるまでの時間(周期)は変わらない……。この時発見された原理を「振り子の等時性」と呼びます。

発見のエピソードがあまりにドラマチックなので、後の世の人の作り話という説もありますが……いずれにせよこの原理により、振り子の長さを調整し、振り子につながった歯車で針を動かす「時計」が誕生したのです。

■賢い「クオーツ時計」は日本製

さらに進化したのが「クオーツ時計」。「クオーツ」とは「水晶」という意味で、実際に、皆さんの腕時計の多くには、非常に小さな水晶が入っているんですよ。

水晶は、電圧をかけると揺れる(振動する)性質があります。そして現在の時計に入っている水晶は、電池の1.5Vの電圧が加わると1秒に32,768回揺れる(振動する)よう、精密に加工されているのです。ちなみに32,768は2の15乗。32,768Hzを1/2分周(2で割る)を15回繰り返すと1Hzになり、正確な時計の信号になるので、このような中途半端な数に設定されています。ちなみに振動数が高い(大きい)のは、何かの拍子に1回(Hz)誤差が出ても、1/32,768というきわめて少ない影響で済むからです。我々が日常的に使っている腕時計の中でも、小さな水晶が1秒に3万回以上揺れているなんて驚きじゃないですか?
そして、1969年にこれ(水晶腕時計)を開発したのは、日本のメーカー「セイコー」。 セイコーは5年前の1964年に卓上型の水晶時計を発売し、同年の東京オリンピックで初めて競技計時時計に使用されました。それまでは、計測タイムに対するクレームが多かったのですが、セイコーが開発し正確で信頼性の高い水晶時計や電気計測システムの開発によって、計測タイムのクレームがゼロになり、世界から絶賛を浴び、以降の世界のスポーツ計時システムの標準となっていきました。これはセイコーが、日本の威信をかけクオーツの技術を間に合わせたからなんです。セイコー、えらい!!

■人間の頭くらいの巨大な時計部品!?

こぼれ話もあります。セイコーはプリンターや半導体も作っていますが、ともに時計の精密加工技術が元になっています。精密だからこそのこぼれ話もありますよ。通常、機械の図面はミリ単位で書きますが、セイコー社員に聞いた話によれば、同社の「1」は100分の1ミリを指します。社内には「昭和の頃、部品メーカーさんにこれを伝え忘れ、人間の頭くらいある巨大な腕時計の部品が納入された」という笑い話も残っているとか。それくらい、他の産業とは隔絶した精度だったんですね。

水晶時計が一番精度が高いのでしょうか? いや、もっと正確な時計があります。 現在、もっとも正確な時計は原子時計で、世界標準時や日本標準時の元になっています。日本では情報通信研究機構という独立法人が正確な時間をテレビ放送のように全国へ流しているんですが、ここが持っている時計は「セシウム原子時計」で、10万年以上動かしても1秒も狂わない、といった大変高精度な時計です。セシウム133の原子にレーザーをあてると1秒に91億9263万1770回振動する、という原理を使っているんです。電波時計やGPS腕時計は、この原子時計の時刻データを送信基地局や通信衛星からキャッチするので、大変正確なのです。時間を正確に計る技術。じつは、人類のロマンが詰まった仕事なんですね。

文●夏目幸明

夏目幸明プロフィール

「マネジメント、経営、技術の3つが見えれば企業が見える」を旗印に様々な企業を取材する経済ジャーナリスト。大学・専門学校で就活支援、マーケティングなどの講師をつとめる。講義は「資格の学校TAC」などで聞ける。facebookアカウント「夏目幸明」twitter「就活センセー・夏目幸明」。著書は「社長あるある」(朝日新聞出版社)など。

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