工場の機械や家電製品の部品を取り扱う商社への内定がきまった田中さん。「旅行が好きだから海外での仕事を考えていた」という彼女だが、その女性らしいやわらかい口調からは「工場の機械」や「部品」という言葉は似つかわしくないように見える。理由は、過去の体験にあった。
「中国で働く父に連れられて大連の工場を見学したとき、自分と同年代の若い人たちの部品が積まれた机で働いている姿や、大きな機械から繊細な部品がどんどん生み出されていく光景を目にしたんです。そのとき、大好きな海外に携わるには、機械や製品を輸出する仕事もひとつの手段なのかもしれないと思った」
そして、将来について、「輸出した部品がカメラや掃除機の中にこっそり潜んでいて、誰かの生活を豊かにしているという実感をやりがいにしながら働きたい」と語ってくれた。きっと彼女が輸出した機械が、その国の多くの笑顔を生み出していくことになるだろう。