本題に戻ります。学生が自己PRで主張する「リーダーシップ」で、これ(企業が求める「リーダーシップ」)をイメージできないことがあるのは、たとえば、「サークルを作って皆を引っ張った」とか「旅行を企画して成功した」とかの場合 「参加している人間のほぼ全ての利害関係が一致している」ことが背景にあります。
要するに、好きだからサークルに参加している訳だし、興味があるから旅行に行こうと思う訳です。
年恰好も似たり寄ったり。このエピソードで「リーダーシップ」を語るのは、ちょっとインパクトに欠けるのがわかるでしょうか?
……念のために書きますが、サークル立ち上げや、ゼミ企画旅行のエピソードが無意味だと言ってる訳ではありません。
そういうことをやってない人に比べたら、自分の成長を促した、非常にすばらしい経験だったと思います。とはいえ、サークルを立ち上げたという話だけで「リーダーシップ」を説明することに無理がある、ということです。
少なくとも、面接では納得性に欠けます。
最終的には「判断つきかねる人」となることもあります。
前にも書きましたが、学生の陥りやすいワナの一つがこれです。
自分には「リーダーシップがあるんだ!」と、何かの影響(友達の評価、学校でやった適性試験の結果等々)で洗脳されていて「リーダーシップ」というキーワードありきでエピソードをつなげているという場合です。
これは順番と方向性が違うのが判りますよね? せっかくこういったすばらしい経験をしてるんだから、もっと柔軟に考えさえすれ、自分を表現するキーワードが見つけられるはずなのです。
サークル立ち上げネタなどで、自己分析を進めて行くならば、ポイントは以下の様な点です。
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「たまたま立ち上げメンバーだっただけで、本当は別の人間がイニシアティブを取っていたのではないか?」という企業サイドの懸念を解消する説明が必要。
利害関係のぶつかり合いで、どういう解決をしたか? その際の自分の役回りも重要。
どんな些細なことでもいいから「これをやったから、よくなった!」という逸話があれば良い。
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こういう感じになります。
とにかく自己PRは、企業サイドのゴールを意識して考えることが重要です。上記【1】から【3】までが含まれていれば、少なくとも自己満足的な自己PRにはならないはずですし、サークル立ち上げということに関して、説得力が出ると思います。
いかがでしょうか?
次回は「粘り強い」というキーワードについて考えていきます。
文・コンテンツ提供●安藤恒久
【プロフィール】
東京農工大学農学部卒。その後福山大学大学院工学研究科修士課程修了。1996年、大手飲料食品メーカーに入社。主に経営部門で会社組織運営に携わる。その後は、ブライダル業界に転身。管理部門の責任者として株式公開業務担当。以降、雑貨商社、IT、教育など多様な業界で事業構築を行う。2005年6月から始めた、「会社側の本音」と「就活生の自信構築」をコンセプトに書き連ねたブログ『会社サイドの就活日記 ~面接は怖くない!企業と面接官の本音を知ってください!~』は毎年 数多くの就活生や新社会人のバイブルとして支持されている。
『会社サイドの就活日記 ~面接は怖くない!企業と面接官の本音を知ってください!~』
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