「したくない仕事しか来ない。でも、運はそこにしかない」という、かつて"視聴率100%男"と呼ばれた、欽ちゃんこと萩本欽一の言葉があります。就活生の皆さんはこの言葉を目にしてどう思われるでしょうか。
僕にはこれが、一般人だった女性5人が急遽ユニットを組むこととなり、シャ乱Qのボーカル・つんく♂によってプロデュースされ、アイドルグループとして歩みを進めたモーニング娘。の歴史と重なって見えます。
「夢のオーディションバラエティ」と銘打たれた「ASAYAN」(テレビ東京)の収録スタジオには1997年のその日、まだユニット名が与えられていない、中澤裕子、石黒彩、安倍なつみ、飯田圭織、福田明日香の5人が揃っていました。都内某所にいるつんく♂が、彼女たちのユニット名を決めるとのこと。その映像を5人と番組MCのナインティナイン、永作博美が見つめます。
VTRが流れる直前、ユニット名について「漢字だったら面白い」(福田)、「英語がいい」(中澤と安倍)、「かっこいい名前がいい」(飯田)、「省略できるのがいい」(石黒)と各自が希望を述べていましたが、肝心のつんく♂が重視したのは「親しみやすさ」でした。つんく♂は候補として「たこ焼きシスターズ」「バイキング」といったユニット名を列挙し、その流れの中で「モーニング」というフレーズが出現します。
「モーニング娘。みんなに親しまれやすい娘たちや。朝、コーヒーだけ飲みたいねんけど、卵も付いてくんねん。トーストとピーナツバターも。モーニング娘。……大決定やこれ! モーニング娘。いいんちゃう? 案外と。説得力あるよ!」。
親が子供に授ける名前は初めてのプレゼントとも言います。モーニング娘。と命名したことは、つんく♂にとって、5人がまさに「娘。」となった瞬間でした。漢字、英語、省略できる、親しみやすい……モーニング娘。はメンバーの願望が総合的に実現した名前でもあったのです(かっこいいかどうかは主観によりますが……)。
その後、CD5万枚を手売りする全国握手会でデビューをつかみ取ったモーニング娘。が「LOVEマシーン」などのミリオンセラーを連発したのはご存知の通り。2015年の現在も「モーニング娘。'15(ワンファイブ)」として活動を続け、新曲をヒットチャートの上位に送り込んでいます。現在リーダーを勤めるのは9期メンバーとして加入した現在18歳の譜久村聖。ハロー!プロジェクトのことを愛してやまない彼女にも、もちろん看板への誇りが継承されています。