エントリーシートの「自由記入欄」には、何を描くのが正解なのでしょうか? 「自由」の一言にこめられた企業側の意図を汲み取った上で取り組みましょう。
「今までもっとも努力したこと。その取り組みから得たことをご記入ください」「学生生活で一番困難だったことは?それを、どう乗り越えましたか?」等、具体的な課題が多いのに対し、時に、「このスペースで、あなたらしさを自由に表現して下さい」というものもあります。これには、「このスペースを作り上げる過程で盛り込む創意工夫姿勢も審査したい」という意図があるのだと考え、取り組みましょう。
例えば、空白の枠に文字をきれいに書くためには罫線が必要だからと、全体に等間隔に定規で丁寧に線を引いた上で、「学生生活で力を入れたこと」を記入したとします。この時、「細かい作業が得意で丁寧な性格であることをアピールする意図」があったのであれば、それなりに評価できます。
しかし、スペースの1/3で同様のアピールを狙い、残りの2/3のスペースを使って、例えば、イラストや友人の推薦の言葉一覧スペースを作り提出した方のESには、総合力で負けてしまいます。このスペースを、いかに有効活用してアピールするかを練った上で作成しましょう。
自由記入欄には制限が設けられていることがあります。例えば、使用してよいペンの種類、色に加えて、写真貼付け可、不可などもあります。これらの作成ルールは、あえて欄外に小文字で指定されている(=注意力をチェックするため)場合がありますので、ESの隅々に目を通してから取り組みましょう。
そして、ルールは厳格に守って下さい。「あえてルールを破ってみせるのが、私の創意工夫だ」は不可です。
4.ラフ案を複数作ってから清書する
例えば、私は習字が得意だから、モットーである「誠」を筆で一文字大きく書いて提出しよう等、すぐにアイデアが浮かぶ方もいるでしょう。しかし、すぐに作成するのではなく、何通りかのラフ案を作ってから清書すると良いでしょう。「良いアイデアと思って一気に作ってしまったけれど、ちょっとバランスが悪いな、位置を入れ替えたほうが良いな」等、客観的視点からの後悔が生まれがちなのが創意工夫の宿命とも言えます。ラフ案を作り、一晩寝かせてから改めてチェックするという時間をかけてみましょう。
自由記入スペースに創意工夫を盛り込み、ある意味、作品を作り上げる過程では、ラフ案段階で家族や友人の評価も受け、独りよがりな作品としない意識も必要です。
現在東証1部の情報システム開発企業での採用選考経験を元にジョブ・アナリストとして独立。大学及び就職イベントでの講演、有名企業に対し採用アドバイスを実施。著書に「就職活動がまるごと分かる本」「エントリーシート完全突破塾」「適職へ導く自己分析」がある。また、「岡茂信の就活の根っこ」(http://ameblo.jp/okashigenobu/)で就活の土台となる旬な情報を発信している。