ここまで見てきた 「商品を仕入れて売る」というサイクルが、いわゆる会社の本業です。新聞やニュース記事で「本業のもうけをあらわす営業利益は○○円でした」などと表現される場合の営業利益は、このようなサイクルから計上される利益のことです。もちろん、本業が何であるかは業種、業態などにより多少なりとも異なります。今回見たような「物を仕入れて他に売る」という流通業のような業種もあれば、「材料を仕入れ、自社で製造・加工して売る」という製造業(いわゆるメーカー)もあり、業種、業態により、会計処理も多少なりとも異なりますが、一般的な理解としては今回挙げたような例で問題ないと思います。
話は脱線しましたが、この本業のもうけ以外にも、さまざまな利益指標があります。営業利益に営業外収益・費用を加減したものが 「経常利益」、いわゆる「ケイツネ」と呼ばれる利益です。この経常利益に、特別利益・損失、法人税などを加減した利益が「当期純利益」として表示されます。この当期純利益が、よく「最終損益」と呼ばれる指標です。
今回の記事はシンプルに説明するのが趣旨なので詳細は割愛しますが、営業外収益の主な例は、貸付金に対する 「受取利息」や保有する有価証券から得られる「受取配当金」、営業外費用の主な例としては、銀行などからの借入金に対する「支払利息」が挙げられます。これら全ての計算を完了した段階の利益として「当期純利益」が計上され、これは純粋に出資者である株主に帰属する金額とされています。
今回はここまでです。次回は、ここまでに解説した財務諸表を用いた財務分析について触れていきましょう。
注:本稿は大学生向けに分かりやすく財務諸表を解説することを趣旨としており、現代的な会計理論や最新の会計基準などとは一部異なる説明が行われています。ご了承ください。
文/道田哲史(あらた監査法人 ) あらた監査法人は、卓越したプロフェッショナルサービスとしての監査を提供することをミッションとし、世界最大級の会計事務所であるPwCの手法と実務を、わが国の市場環境に適した形で提供しています。さらに、国際財務報告基準(IFRS)の導入、財務報告に係る内部統制、また株式公開に関する助言など、幅広い分野でクライアントを支援しています。 なお、あらた監査法人ではテクノロジー、エンタテインメントなどの分野を中心に、業種別の財務分析事例を紹介しています。 あらた監査法人 http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/index.jhtml あらた監査法人(業種別会計事例紹介サイト) http://www.pwc.com/jp/ja/assurance/research-insights/accounting-case-study/index.jhtml |