就活中、応募した企業の選考課題として、また筆記試験の一部として、作文の提出を求められる機会は意外に多いものです。「作文って何を書けばいいの?」と困っている就活生のために、ここでは作文の頻出テーマや書き方、書けないときの対処法などをご紹介します。
就活の作文は、筆記試験の一部として、またはエントリーシートと同時にメールや郵送で提出を求めてくる企業が多いようです。内容は、提示されたテーマに対して自分の意見をまとめて書く、という形が一般的です。
企業側が「なぜ就活生に作文を書かせるのか」というと、書類や面接からはわからない就活生の情報を作文から読み取ろうとしているためです。作文からは、書いた人物の「人間性」や「教養のレベル」「文章力」など、実にさまざまなことがわかります。
たとえば「心に残る言葉」というテーマに対し、ネガティブな内容を書くのか、ポジティブな内容を書くのかだけでも、印象はかなり違ってきます。どのように感じ、何を学び取ったのかを伝える文章には、その人物の「性格」や「ものの考え方」がよくあらわれるといえるでしょう。
また「将来の展望」に関するテーマが出されれば、その人物の「勤労観」「職業観」を確かめるほか、企業とどれだけマッチした人材であるのかという「適性」が判断される可能性が高いです。他にも「社会への興味・関心・知識」にまつわるテーマは、社会でやっていくだけの「常識」「知識」レベルを見極める目的で出題される場合も多いのです。
○就活試験の作文って何を書くの? 対策や押さえておきたいポイントを解説
就活の作文でよく出題されるテーマは、大きく分けて3種類あります。一つ目は「自分の過去・経験や価値観に関するテーマ」、二つ目は「仕事に対する姿勢や熱意に関するテーマ」、三つ目は「時事問題・社会問題に関するテーマ」です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
企業は、このテーマで「その就活生がどんな人なのか」「どんな経験をしてきたのかを」を見ようとしています。具体的な例としては「人生で一番つらかったこと」「これまでに一番感動したこと」「価値観が変わったエピソード」などです。人間性や人柄を重視する企業も増えてきているので、こういったテーマも出題されやすくなっています。
このテーマでは「その就活生の仕事への考え方が企業とマッチしているか」を見ています。具体的な例としては「仕事で成し遂げたいこと」「将来の夢」「自分にとって働くとは何か」などです。企業が掲げている理念とあなたの価値観がマッチしているかどうかというのは、入社後のミスマッチを防ぐためにも大変重要です。
このテーマでは「情報収集力があるか」や「社会への関心度」を見ています。具体的な例としては「日本の年金問題について」「今後、日本はアメリカとどのような関係を築くべきか」などです。企業の一員として働くのであれば、最低限の一般常識と社会への関心は持っていてほしいと考える企業は多いです。ただ、「知識」を問いたいのではなく、「あなたがどう思っているか」が知りたいともいえますので、自分の意見や考え方を書くようにしましょう。
○就活の作文はどんなテーマが出題される? 種類や例文をチェック
いくら作文の内容がよくても、作文の基本的な書き方が守られていなければ減点の対象になってしまう可能性があります。原稿用紙の基本的な使い方などは、事前にしっかり復習しておきましょう。
また、思ったことを漫然と書き散らかした文章はまとまりがなく、書き手の想いも伝わりづらくなります。作文の基本構成も覚えておいたほうがいいでしょう。
作文で一般的な構成といえば、文章を3つの部分に分ける「序破急」、4つの部分に分ける「起承転結」が挙げられます。
「序破急」は、序論(序)で文章全体の方向を提示し、本論(破)でその内容を発展させ、結論(急)で最も言いたいことを要約します。一方の「起承転結」は、「起」を導入とし、「承」で導入を受けて内容を深め、「転」で取り上げた事柄を角度を変えて述べてから、「結」で結果を示します。
自分の意見や主張をシンプルに述べたければ「序破急」、体験談や自分の心情を強調したい、あるいは「転」を用いて、物事を多面的な角度から語りたい場合には「起承転結」を用いるなど、出題テーマや書きたい内容に合った構成を選ぶのがいいでしょう。
書き終わったら、提出前に「内容に一貫性はあるか」「誤字脱字はないか」「文字数は適切か」など、念入りにチェックを行いましょう。
○就活の作文はどう書く? 原稿用紙の使い方やポイントを押さえよう
作文をメールや郵送で提出するときは、それぞれ守っておきたいマナーがあります。
メールにデータを添付して送ることになります。企業の採用担当者はたくさんの作文をメールで受け取るわけですから、ファイル名には、誰の作文なのか一目でわかるような工夫が必要です。例えば「課題作文_〇〇大学_氏名_△月×日」など、課題作文であることのほか、学校名や名前などを記入するといいでしょう。
メールの件名は「課題作文の提出(〇〇大学・氏名)」のように、一目で内容がわかるように簡潔に書きましょう。本文は要件を具体的に書き、相手が読みやすいように改行を入れることも大切です。末尾には自分の氏名、大学名(学部名)、電話番号、メールアドレスなど忘れずに表記しましょう。
封筒についてですが、基本的にはなるべく折りたたむ必要のない、原稿用紙に合ったサイズのものを選ぶといいでしょう。封筒の中には作文をそのまま直接入れるのではなく、破損したり汚れないように、クリアファイルなどに挟んで提出しましょう。
封筒の宛名書きでは、企業名や住所は省略せずに書きましょう。たとえば、企業名は「(株)」と表記せず「株式会社」、住所は番地を「1-2-3」ではなく「一丁目二番三号」とすると丁寧です。郵送先が個人の場合は「様」を、企業や部署宛てに郵送する場合は「御中」を使いましょう。封筒の表の左下には、書類の中身がわかるように「選考書類在中」と書くようにしましょう。裏面に自分の住所と名前を書くのも忘れないようにしてくださいね。
また、郵送するときは送り状をつけるのがマナーです。送り状は、「この封筒の中にはこれが入っていますよ」と相手に伝えるための書類です。たとえば作文のほかに、エントリーシートや履歴書など複数の提出物があるときは、送り状に詳細を書いておくと、相手の方から喜ばれるでしょう。
「作文が大の苦手」という就活生も多いと思います。苦手な自覚のある人は、事前にそれなりの準備をするのがおすすめです。
作文対策で、すぐに始めやすいトレーニングとしては、まずはさまざまなテーマで書く練習を重ねることです。普段はあまり書く機会がないからこそ、書けば書くほど、文章のコツがつかみやすくなるといえます。「このテーマは書いたことがある」という経験をたくさん積んでおくことで、試験本番での焦りも和らぐかもしれません。また、文章力をつけ、語彙を増やすために読書をしたり、自分の考えをまとめる練習として、日記を書いたりブログを更新したりするのもおすすめです。
そうやって対策しても、試験当日になれば「頭が真っ白で書くことが何も思いつかない……」ということもあるかもしれません。対処法としては、例えば「テーマで連想されるキーワードを書き出す」ことで打開できるかもしれません。「水」という作文テーマなら、「水」→「雨」→「ゲリラ豪雨」→「環境問題」と連想してみる方法です。
また「自分のアピールポイントありきで考える」ことも対処法の一つです。たとえば、作文テーマが「和」の場合、「和を重んじて協調性がある」「平和への強い思いがあり、ボランティア活動をしている」などのアピールポイントが作文の題材にできます。作文も自己PRのチャンスと考えてみると、意外とスムーズに書けてしまうかもしれませんよ。
作文には確実な正解というものがないため、苦手意識を持っている人も多いかもしれません。だからこそ、企業側の意図を意識しながら、しっかりとした内容の作文を書くことで、絶好のアピールになり得るのです。本番で力を発揮できるよう、今から準備してみてくださいね!
(学生の窓口編集部)