「アンダードッグ」って「負け犬」って意味だよ。要するに弱点を素直に認めると、思わずかわいく見えちゃうって効果だ。
例えば、面接で自分の名前を言ったあと、緊張した顔で「ボク、頭の回転が遅いんです。でも、いっぱい考えて話します!」なんて言ってみなよ。ちょっとかわいくないか。これ以降、パッと答えが返ってこなくても、許せちゃわない? 「コミュニケーション力が低いんです」「緊張しやすいんです」って何でもいいから「うまくしゃべれないッス!」ってことを最初に言っとくんだよ。俺なんか「く、口べたです」だけで笑いがとれちゃうもんね。
しかも、ちょっとこれ、比べてみてくれよ。
「御社が第一志望です~」
と
「金融業界も受けてみたんですけど、えーと、その、全部落ちちゃって(笑)。やっぱり向いてないんスよ。ボクには食品業界しかない、第一志望はここしかないんスよ」
どっちが本当っぽい? 当然、下だよな。そう、自己開示の効果ってのは、適度によくないことも混ぜると、信じてもらいやすくなるんだよ。
だから、面接で話すことに、適度によくないことを混ぜちゃうんだ。
――体力ある?
「うーん、状況次第ですね。飲み会で徹夜とかするときは、絶対寝ちゃいます(笑)。でも、文化祭の準備とか、好きなことやってると、眠くならないスね」
――自己紹介してください
「はい……(苦笑)……苦手ななりにがんばります。えーと、私の人生を通して言えるのは……」
どう? 「自己開示」と、「アンダードッグ」。これで相手のバリアが破れる気がしない?
(第10回に続く……)
漫画●ゼロハチネット
文●夏目幸明
夏目幸明プロフィール
「マネジメント、経営、技術の3つが見えれば企業が見える」を旗印に様々な企業を取材する経済ジャーナリスト。大学・専門学校で就活支援、マーケティングなどの講師をつとめる。講義は「資格の学校TAC」などで聞けるほか、ネット放送で「就活SHOW」を行う。著書は「社長あるある」(朝日新聞出版社)など。