サークルやクラスの友達などからよく相談を受けていて、親身になって聞いてあげたり解決に乗り出したりできる場合は、そのようなエピソードをアピールポイントにすることができます。今回は、自己PRで「相談される人柄」をアピールする場合の注意点を解説します。
友人等から相談されることを自己PRのネタにする方がいます。相談されるということは相手が心を許している、つまり、信頼されている証ですから、自分の人柄の良さを証明できるネタと言えます。但し、エピソードによっては成果が伴わない為、具体性の無い抽象的なアピールになりがちで、採用担当者や面接官は評価しづらいので注意が必要です。
A「私は人との絆を大切にしています。大学入学を機に地元を離れた今も、幼少時代からの友人と連絡をとり、また、誕生日には必ずお祝いの言葉を伝えています。このような性格のため、友人たちから相談されることが多いです。私は彼らの悩みに時間をかけて、真摯に耳を傾けています。そして時には、きつくならないよう気をつけながらも、相手のことを考え厳しく意見することもあります」
この自己PRからは、素晴らしい人間像が伝わってきます。恐らく否定的に受け止める方はいないでしょう。しかし一方で「どのくらいの実行力や解決力をもっているか」は掴みきれないため、「優先的に合格させたい」と採用担当者や面接官に思わせるまでのパワーは感じられません。
B「私の長所は何事にも挫けず、最悪の状況の中でも自分の役割を作り出せることです。大学2年次に怪我のため選手を続けられなくなった際も、部活動を辞めずマネージャーを引き受けることで、チーム目標の優勝実現に貢献しました。
当初は、選手意識が抜けず「プレーの未熟さ」を指摘しまうこともありましたが、「マネージャーとは何か?」の考えを深めるにつれ、監督やコーチとは違い、「弱気になった時ほど頼れる存在」であろうと思うようになりました。
この結果、技術的なことだけでなく、プライベートについても同期や後輩から相談されるようになりました。引退時に、チームに最も貢献した選手に選ばれた時は、気恥ずかしくも、とても嬉しかったです」
ABを比較してみましょう。
Aの場合はプライベートの中での相談相手という位置づけであり、相談を通して、何かを向上させたり、成果をあげたというアピールが無いのに対し、Bは部員を支えることを通して部に貢献できていることが分かります。またBは、部に欠かせない存在となっていたことをアピールできていますが、Aには、それほどの印象はありません。相談ネタを用いる時には、何か目標設定がなされたチーム活動(プライベートや友人関係ではなく、部・サークル、ゼミ、アルバイト活動)を題材とするのが良いでしょう。
相談に関するエピソードで自己PRをする場合は、「よく相談される人柄であること」をメインにするのではなく、チームの目標実現に貢献したことをアピールする中の一つのネタと位置付けましょう。