「募集要項に「転勤なし」と書かれている場合、原則はその通りです。しかし、会社は生き物ですから、数年後には事業が拡大したり、新規事業が立ち上がっていたりと拠点が増えるなどして転勤を求められる可能性はゼロではありません。
正社員であれば、本来、転勤や異動は業務命令ですので、社員は従わなければならないのが原則ですが、入社時に「転勤なし」が条件であったのなら、拒否をしても問題はありません(拒否をしたことで解雇をするなどはできません)。
なんらかの事情や理由があって「転勤ができない」のであれば、会社が無理強いをする事はほとんどないでしょう。最近は子供の学校が理由だけでなく介護の問題で単身赴任をするしかないなど、仕事と家庭の両立で苦労される人が増えています。
地域限定の正社員など、雇用のバリエーションが増えてきたのは、そういう事も要因です。
ただ、会社が本人に対して「交渉」や「お願い」をする事は契約違反ではありません。
実際に入社時は地域限定の正社員が、優秀であるために本社に引っ張られるなどのパターンもあるからです」
基本的には拒否しても問題ないようですが、個人の都合があるように、会社にも会社の都合がでてくるもの。状況によっては会社から転勤を打診されることもあるようです。そんなときは「話が違う!」と捉えるのではなく、自分にとってのメリット・デメリットを考えながら、冷静に話し合えるようにしたいですね。
安達瑠依子さんプロフィール(http://profile.ne.jp/pf/adachi-jinji-mentor/)
転職コンサルタント。リクルートにて、 企業の人事施策調査研究や学生の意識調査などに従事。上場企業3社を含む4社で13年間、人事部長として採用や制度設計、教育に携わったのち、2012年の独立後は企業の人事コンサルタントと平行して転職支援(民間および公務員)を行う。2014年7月からは、転職支援と公務員試験面接対策指導に専念。一般社団法人えるふ転職支援ラボ 代表理事