客観的な数字で企業をチェック! 就活生向け「財務分析」基本のキホン - 財務諸表の読み方・前編 -​

客観的な数字で企業をチェック! 就活生向け「財務分析」基本のキホン - 財務諸表の読み方・前編 -​

2015/06/22

自己分析

企業研究

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■会社の主要な活動その1 - 商品を仕入れてみる

次に皆さんは地元の名産品を50万円で仕入れて遠隔地に売ることを考えます。ビジネスを始めたばかりの会社ではなかなかない話ですが、この商品の仕入先が掛け売りで良いと言ってくれました。掛け売りというのは、代金の支払いは後で行う売買のことです。よく用いられる類似例の説明としては、飲み屋で「ツケ払いで」といって飲食代金を月末などにまとめてもらうものがあります。

話が脱線しましたが、この仕入れ商品が皆さんの手許に届いたときの仕訳は、下記のようになります。

図3

この仕訳の「仕入」は、P/Lにおいて「売上原価」の内訳項目 「当期商品仕入高」として示されるものです。一方の買掛金は、代金を後で支払う義務ですからB/Sの右側に「負債の部」として計上されます。すると、B/Sは左側の資産の部に先ほど入れた運転資金である「現金100」が、右側の負債の部に「買掛金50」が、同じく右側の純資産の部に「資本金100」が計上されています。このままでは、B/Sの左側の合計が100に対して、右側の合計が150となり、左右一致しません。本来、B/Sも左右が一致するものですが、これはどういうことでしょうか。

図5

ここでP/Lの出番です。P/Lでは最終的に、「収益-費用」の等式として 「利益」が算出されます。収益とは、主に売上などです。皆さんが作った会社は現在、収益と呼べるものはありませんから、「収益0-費用50(仕入)」となり、利益は「-50」となります。そして、P/Lで計上された利益は「繰越利益剰余金」としてB/Sの純資産の部に加減されます。

図5

つまり、皆さんの会社のB/Sは現状、左側の資産の部において「現金100」が、右側の負債の部において「買掛金50」が、同じく右側の純資産の部において「資本金100」「繰越利益剰余金-50」が計上され、左側と右側とも合計値が「100」となります。

図6


こうして、皆さんが設立した会社はビジネスをスタートさせる準備ができました。次回は、商品を販売したり従業員を雇用したりという企業活動が、財務諸表にどのように反映されるかをみていきます。

注:本稿は大学生向けに分かりやすく財務諸表を解説することを趣旨としており、現代的な会計理論や最新の会計基準などとは一部異なる説明が行われています。ご了承ください。

文/道田哲史(あらた監査法人)

あらた監査法人は、卓越したプロフェッショナルサービスとしての監査を提供することをミッションとし、世界最大級の会計事務所であるPwCの手法と実務を、わが国の市場環境に適した形で提供しています。さらに、国際財務報告基準(IFRS)の導入、財務報告に係る内部統制、また株式公開に関する助言など、幅広い分野でクライアントを支援しています。

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