そもそも「ブラック企業」には、明確な定義がある訳ではありません。
一般に言われる特徴を挙げれば、低賃金での長時間労働や残業代の不払いなど、何らかの労働法規に違反しているような会社や、パワハラやセクハラといった嫌がらせが横行する会社などがあります。それに関連して離職率が高かったり、メンタルダウンをする社員が多いような会社は、「ブラック企業」に該当する可能性があると思います。
ただ、例えば労働法規ということでは、かなりの大手企業でも厳密に合致しているかがグレーな部分はあったりしますが、そういう会社でもやりがいと帰属意識を持って働く社員はたくさんいます。また、いじめや嫌がらせに類することも、人によってとらえ方が違ったりします。
このように、人によって異なる主観も含まれてきますし、業界や職種によってもとらえ方が違ったりしますので、「ブラック企業」かどうかをはっきりと切り分けるのは、なかなか難しいことだと思います。
そうは言っても、就職をする前にその企業が「ブラック企業」ではないか見極めたいと思うのは、誰でも同じだと思います。
この点で私からアドバイスできることとして、まず自分が興味を持った会社には、できるだけ直接足を運び、自分の目で確かめてみるということです。
特にネット上には、個別の企業名を挙げた書き込みが氾濫していますが、ネットの情報は、その発信源が一部の人に偏っていたり、ネガティブな情報に集中しがちな傾向があります。ですから、これらを多少の参考にするのは良いとしても、あくまでも「偏っているかもしれない情報」ということだけは認識しておいた方が良いと思います。
「ブラック企業」については、特にここ数年の就活生は非常に心配していて、過度に敏感になっているような印象を受けます。まずは、あまり周りの情報に左右され過ぎず、自分なりのアンテナで確かめていくことが、一番確実な回避方法ではないかと思います。
小笠原隆夫さんプロフィール(http://profile.ne.jp/pf/unity-support-ogasawara/)
IT企業出身の人事コンサルタント。2007年2月に「ユニティ・サポート」を 設立し、同代表。システム開発会社でのSE経験と豊富な人事実務経験を背景に、 組織が持つ特性を的確に見据えた人事制度策定、採用活動支援、人材開発、 人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務を専門的に支援するなど、 人事や組織の課題解決、改善に向けたコンサルティングを様々な企業に 対して行っている。パートナー、サポーターとして、顧客と協働することを信条とする。