取得すれば一生の武器? ―税理士の魅力を徹底解説 ―
みなさんは“税理士”ときくと、どのような印象を受けるでしょうか。「専門知識を扱う難しい仕事である」というイメージがある人も多いのではないでしょうか。たしかに税理士は専門知識が必要であるため、資格取得が難しいといわれています。一方で、資格を取得できれば一生の武器にもなります。そして、意外にもワークライフバランスを自分で選択できる柔軟な働き方ができる仕事でもあるんです!
知っているようで意外と知らない“税理士”の仕事。今回はそんな「税理士」について、先日行われたイベントの内容を通して紐解いていきます!
「税理士」の魅力って?
税理士とは、大切な税務に関わることを許されている職業です。特に、「納税者に代わって税の申告を行う税務代理」「確定申告書等を作成する税務書類作成」「納税者にアドバイスできる税務相談」の3つは法律の定めで税理士だけが行えます。
税理士というと税務書類の作成などデスクワークのイメージを持たれている人が多いかと思いますが、実際にはクライアント先に出かけることが多いのも特徴。クライアントである個人事業主や経営者などの新規ビジネスの相談に乗ったり、経営状況をヒアリングしたりと、経営者のホームドクターのような存在なのです。
そんな税理士の魅力は柔軟に働けるところ。大手会計事務所で働く方から、独立開業する方働き方は様々です。そのため、自分の理想であるワークライフバランスで仕事がしやすいといえるでしょう。
税理士の仕事について知りたい!
実際に税理士の方はどのように働かれているのでしょうか? 今回リアルな働き方を知るべく、税理士先生方にお話を伺いました。
教えてくれたのはこの先生!

千葉県税理士会 竹田光孝先生
千葉県習志野市で個人事務所を経営。
地元に密着し、気軽に相談できる身近な税理士として、中小企業の会計・税務・経営相談を行っている。
税理士としての働き方は、大きく3つ挙げられます。1つ目は個人事務所または中小税理士法人に勤務して税理士としての一通りの仕事を経験する働き方。2つ目は、大規模税理士法人に所属すること。3つ目は独立開業する働き方です。
例えば2つ目の大規模税理士法人の場合、国際税務や組織再編、M&Aなどのより専門的な仕事ができるのが特徴。ちなみに、多くの税理士は3つ目の独立開業を目指して、個人事務所や税理士法人等で実務経験を積み、30代40代以降で独立する将来設計を描いています。
税理士の仕事は、基本的に学歴などは関係ありません。資格を後ろ盾に起業すると考えてください。また、独立開業すれば定年退職がありません。顧問契約を結ぶことができれば収入は安定します。全国どこでも働ける点や、出産育児休暇なども自らコントロールできる点もあり、女性にとっても働きやすい仕事といえるでしょう。
本音に迫るトークセッション
税理士の仕事についてわかったところで、実際に税理士の仕事について税理士の先生はどう考えているのか、先生方の本音に迫ります。
教えてくれたのはこの先生!

東京税理士会四谷支部 塚崎純代先生
個人事務所と周辺業務を行う法人事務所を経営。
法人の設立や節税対策の相談のほか、株式評価を含む事業承継や相続対策の相談にものっている。

千葉県税理士会船橋支部 山田卓生先生
法人や個人事業者の月次監査、決算・申告のほか、相続税や贈与税申告・財産評価業務にも力を入れている。
―先生方が税理士になったきっかけを教えてください。
実は僕、なんとなく就職に有利かなと考え理系の大学に進学したものの、自分の将来についてノープランでした。ただ、専門知識を持って、活躍できる仕事につきたいという思いがあり、税理士を志しました。
私はもともと、親が司法書士をしていたため、親の希望もあり法学部に入学したのですが、弁護士や司法書士の勉強は難しくて……。そんななか、簿記や財務諸表論など計算で答えが出る税理士の方が向いているのではないかと思い、税理士の勉強をはじめましたよ。
―税理士のやりがいと魅力について教えてください。
やりがいは、「経営者の右腕となって頼りにされること」です。お金の管理は会社の命運を分けるといっても過言ではないと思います。そんな責任のある仕事はやりがいがありますし、税理士の魅力です。
私は働き方にバリエーションがあることに魅力を感じています。私自身、現在は一人で事務所を経営しておりますが、以前は500人規模の事務所で働いていました。扱う内容も、身近な方の相談から、金融や不動産などお客様の業種を限定して専門性を高めていく業務まで様々あり、自分の特性に合わせた働き方ができます。
確かに周りの先生方を見ていると働き方のバリエーションは豊かですね。私の場合、現在は家族の時間を大切にしながら働けていて、税理士になってよかったと感じています。ただ、私はその働きやすさ以上にも魅力的なのが、「税理士資格が一生ものであること」だと思いますよ。
そうですね。一回取得すれば一生使えるので、仕事を離れた後でもまた仕事を再開しやすいです。
税理士についてのギモン
イベントでは、実際に学生のみなさんと先生方がお話しすることができる座談会も開催されました。実際に学生のみなさんが行った質問をいくつかピックアップ!
―Q税理士は、税以外どのような知識が必要ですか?
A.働き方や取引先の職種により必要な知識が異なります。医療法人専門の税理士、飲食業の顧客が多い税理士、著名人に顔が広い税理士などがいて、専門に応じて知識が必要です。町に密着して幅広い顧客と仕事をする場合、お子さんの進学の相談などを受けることもあります。そんな様々なお客様に合わせて話をすることも税理士の仕事の一部です。
―Q.電子申告など時代が変化するなか、税理士の仕事はどうなっていくと思いますか?
A.そろばんの時代から電子申告まで、時代に応じて税理士の仕事もやり方は変わり続けています。デジタル化が進んでいくと、伝票整理は減る代わりにコンサルタントとしての仕事の部分が生かされていくと考えていますよ。
―Q.独立開業後、どのように顧客を獲得していくのでしょうか?
A.私の場合は、税理士法人に13年勤務しておりましたので、そのころからの長い付き合いをしてくださっているお客様と友達、家族、知り合いからの紹介でお客様になってくれる方が多いです。お客様から紹介いただけることもあるので、いつ何時も誠心誠意お客様に向き合うことが次の仕事につながります。
暮らしに寄り添う税理士!
税理士の方々から直接仕事や働き方を伺うことができた今回のイベント。参加してくれた学生のみなさんのなかには、「なんとなく」の興味から「なりたい!」という気持ちに変化した方もいて、有意義な時間になったようです。
この記事を読んで税理士について興味を持った方は、日本税理士会連合会のホームページも参考にしてみてくださいね!
日本税理士会連合会
全国15の税理士会で構成されている日本税理士会連合会(日税連)。税理士業務の改善進歩に資するため、税理士法で設立が義務づけられている法人です。 各税理士会では、無料税務相談会、講演会、税金セミナーなど、納税者のための事業を幅広く行っています。人びとの生活と切り離せない税について、プロフェッショナルとしてサポートしています。
提供:日本税理士会連合会