最後に
「社会に求められていること」も重要だ。再びたこ焼き屋に登場してもらおうか。仮に接客や料理が得意でも、たこ焼き屋はそれだけじゃつとまらない。お金の勘定、原材料の仕入れとか「たこ焼き屋に求められる能力」があるわな。
実社会の話をしよう。たとえばオレ、意外だろうけど、武器屋を始める前は東京の大手広告代理店に勤めてたんだよ。マジだって。でもって、そこでは意外な能力が求められたのよ。電車の網棚の横に曲がってへばりついてる広告あるだろ? あれ、JR、地下鉄、私鉄各社でビミョーに大きさがちがいやがるんだ。だから、印刷物も十数パターンつくる必要があって、どこへ届けるかもややこしい。がっちり計画を立てて、バッチリ実行する能力が求められるんだな。
と、そんな企業の「めんせつかん」にはこんな話が効く。
「私は学園祭の実行委員をしました。100団体以上あるサークルの間で、場所の取り合いが起きたり、音が出るイベントが重なったりしないよう計画を練る必要があります。ポイントは、イベント開始から家に着くまでを、テレビのVTRのように頭の中で再生してみること。すると『この張り紙はもっと目立たせなきゃ!』などと足りないことがわかります。大きな計画も小さな一歩から、が私の信条です」
な、効きそうだろ?
ところがよぉ......。
みんな単純に、質問に答えちゃうんだよ。志望動機とか、おめぇが地元で安定した職業に就きたいなんてことは聞いてねーんだよ。
そんなんじゃ「めんせつかん」は倒せねぇよ、だからオレは、おめえたちに3本の剣をくれてやる。ほらよ。
「好きなこと」
「できること」
「社会に求められていること」
どんな話でも、これに絡めるんだよ。すると、めんせつで効く武器になる。これでぶった切って来い!
お金?
いいよ、今回はタダだ。何でって、おめえら若いヤツが活躍できねぇ世の中なんざ闇だからよ。おめえの力で、この世界を、いっぱい、光で満たしてくんな。
漫画●ゼロハチネット
文●夏目幸明
夏目幸明プロフィール
「マネジメント、経営、技術の3つが見えれば企業が見える」を旗印に様々な企業を取材する経済ジャーナリスト。大学・専門学校で就活支援、マーケティングなどの講師をつとめる。講義は「資格の学校TAC」などで聞けるほか、ネット放送で「就活SHOW」を行う。著書は「社長あるある」(朝日新聞出版社)など。