「人生最大の困難を乗り越えた経験」面接・ESでの効果的な伝え方【回答例あり】

「人生最大の困難を乗り越えた経験」面接・ESでの効果的な伝え方【回答例あり】

2021/08/14

自己PR

「これまでの人生の中で最も困難だったことは?」「それをどう乗り越えたか?」など、試練についての質問は面接やESでは定番です。そんな大変な経験はしたことがないという人もいるでしょう。ここでは、これらの質問に対してどう答えれば上手くアピールにつながるか、回答例を紹介しながらポイントを解説します。

「困難を乗り越える」とは

困難とは、「活動を妨げる問題」のことです。活動を妨げる問題とは、「目標達成を妨げる問題」と読み替えてもよいです。

乗り越えるとは、「克服する」ことです。克服するとは、「問題を解決する」と読み替えてもよいです。

したがって、「困難を乗り越える」とは、「目標達成を妨げる問題を解決する」となります。

企業が「困難を乗り越えた経験」について聞く意図

企業が困難を乗り越えた経験を質問する意図は2つあります。

一つ目は、以下の要素を満たした人材をボーダーラインに設定して選考を進めたいからです。

1.困難に直面するほどの高い目標を持って活動した経験を語れる人を選考したい。
2.困難を克服した経験を通して、自分なりの克服方法や自分は克服できるという自信を持っている人を選考したい。

二つ目は、以下について審査しやすいからです。

3.困難を乗り越えた過程を知れば、どのような行動をとる傾向を持った人かを審査しやすい。(たとえば、自力で解決するタイプか、周囲を巻き込み解決するタイプか)
4.困難に対する耐性を審査しやすい。長期のエピソードを語れる人ほど耐性があると判断できる。
5.エピソードを通して、困難に向かい合った密度を知ることができる。密度を通して、目標達成意欲の強さを審査しやすい。(半年間、週に3日、各2時間取り組んだエピソードと、半年間にわたる活動の最後の1カ月は睡眠平均3時間で取り組んだエピソードでは、密度の印象が違う)
6.困難を乗り越えて満足した人か、それとも、困難を乗り越えた経験を自信としてさらに高い目標を設定して活動する自己研鑽・成長意欲の強い人かを審査しやすい。

「人生最大の」は、困難ネタアピールを練るうえでのヒント

「入学当初の思い出に残っている経験について」「1年以上アルバイトを続けた経験について」「サークル活動の中でもっとも一致団結できた経験について」など、経験についてはさまざまな質問を設定することができます。にもかかわらず、なぜ、「人生最大の困難を乗り越えた経験」を問う企業が多いのでしょうか?

理由は、「困難が大きければ大きいほど、経験した人に根本的な影響を与えているはずだ」と考えているからです。よって、「人生最大の困難を乗り越えた経験には、その人の人生の軸となる考え方(ポリシー)の形成が伴っているはずだ、それを知りたい」という企業の考えを推測することができます。

したがって、「この困難を克服した経験を通して、このような軸が形成された」という一行を加えましょう。

困難ネタ自己PRを構成するためのワークシート

では、人生最大の困難を乗り越えた経験を伝えるための準備を、以下のワークシートにそって進めましょう。

人生最大の困難ネタの要素   → あなたのメモ(例)

困難が生じた活動内容   →  TOEICスコアアップ

活動で掲げた目標と達成内容   → 目標は850突破。880達成。目標を設定する前は680。

活動規模(期間・人数)   → 2年間。基本的には独学。

活動で生じた最大の困難の概要   → 最初の半年で750を突破出来たが、そのあと数カ月、模試ですらスコアを伸ばせなくなった。

困難を克服するために試みたこと   → 先生に相談。得意不得意の徹底的な分析。目標を「使える英語力を身につける」からスコアアップのみに切り替える。

困難真っ只中の時の精神的、肉体的な辛さがわかるエピソード   → 独学では無理かもという不安が芽生え、勉強していても集中しきれなくなった時があった。

困難真っ只中で考えていたこと   → 勉強していることはいつか必ず役に立つと考える一方、スコアがこれ以上伸びないのならば、他のことに力を入れたほうが貴重な学生生活を無駄にしないのではないか。

困難克服の目途がついた時のエピソード   → 勉強法を変えて3カ月後に780に伸ばせた。ほっとすると同時に改めてやる気がでた。

困難を克服し、自信が増したこと、成長できたこと   → 独学で達成できたことで、自分のまじめさや継続力に自信がもてた。

困難を克服した後に、さらに意欲をもって取り組んでいること(取り組んだこと)  → スコア900突破。加えて、英語に偏らず、ゼミやアルバイトにも力を注ぎ、自分の総合力をアップさせることを目標として取り組んでいる。

人生最大の困難を経験したことで形成されたポリシー   → 努力は大切だが、効果的な方法を考え努力する必要がある。

人生最大の困難を乗り越えた経験の自己PR例と解説


以下に自己PR例を紹介した上で、解説を加えます。

「人生最大の困難を乗り越えた経験アピール例」

 「TOEIC850突破を卒業までに独学で達成する」は、大学1年の夏に掲げた目標です。(※1)  
 英語は自分の中では得意でしたので、1日2時間を基本とした勉強は負担なく継続でき、半年で750を達成できました。正直、自分には意外と才能があり、850もすぐに達成できそうという根拠のない自信まで湧いてきました。(※2)  
 しかし、そこからが困難の始まりでした。スコアはぱったりと伸びなくなっただけでなく690に落ちることもありました。独学が問題なのか、才能が問題なのかと悩み、750はまぐれだったのかもと疑心暗鬼になることも。もしも、この時辞めていれば、今の私には絶対になれていません。そういう意味で、これが私の人生最大の困難となります。(※3)  
 この困難を乗り越えるヒントを得るために大学の先生に相談しました。(※4)先生から得たアドバイスは次のようなものでした。
・使えない英語力でもよいから、「スコアにこだわって勉強する」という意識で取り組む。
・1週間に一度は本番と同じ時間設定で2時間まるまる解く。
・リスニングは安易に解答解説を読まず、何度も繰り返し聞く。
・リーディングは「一読だけで解く」を意識する。(※5)
 これらのアドバイスを忠実に実行した結果(※6)、3カ月後に780を達成できました。そこからは順調に進み880を達成でき、現在は目標を900突破に切り替え勉強を続けています。加えて、スコアが高いだけの人間にならないよう、ゼミやアルバイトにも積極的に取り組んでいます。(※7)
 この経験を通して、「無駄な努力もある。常に努力の内容を見直し、効果的な努力をする」という意識をもつようになりました。(※8)

ポイント解説


(※1)目標を冒頭で紹介すると、困難の紹介につなげやすいです。

(※2)順調なエピソードがあると、困難を強調することができます。

(※3)なぜ、これが私にとっての人生最大の困難なのかを説明している。※2と3はセットにするとよい

(※4)克服に向かう転機です。困難克服に向かう過程を紹介するうえで必ず必要になるパートです。「ひたすら同じ努力を続けて克服した」よりも、「行動を見直し、改善し克服した」という内容のほうが、インパクトがあります。

(※5)スペースの許す範囲で、対策を具体的に紹介しましょう。

(※6)アドバイスを忠実に実行する素直さをアピールできています。このような短い一文もアピールになることを覚えておきましょう。

(※7)自己研鑽を休まず続ける人を企業は求めています。実際、トップクラスの内定者は、自己研鑽に貪欲です。「克服後」を必ず加えましょう。

(※8)克服を通して体得したポリシーです。必ず加えましょう。

人生最大の困難を乗り越えた経験がない人はどうすればいいのか?

スポーツや勉強に目標を持って取り組んだ。でも、たとえば「目標としたベスト4入りを達成できなかった」「第一志望の大学に入学できなかった」という人もいます。この場合は、「自分は困難を乗り越えられていないからアピールできない」と考えてしまうかもしれません。

このような場合は、「未来に待ち受ける大きな困難突破の糧としている」という方向性でアピールしてみましょう。

「困難を乗り越えられなかった場合のアピール例」

(※比較しやすいように、青文字部分までは上の例と同じです)

 「TOEIC850突破を卒業までに独学で達成する」は、大学1年の夏に掲げた目標です。  
 英語は自分の中では得意でしたので、1日2時間を基本とした勉強は負担なく継続でき、半年で750を達成できました。正直、自分には意外と才能があり、850もすぐに達成できそうという根拠のない自信まで湧いてきました。  
 しかし、そこからが困難の始まりでした。そのあと、スコアはぱったりと伸びなくなっただけでなく690に落ちることもありました。独学が問題なのか、才能が問題なのかと悩み、750はまぐれだったのかもと疑心暗鬼になることも。
  この困難を乗り越えるヒントを得るために大学の先生に相談し、いただいたアドバイスを忠実に実行しましたが、残念ながら、その後の最高スコアは780です。達成できなかったのですから、人生最大の困難となってしまいました。  
 継続するか悩みましたが、大学生活を英語だけに注ぐのはもったいないと考え、現在は、ゼミのレポートや発表を充実させることを目標に取り組んでいます。(※1)毎日、英語の勉強を続けてきた経験から、レポート作成のために図書館にこもって文献を調べることは苦になりません。(※2)また、黙々と勉強してきた私にとって発表は刺激的な経験で、上手な人の発表を家でまねてみたりしています。いつかは英語でプレゼンして、みんなをびっくりさせてみたいと密かに考えています。(※3)  
 挫折した経験も含めてすべての経験を私の糧としつつ、未来で待ち受けている大きな困難に備えています。(※4)

ポイント解説


(※1)「困難から逃げた」と考える必要はありません。状況に応じて新たな目標に切り替えられる柔軟さがあります。

(※2)それまでの取り組みを糧とできていることをアピールできています。重要なパートです。

(※3)切り替えた取り組みが充実していることを示せています。このような前向きな日々が感じられるエピソードを加えましょう。ここも重要なパートです。

(※4)挫折した経験も糧。社会に出てからもっと大きな困難に直面するはず、それに備えている。このような意気軒高な締めくくりとしましょう。挫折に対して回復力のある、前向きさを維持できる人柄をアピールしましょう


監修・文/岡 茂信 (おか・しげのぶ)
現在東証1部の情報システム開発企業での採用選考経験を元にジョブ・アナリストとして独立。大学及び就職イベントでの講演、有名企業に対し採用アドバイスを実施。著書に『就職活動がまるごと分かる本』『エントリーシート完全突破塾』『自己分析 適職へ導く書き込み式ワークシート』『仕事のホントを知る!見る!考える!インターンシップ』がある。また、「岡茂信の就活の根っこ」( http://ameblo.jp/okashigenobu/)で就活の土台となる旬な情報を発信している。

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