独学でプログラミングを学んで就職するための勉強法
私たちの生活を支える新しいサービスの多くは、インターネットを通じて提供されています。それにともない多くのIT人材も求められており、プログラマが担う役割は、制御・組込系からアプリケーション、Webなどますます活躍の場が広がっています。
このような状況下でニ ーズが高いプログラミングを、どうにか独学で習得することはできないものか? と考える人は少なくないと思います。そこで今回は、「独学でプログラミングは学べる」ことを前提に、学ぶときに気をつけること、決めておくべきことを現IT研修講師として活躍し、自らもエンジニア経験を持ち多くの現場経験がある斎藤和明さんにお聞きしました。
目次
学習時間と期間はどれくらい必要?

学習全般にいえることですが、プログラミング学習も目標を設定することが大切になります。最終的に就労する、資格を取得するなど、明確な目標があるとモチベーションもアップします。
明確な試験日がある国家資格試験は、目標設定を逆算すると学習時間を割り出しやすくなります。プログラミング学習では、例えばビジネス能力認定のサーティファイが主催する「Javaプログラミング能力認定試験」は、2~4カ月ごとに試験を受けることができます。就職にも有利になるオラクル主催の「Oracle認定Javaプログラマ」は、自分のレベルに合わせて随時受験することも可能です。
監修:斎藤さんのコメント
独学で学ぶときは、まず目標を設定することが大事です。目標・指標を持って学習することで、モチベーションを保ち、だらだら学ぶことを抑止することができます。資格取得を目標とするのも、1つの方法だと思います。
また大学に通いながら、就労しながら学ぶ人も多いと思います。状況は違っていても、自身で毎日決まった時間に学習できるかがポイントになります。学習構造は、前半で基本的なことを記憶。後半で覚えた知識を応用することになります。前半に強い人、後半に強い人など個人によって学習進捗は大きく変わります。
よって1日の学習時間も最大限確保することが望ましいところです。たとえば「Java言語」入門レベルまでの学習目安としては、「1日1時間の勉強で約6カ月、約200時間」となります。入門レベルとは、実際に業務で使えるレベルではなく、基礎的なことを覚えるまでです。研修やスクールでの受講時間・期間も同程度になりますが、独学の場合は時間を多くみておくといいでしょう。
【学習時間と期間の目安】Java言語の場合
●1日1時間で200日(約6ヶ月)
●1日2時間で100日(約3ヶ月)
監修:斎藤さんのコメント
プログラミングの学習は、毎日コツコツとつづけることが重要になります。土日に集中して数時間学習する方もいますが、プログラミングは一夜漬けでなんとかなるものではありません。1日15分でも30分でも勉強する時間を作り、習慣付けすることが大切です。
また学ぶ時間帯は、できれば朝がおすすめです。夜の時間帯は、急に別の予定が入る場合もありますが、早朝であれば起床時間のさじ加減で予定を空けることができるためです。
独学でプログラミングを学ぶときチェックしておきたい情報
独学のポイントがわかったところで、次に重要になるのが自力での情報取集です。学習内容は、Webや書籍でみつけることができますが、その情報が正しいのか、最新なのかは、なかなか判断が難しいところです。そこで、監修おすすめの3サイトと、著書を含むおすすめ書籍3冊をご紹介します。
独学するなら見ておきたいおすすめサイト
監修:斎藤さんのコメント
サイトを見るポイントとしては、自分で手を動かしながら学べるかどうかです。どれだけ記事を見ても、コードを書くことを覚えなければプログラミングを習得することは困難です。無料でもコードを書いて学習できるサイトは多数あるので、自分が好きなものを選ぶといいでしょう。
■progate
https://prog-8.com/
月額制もありますが、無料でもいくつか学べるコンテンツがあります。イラストが多く使われおり、初心者にもやさしいサイトです。無料版でプログラミングがどんなものかを試すには、いいのではないでしょうか。
■paiza
https://paiza.jp/
動画中心で学べるサイト。3分程度の動画のため、ちょっとした隙間時間に学べるのがポイントです。
■schoo
https://schoo.jp/
動画で学習できるサイトです。paizaと違い、講義形式の動画でガッツリ学びたい方向けです。
独学するなら読んでおきたいおすすめ本
監修:斎藤さんのコメント
本を読んで学習するときの注意点は、サイトと違いプログラミングをするための環境を自分で構築する必要があることです。最初は環境作りに手間取る可能性もありますが、仕事で使う際にも必要な環境ですので、やっておくことを推奨します。また技術だけでなく、業界全体の動きも知っておくことが大切です。
『これからはじめるプログラミング 基礎の基礎』(技術評論社)
プログラミングだけでなく、コンピュータなどIT知識を基本から学べる本。IT業界初心者の方にもおすすめです。
『ちゃんと使える力を身につける Webとプログラミングのきほんのきほん』(マイナビ出版)
プログラミングが中心の本。イラストと一緒に学べるため、コンピュータの基礎よりも、プログラミングに特化して学びたい方におすすめです。
『フリーエンジニアで成功するためにやるべき54のこと』(秀和システム)
著書になりますが、フリーエンジニアとして活躍するためのコツをまとめています。技術力だけではなく、営業力やコミュニケーション力がなぜ必要なのかを理解することができます。
独学で就職にたどり着くために必要なこと
結論、自身を律すれば独学でプログラミングを学ぶことはできます。学習スタート時は、毎日30分サイトや本でみたコードを繰り返し入力し続ける。ベースを覚えたら応用する。そして自分が入力したコード上でプログラムが動いた瞬間、学習の成果と喜びを得ることができると思います。
その先にある就職まで考えるときは、先に紹介した資格試験も併せて考えると有利になります。Oracleの資格は、それなりの学習が必要になりますが持っているのと、持っていないのとでは雲泥の差があります。一足飛びにたどり着くのは難しくとも、コツコツ継続することで、学習した先が見えてくるはずです。
監修
斎藤和明
IT研修講師。ニュータイプエンジニア養成講座主宰。
https://love-survivor.com/
神奈川県倫理法人会 後継者倫理塾 第四期生。株式会社ラブサバイバー代表取締役。
◎1984年埼玉県坂戸市生まれ。浦和大学卒業後、IT企業に就職するが、心療内科でうつ病と診断され休職・転職することに。「現状を変えたい」との思いから、お笑い養成所「ワタナベコメディスクール」に入学(第16期卒業)。会社員として勤めながら、お笑い芸人としてライブ出演等を行っていたが、結婚、妻の出産を機にお笑い芸人活動を引退。
◎転職を重ねるごとに100万、200万と年収アップに成功し、2017年には、茨城県を中心に活動する人材派遣会社へ就職。約1,100名の会社で、IT部門の立ち上げに当初から関わる。歴代最速および最年少でIT部門のマネージャーに就任。社内で唯一のIT研修講師に抜擢され、自社および他社の新入社員研修を行いつつ、人事および営業も兼任。トップセールスとなる。
◎2019年、フリーエンジニアとして独立した後、株式会社ラブサバイバーを設立。システム開発、IT技術研修、YouTube企画運用を主な事業とする。現在は、IT業界からうつをなくすことを掲げて、日夜講演活動を行っている。趣味は読書、経営者モーニングセミナー。
近著『フリーエンジニアで成功するためにやるべき54のこと』(秀和システム)
◎編集・執筆:松田政紀(アート・サプライ)
◆初めてのプログラミング言語と学び方を覚えよう
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