「オフショア」ってどういう意味? 意外と知らない経済用語を解説!

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経済ニュースに「オフショア」という言葉が登場することがあります。知っていて当然というように普通に使われるので「何これ?」と思ってもなかなか聞けませんね。今回はよく耳にするけれどあまり意味を知られていない用語「オフショア」の意味を解説します。

「オフショア」の広い意味は「岸の向こう」

「オフショア」とは英語の「Offshore」からきています。「off=離れる」「shore=岸」、つまり「オフショア」とは広い意味では「岸を離れた」「沖合の」という意味になります。

オフショアはもともと釣り用語としては「沖合での釣り」を意味し、またサーフィンでも使われてきた言葉です。一方でビジネスシーンでも金融市場やIT業界を中心に使われることが多くなりました。

ビジネスシーンにおける「オフショア」は、まず「海外(市場)」といった広い意味で捉えるようにすると分かりやすいです。ちなみに「Offshore」の反対語として「Onshore(オンショア)」という言葉もありますよ。

「オフショア」の金融用語としての意味と使い方

まず金融用語としてのオフショアについて解説します。

金融取引には「国」という観点でみると3種類あります。

1. 国内の投資家と企業だけで完結するもの
2. 片方は国内であるが、相手先の企業などは外国に属するもの

この2種類の取引を行うのは「onshore(オンショア)市場」と呼ばれ、自国の規制を受けるのが原則。分かりやすく日本で考えると、日本の税制やルールに従わなければなりません。それに対して…

3. 取引の双方がどちらも外国に属するもの

このように取引するもの同士が自分の国ではない「海外」で取引することがあります。これが「offshore(オフショア)市場」です。この3番目の取引をする市場のことを「オフショアセンター」などと呼んでいます。

オフショアセンターについて

「オフショア」は実際の金融用語としては以下のようにしてよく使われます。

・オフショアセンター
・オフショア金融センター
・オフショア市場(マーケット)
使い方例)「オフショアセンターは香港やシンガポールにもある」

基本的な意味はどれも同じで、先ほどの3番目の取引(外国に属するもの同士の取引)を行う市場のことを指します。ちなみに世界の金融取引の中心地の一つであるロンドンもオフショアセンターの一つです。

なぜわざわざ海外で取引をするのか。それはずばり「オンショア市場」での取引よりも規制が緩やかで、税金などの優遇措置を合法的に受けられるためです。

一方、オフショアセンターの方でも外国の投資家や企業を積極的に誘致。活発に取引してもらうことで結果的に自国の経済が潤う、という仕組みなのです。

オフショア・マーケットはニーズが大きい!

わざわざよその土地に行ってまで? と思われるかもしれませんが、このニーズは非常に高いです。

例えば、日本企業がロンドンに行ってワラント債(新株予約権付社債)を発行、それを日本企業がロンドンで購入するといったことが行われています。日本のオンショア市場だと税金も高いし規制も多いから、というわけですね。

ちなみにロンドンはもともと規制が緩やかであったため、オンシェア市場と区別されずにオフショア市場が発生しやすかったという背景があるようです。

「オフショア」は多くのビジネスシーンでも使われる

次に、金融以外のビジネスシーンでも使われる「オフショア」について見ていきましょう。実は「オフショア」は物理的な「沖合」という意味に基づく使い方をされることもあります。
例)オフショア発電:沖合の発電所で発電すること

そして「オフショア」は冒頭でもお伝えした「オフショア≒海外」といった意味合いから様々な派生語として使われています。ここでは代表的なものをピックアップしました。

オフショアリング

オフショアリングとは、一言でいうと「海外に移すこと」。企業が行う事業を海外拠点へと移すことを意味します。
使い方例)「○○企業はオフショアリングが進んでいるね」

海外には日本よりも物価が安い国があります。そのような国へ事業をオフショアリングすることによって、人件費を含めたコスト削減を実現することができます。

ちなみに似たような言葉で「アウトソーシング」という言葉がありますが、こちらは主に「国内」で業務を外部委託する際に用いられています。

オフショア開発

オフショア開発とは主にIT業界で使われる用語で、海外でIT関連のシステム開発を行うことを指します。
使い方例)「ミャンマーも日本からのオフショア開発案件が増えてきた」

先ほどもお伝えしたように、海外には日本よりも物価や人件費が安い国があります。そのような国でオフショア開発を行うことでコスト削減となり、企業としての競争力を高めることができるのです。

ベトナムでのオフショア開発について

近年特に存在感を増してきている「オフショア開発」。ここでは特にベトナムでのオフショア開発について掘り下げていきます。

ベトナムは日本のIT企業のオフショア開発先として大人気。一番人気の中国やインドと並ぶ勢いとなっています。

ベトナムでのオフショア開発の魅力は、国を挙げてIT開発人材を育成しているため優秀な人材が多いこと。それからベトナム人には親日的な側面があると言われ、良好なコミュニケーションにつながっているようです。

その反面いくつかの課題もあります。一つはベトナムの経済成長が著しく、物価が上がって以前のようなコスト削減効果が見込めないこと。それから親日的なベトナム人であっても言葉の壁があることは否めません。

そしてもう一つ、これはベトナムに限りませんがオフショア開発の活発化によって、日本国内の雇用が影響を受ける可能性があることも事実です。今のところ日本国内ではITエンジニア不足が叫ばれているものの、エンジニアを目指す日本の学生が望む仕事につけるように、日本国内での雇用も守っていきたいものです。

まとめ

今回は「オフショア」という言葉について深掘り解説してきました。オフショアはそれ単独ではなく、色々な派生語として使われることが分かりました。今後、グローバル経済の中でオフショアリングはますます加速していくことでしょう。

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