初対面でどうすれば、好印象を与えられるか。

初対面でどうすれば、好印象を与えられるか。

2014/12/04

就活の悩み・疑問

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初対面の相手によい印象を与えるにはコツがある。それを体得するためには、言葉や理屈よりも、「あの人のようになりたい」という手本となる人を見つけるのが近道だ。

たとえば、俳優やタレントといった人前に出ることを仕事にしている著名人をベンチマークしてみるのはどうだろう? 彼らは、皆一様に自分がどういうアクションを起こすと相手にどういう印象を与えるかを、常にシビアに考えながら行動している。つまり、自分の見せ方をよく知っている。言わば「ファーストインプレッションの達人」たちだ。そのしゃべり方、表情、しぐさ、立ち居振る舞いは、就活生にとって参考となるポイントがきっとあるはず。そこで、ベストセラー『人は見た目が9割』の著者として知られる劇作家の竹内一郎さんに、就職活動で見習うべき要素を備えた著名人を挙げてもらった。

まずは、二枚目役からコミカルな役まで幅広くこなす実力派俳優から。 「 阿部寛さん はもともとファッション誌のモデル出身。俳優としてデビューした当初は表情が硬かったのですが、つかこうへいさんの舞台に出るようになってから、ものすごく表情が豊かになり、演技に幅が出てきました。 表情が豊かだと、裏表のない人間である というよい印象を相手に与えます。ある程度歳を重ねたら、あまり表情を表に出してはいけない局面も出てきますが、若いときに表情が硬いと裏表があるように思われがちで、あまりよい印象を与えません。就活生も普段から顔のストレッチをおこなったり、話すときは意識的に口を大きく動かしてはっきりと発音したりして、表情をやわらかくするトレーニングをしておくといいでしょう」

長身、二枚目でありながら三枚目な役柄も見事に演じ、表情もとても豊か。豊かな表情は、裏表のない人間であるという印象を相手に与える。就活生もぜひ参考にしたい。


さらにもう一人、個性派俳優の演技にも注目してほしいと竹内さんは言う。 「 阿部サダヲさんも好感度が高いですよね。バカをやるときは大きなアクションでバカをやったり、シリアスな状況ではアクションが小さくなったりして、 場の空気の読み方やリアクションのとり方が実にうまい。 日本人は空気を読むのが上手な民族だと言われていますが、正確に言えば、空気を読むのではなく、相手の細やかな動きを読んでいます。ある事象が起こったときに、どういうことを言ったかという言語情報も大切ですが、どういうリアクションをとったかというところで、私たちはその人の精神の核となる部分を判断します。

作品ごとにさまざまな役柄を見事に演じきる名優。場の空気を的確に読み、TPOをわきまえた身のこなしを心がけることは、就活の面接においてとても重要なことだ。

TPOが変われば、態度や物腰が変わって当たり前。たとえば私はいまこうしてインタビューを受けていますが、もし目の前に首相がいたら、私の態度は大きく変わるのは当然のこと。つまり、目の前にある状況を的確に判断し、それにふさわしいリアクションを適切にとれるかどうかは、就活生、そしてすべての社会人にとって必要不可欠なスキルなんです」


続いては、業界内でも凛とした佇まいにファンが多いという人気女優。その姿勢のよさと指先の所作の美しさは、就活生にとって面接時のよき手本になるはずだ。 「子どもの頃から琉球舞踊を習っていたという仲間由紀恵さんは、姿勢がとても美しい。仲間さんに限らず、伝統舞踊をやっている人は、上半身がブレず、腰がキマっています。これは歩く姿や座っているときの姿勢に大きく影響します。あとは手指の所作がとてもきれい。手指や足の指先は、脳からいちばん遠い部位であり、身体のなかでもっとも意識が留守になりやすいところ。指先まで意識が行き届いているということは、隅々まで配慮が行き届いているということで、初対面の相手によい印象を与えます」

琉球舞踊を習っていたため、常に背筋がピンと伸びていて、指先まで美しい。踊りをマスターするのは時間を要するが、姿勢や指先の所作に気を配ることはすぐにでも実践できる。


隅々まで配慮が行き届いているという点では、当代きっての伊達男のファッションに対する姿勢も参考にしたい。もちろん、モテを意識したスタイルをそのまま就職活動で取り入れるのはNG。しかし、靴や小物など細部に至るまで気を抜かないという意識は大いに見習いたい。 「石田純一さんがモテる理由は、まず清潔感があるということ。 先ほどの例と重なりますが、ファッションも脳からもっとも遠い部位にこだわることが重要。オシャレは足元からとはよく言うように、靴はしっかりとしたものを用意したいですね。先端が重要なのは身だしなみも同様で、髪や指先のケアは第一印象をアップさせるポイントとなります。 あとはスーツ。これを着慣れている大学3年生なんてなかなかいません。でも、本当は着たくないけどとりあえず着ました......といった心持ちでは、面接時に簡単に見透かされてしまう。面接官は見た目で相手を見抜くプロ。スーツをそろえるときは自分の問題意識としてとらえ、お店をまわり、店員さんにきちんと話を聞いて自分のスタイルに合わせて、しっかり着こなしたいもの。こだわって選べば、自然とさまになるものです」

当代きっての伊達男はお洒落にとことんこだわる。モテファッションは参考にはならないが、スタイルの細部にまで気を配るという一点においては大いに見習いたい。


そして最後は小学校から大学まで慶應義塾で学んだ経歴を持ち、最近ではニュースやスポーツのキャスターもそつなくこなすトップアイドル。「嵐の櫻井翔くんのいいところは、知的で賢いのに、あくまでも謙虚で、嫌みがないこと。 ニュース番組に出ていても、ことさらに自分の知識をひけらかしたり、文化人ぶったりしないですよね。だから老若男女に好印象をあたえるのです。私は仕事柄、面接やオーディションをする機会が多いのですが、応募者のなかには自分の能力がいかに高いかをアピールする人がいます。でも、本当に能力がある人は、たとえ能力が高くても、そのことを必要以上にアピールしないもの。面接の本などには、堂々とした態度で自分をアピールしようと書いてあったりしますが、無理をしても逆効果。過度な自己主張は禁物です。自分を分析し、過不足なく自らを知ったうえで、相手に伝える。それは就職活動においてとても大切なこと。その点、櫻井くんの姿勢には見習うべきところが大きい」

頭脳明晰で容姿端麗、当代随一の人気アイドルグループのメンバーでありながら、偉ぶるところがまったくない。そんな彼からは、常に謙虚でいることの大切さを学びたい。

以上、5人の著名人を例に挙げ、就活生が参考にすべきポイントを紹介してきたが、いますぐ仲間由紀恵のような美しい所作を身につけよ、面接では阿部サダヲのような名演技を心がけよ、というわけではない。それぞれのエッセンスを抽出したうえで取り入れてほしい。 「総じて言えるのは、就職活動はすべてをさらけ出すことが求められる場ではないということ。第一印象で重要なのは、おれはこういう人間なんだ、とアピールするのではなく、まずはその会社にしっかり適応できる資質があるんだというメッセージを発することなんです」


■竹内一郎たけうち・いちろう

1956年生まれ。劇作家、演出家、著述業、宝塚大学教授、博士(比較社会文化・九州大学)。『人は見た目が9割』(新潮新書)、『就職活動を勝ち抜く「見た目力」』(アスペクト)ほか著書多数。

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