企業に自分の魅力を伝える「就活」と、意中の人に自分をアピールする「恋愛」。この2つにはいくつかの共通点があるのではないだろうか? その仮説の下、実に2,000回もの合コンを経験した「合コンシェルジュ」として知られる一般社団法人日本合コン協会会長の絵音(えのん)さんと人気就活講師夏目幸明先生が検証対談! 合コンテクから思わぬ就活必勝法が見えてきました。
絵音 合コンって、ちゃんと聞き役になれる人がモテるんです。特に前半戦は、相手の話をじっくり聞くことをおすすめしています。
夏目 私、実は保険のトップセールスを記録した営業さんたちに「売るコツ」を取材しまくったことがあります。その時、皆さんまったく同じ答えが返してきた。知りたいでしょ? 答えは、先ほど絵音さんが言っていた「まずは聞く」こと。お客様がどんなリスクや問題を抱えているか聞き出したあと、初めて「とすると、弊社のこんなプランがお役に立てるかもしれません」とリアクションするんです。
人には「承認欲求」があるんですよ。まずは自分のことを知ってほしい、考えをわかってほしい。商談の場でも、お客様にすれば営業さんが自分に何を売りたいかなんて関係なく、まずは自分のことを知ってほしいんです。
絵音 「承認欲求」って合コンでも大切なキーワードですね。気になる人が何が好きなのかを覚えておくと、すごく喜んでもらえます。そのために、たとえば「好きな食べ物はなに?」とか「休日は何してるの?」と問いかける。相手が考えあぐねているとしたら「僕は○○が好き」とか言いながら、相手が「魚好き」とか、「休日は買い物をしている」とか聞き出すんです。
で、ちょっと時間がたったあと「○○ちゃんは魚が好きなんだよね」などと皿にとってあげたり、メールで誘うにしても「お魚がおいしい店があるんだけど一緒に行かない?」などと声をかけるんです。これは好印象ですよ。
夏目 就活も合コンも「覚えゲー」(覚えることでクリアできるゲーム)の側面があるのでしょう。私など――いえ、私の友人など、幹事をやる時は、みんなの名前と、自己紹介で言ったことをメモって、机の真ん中に置いておくくらいです。
だから面接でも「志望する企業が何を得意としてるのか」を、ちゃんと知ってます、覚えてます! とアピールすることはすごく大切です。たとえば、サントリーを受けるとします。同社はフランスのオランジーナ社を買収して、同社の商品を日本でヒットさせただけでなく、サントリーの商品をオランジーナ社が持つ世界中の流通網にも乗せて販売するなど、世界戦略が非常に巧みです。ならば面接の時、ちゃんと知っていることを、さりげなく相手に伝えるんですよ。仮に「おいしい飲み物をつくりたいです!」だけではほかの企業にも当てはまりますが、「大規模な世界戦略を繰り広げる御社で、おいしい飲み物をつくって世界中に売りたいです!」なら、面接官はグッとくる、という訳です。
絵音 「その相手にしか当てはまらないこと」って重要ですよね。
夏目 情報源はいたってシンプル。面接の前にホームページを読み、ニュースを検索するだけでいいんです。「志望動機」は企業のストロングポイントを調べ、これに「私も実は海外経験が豊富で」などと自分の経験を付け加えるパターンが正解です。