自己PRで「創意工夫」をアピールする方法【例文でポイント解説】

自己PRで「創意工夫」をアピールする方法【例文でポイント解説】

2021/12/03

自己PR

自己PRで「創意工夫」をアピールしたい場合、何をポイントに組み立てたらよいのでしょうか。そもそも仕事で求められる「創意工夫」とは? ここでは、「創意工夫」をアピールする場合のポイントと注意点について例文を交えながら説明します。

創意工夫とは

創意工夫とは、現状をよりよいものにするための活動で、以下の3要素の組み合わせで成立します。

「反省し、改善目標を明確化する」

20分かかっている閉店後の作業を、どうすれば15分で終わらせることができるだろうか?(作業の5分の短縮が改善目標)

「アイデアを出す」

閉店1時間前は客数が減り、手空きの時間が増える。細々とした作業、例えば「申込書を50音順にする、レシートを10枚束にして輪ゴムでとめる、日報に日付と担当者名を入力しておく」を、この時間帯にできるだけ済ませておこう。

「実行と効果の確認」

アイデアを実行する。閉店作業を3分短縮できた等の効果を確認。そして、「では、もう2分短縮するためには、どうすればよいだろう」=「反省し、改善目標を明確化する」に戻り、「アイデアを出す」→「実行と効果を確認」を繰り返します。

仕事で求められる創意工夫とは

「仕事では創意工夫が求められる」というよりも、「創意工夫が仕事の大半を占める」と表現したほうがよいでしょう。

企業の創意工夫の目的例

事務部門


人件費コストを下げる目的で、例えば5人で行っている作業を、同じ時間で、4人でできるようになることをめざす。

製造部門


原材料費コストを抑えるために、部品の耐久性を損なわないことを前提に、重さを1グラム減らす。

サービス部門


顧客満足度を高めるために、顧客が効果をより短時間で実感できるようにエクササイズメニューを見直す。

店舗部門とシステム部門


販売チャンスを逃さない・売れ残りを減らすために、全国各店舗別の仕入れ決定・発注システムを改善する。

営業部門


営業成績を伸ばすために、営業員のマインドを向上させる。

経営部門


企業価値を向上させるために、既存の宣伝手法を見直す。

研究開発部門


脱石化エネルギーの世界的な潮流に対応するために、これまでの数十倍の蓄電能力をもつバッテリーを開発したい。
※これは、創意工夫というよりも「発明・発見」と位置付けたほうがよいでしょう。


仕事では、「時間、原料費、顧客満足度、商機(販売チャンス)、人の心、企業ブランド」といったさまざまなものが創意工夫の対象となり、終わりなく続きます。

創意工夫と「発明・発見・変革」の違い

日常活動の延長線上にある「より良い」を目指し、コツコツと終わりなく積み重ねる活動が創意工夫です。

対して、ゲームチェンジャーの出現(現在の常識を覆すサービスの出現やルール変更)が引き金となる、企業の存続を懸けて取り組まねばならないダイナミックな活動もあります。

例えば、2050年カーボンニュートラルに関連して、

・乗用車新車は電動車100%
・住宅や建築物の省エネ基準への適合義務付け拡大
・再エネ最優先原則のもと、電化水素、アンモニア等を選択肢とする

等が国の方針として明示されました。

これにより、例えばガソリン車メーカーは電動車開発を是が非でも実現しなくてはなりません。自社の開発力を客観的に分析し、時には、先行しているメーカーと提携する等の大きな経営判断を下さねばならない企業もあるでしょう。

このような大きな変化に対応する活動は、「発明・発見・変革」と位置づけ、創意工夫と差別化しましょう

創意工夫型人材が求められる理由

創意工夫型人材の対極に位置するのはマニュアル型人材です。

例えば、創意工夫型人材がそろっているA社とマニュアル型人材ばかりのB社の10年後を想像してみましょう。マニュアルを真摯に遂行する人材がそろったB社は、常に安定的なサービスや製品を提供でき、顧客に安心感を与え、高く評価されています。(※マニュアル重視にも優れた点はあります)

しかし、残念ながら評価が高ければ高いほど他社のターゲットとなるのが企業の宿命です。B社よりも良いサービスを、B社の安定的な性能に加えて、もう一つ付加価値のある製品を作ろうとA社は創意工夫を繰り返します。その結果、いつの間にかB社のサービスや製品は陳腐化(時代遅れ化)してしまうのです。

企業の繁栄は、創意工夫型人が背負っています。

※もしもB社に、マニュアルを定期的に最高品質にアップデートできる創意工夫型人材が一人でもいれば、B社は陳腐化を避けられます。この点からも、創意工夫型人材の重要性が分かります。

「創意工夫」自己PR例と解説

以下に自己PR例を紹介した上で、解説を加えます。

創意工夫経験アピール例

 「総勢60名(※1)のバドミントンサークルに所属し、大学2年から3年の1年間は運営に携わりました。運営1人あたりに仕事が2,3個ということも珍しくなく、初心者の指導、温泉旅行の幹事、他校との練習試合や大会の準備(※2)を任されていた時期がありました。どれも簡単に済ませられる仕事ではなく、他の運営者も手一杯で手伝ってもらえる状況ではありませんでした。(※3)
 切羽詰まることもありましたが、この状況のおかげで、「今やらなければならないことは何か」と優先順位をつけることや、「効率的な方法はないか」と工夫を試みることが身に付きました。(※4)
 特に効果が伴った工夫は、30名の初心者指導です。就任当時は、自分が先輩に教わった時のメニューを単に踏襲しているだけでしたが(※5)、「初心者指導のそもそもの目的は何か?」と一から考え、そして、「ラリーが続いて汗をかけることを楽しんでもらえるレベルにする、その結果、つまらないという理由で辞める人をゼロにする」を指導方針としました。(※6)
 そこで、他の運営者の合意をとり、2年にも周知した上で(※7)、ランニング等の基礎体力系メニューを半分に減らす、「頑張れ、惜しい、ナイス、イェーイ」などの掛け声や笑い声がいっぱいの雰囲気をつくりました。そもそもスポーツは息を詰めていては上達できません。掛け声や笑い声を出しながら呼吸をしたほうが、体がスムーズに動くのです。(※8)
 この結果、1年の途中で辞める人はゼロ、加えて、気さくな雰囲気につられて初心者の相手をしてくれる2年も増えました。ある2年は「よい気分転換になります」「教えることで基本を再確認できます」と言ってくれました。(※9)
 この経験を通して、引き継がれてきたことに盲目的に従うのではなく、目的や目標を自分なりに考える大切さを学びました。また、偶然の効果ではありますが、自然と人が集まる雰囲気をつくれれば、思った以上の効果が得られることも学ぶことができました。(※10)

ポイント解説

(※1)人数や期間など、規模が大きい・期間が長い場合は数字を用いて具体的に紹介しよう。
(※2)複数の役割を担った人ほど、任務を具体的に紹介しよう。行動力や責任感のアピールに繋がる。
(※3)大変な状況の紹介部分。大変さや問題が生じているから創意工夫が必要になる。創意工夫アピールの入り口とイメージしよう。
(※4)成長できたことをアピールしている。文末でアピールしてもよい。
(※5)(※6)のアピール力を高めるために、あえて「踏襲していただけの」至らなかった自分を隠さず紹介している。マイナスアピールを利用してプラスアピールを強調する手法を参考にしよう。
(※6)創意工夫で目指す目標を明確化できている。個々のエピソードの紹介に入る前に必ず明示しよう。
(※7)独断で動くのではなく、周囲の許可や理解を得るアクションの紹介を通して、チーム活動に向いていることをアピールできている。
(※8)創意工夫の実行部分。創意工夫のアイデアを自分なりの考えと共に紹介できている。また、(※6)で示した目的と整合した内容であることがポイント。
(※9)創意工夫の効果部分。2年生も協力してくれたエピソードで、効果をよりアピールしている。(※7)が、この2年生のエピソードを紹介する布石となっている。布石を打つ構成を参考にしたい。
(※10)締めくくりの成長紹介。(※4)とあわせて、盛りだくさんの成長をアピールできている。

「創意工夫」の残念な自己PR例

残念な自己PR例をもとに、作成時に気をつけてほしい点を解説します。「5」の自己PRと比較してみましょう。

 伝統あるテニスサークル(※1)の幹部を務めました。ある時期、メンバー達の参加率が低下する状況が続き(※2)、幹部の皆で悩んでいました。このまま誰も来なくなるかもしれないというネガティブな意見が出る中、私は、これを乗り越えさえすれば、もっとたくさんの人にサークルを好きになってもらえるチャンスだと“前向きに”考えました。(※3)
 そして、自分ができる打開策を考え、すぐに行動に移しました。また、どうすればメンバー達を惹きつけることができるかを、相手の立場で考えました。(※4)
 更に、よりよい方法を求めて、いつも一生懸命になり、とことん創意工夫することによって“今までにないこと・ものを創造”していきました。(※5)

ポイント解説

(※1)伝統あるとは?発足して何年目?何人規模のサークル?数字を用いよう。
(※2)参加率がどのくらい下がったのか? せっかく「率」というキーワードを使用しているのだから、具体的な数字を盛り込もう。
(※3)ピンチをチャンスの糧と捉える前向き思考は評価できる。
(※4)「すぐに行動、相手の立場で考える」これはよいアピール。しかし、打開策の内容や相手の立場で考え気づいたことが具体的に記入されていないところが問題。この結果、抽象的で、読み手が何も審査できない空っぽの自己PRになってしまっている。
例えば、参加しなくなった複数人のメンバーから話を聞いたエピソード=サークルに対する不満や参加できない人の事情を具体的に紹介し、そのうえで、どのような対策を講じたかを記入しよう。
(※5)掛け声だけのアピールで採用担当者や面接官からプラスの評価を得られない。原因は、(※4)部分が充実していないから。
もしも、(※4)のアドバイスにそって記入すれば、この部分にも興味を持たれ、面接で、「(※4)で記入していること以外には、どのような創意工夫をしたの?」と、「あなたへの理解を掘り下げる=あなたのことをもっと知りたい」という目的で質問してもらえるだろう。


監修・文/岡 茂信 (おか・しげのぶ)
現在東証1部の情報システム開発企業での採用選考経験を元にジョブ・アナリストとして独立。大学及び就職イベントでの講演、有名企業に対し採用アドバイスを実施。著書に『就職活動がまるごと分かる本』『エントリーシート完全突破塾』『自己分析 適職へ導く書き込み式ワークシート』『仕事のホントを知る!見る!考える!インターンシップ』がある。また、「岡茂信の就活の根っこ」( http://ameblo.jp/okashigenobu/)で就活の土台となる旬な情報を発信している。

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