「夢」に大小なんてない。chay、経験を重ねた今だからこその気づき #19才のプレイリスト

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人生はきっかけの連続だ。だからこそ、自分のやりたいことをどう選べばいいのかわからない。今何をするべきなのか迷ってしまうという大学生のために、「音楽」という道を選んだアーティストに直撃し、19才の頃に聴いていた楽曲を元に人生観を語っていただく連載『#19才のプレイリスト』。

第11回目となる今回は、chayさんが登場。「歌手になる」という夢を叶えるために奮闘していた19才の頃、ずっと唄い続けることが夢だという今現在に焦点を当てながら、年齢に伴う考え方の変化や、それを受け入れながら生きていくことについて、お話を伺いました。

文:蜂須賀ちなみ
 写真:友野雄(YU TOMONO)
編集:学生の窓口編集部

19才のプレイリスト

――chayさんは19才の頃、どんな生活を送っていましたか?

chay:大学に行きながら、音楽塾ヴォイスに通っていました。

わたし、幼稚園の頃からずっと歌手になるのが夢だったんですよ。19歳の頃、大学に入ると同時に本格的に音楽活動を始めたんですけど、歌手のオーディションをいっぱい受けたのに、全部落ちてしまって。「自分には何が足りないんだろう?」と考える日々のなかで、その塾に入ることに決めました。

学校が終わったらすぐに塾に行って、自宅に帰ってからもずっとギターを弾いていたので、1日6~7時間は弾いていたと思いますね。「寝る・食べる・大学行く」以外はずっと音楽活動。

だから大学生の4年間はほとんど音楽のことしか考えていませんでした。授業とかの記憶もほぼないですね(笑)。

――挫けそうになったことはありませんでしたか?

確かに、ギターをずっと弾いていると指がすごく痛くなるし、遊ぶ時間もありませんでしたし、大変だなと思うことももちろんありました。

だけど、天秤にかけたとき……いや、天秤にかけるまでもなく、他の何よりも、夢を叶えることが大事だったんですよね。ちょっとずつ夢に近づけているという実感もあったので、全然苦じゃなかったです。

ただ、歌手になることを両親から反対されていたんですよ。そのなかで、内緒で塾に入ったり、路上ライブをやったりしていたので、誰からも応援してもらえない感じがしたというか。疎外感みたいなものはちょっとありました。

最終的には両親からも応援してもらえるようになりましたね。わたしが思った以上に本気だったから、両親も「一つのことにこんなに没頭しているところを見たことがない」「そんなに好きなら挑戦してみてもいいんじゃないか」と思ったみたいで。徐々に認めてもらえるようになりました。

――夢に向かって頑張っていた19才の頃、よく聴いていた曲を教えていただけますか。


Michelle Branchの「All You Wanted」という曲をよく聴いていた覚えがあります。Michelle Branchは当時何才だったんだろう? わたしと同じように、女性で、ギターを弾きながら唄う方で、けっこう若かったと思うんですよね。

憧れというか、「こういう素敵な弾き語りができたらいいな」と思っていました。「All You Wanted」はたくさん聴きながら練習した曲です。

悔しさを感じざるを得なかった、だけどそれを原動力にしてきた

――19才って、徐々に現実の厳しさも感じ始める年齢ですよね。小さい頃は将来の夢を聞かれることも多かったけど、大学生になってからそういう話をすると「まだ夢見てるの?」と言われるようになるというか。

わかります。大学3年生になると就活が始まると思うんですけど、「しっかり就活してしっかり就職する」という選択がいいとされているような価値観があった気がして。

そのなかで、歌手を目指すことは本当に珍しいことだったし、だからわたしは友人にもあまり言っていませんでした。

――毎日ギターを背負っていたらバレてしまうと思います(笑)。

そうなんですよ、毎日ギターを背負ってたので気づかれてしまいました(笑)。

それで夢を見ている不思議な子として扱われていた記憶があるんですよね。みんながスーツを着て就活を頑張っているなか、わたしは一人で路上ライブをやっていて。そこで勝手に劣等感や疎外感を感じていた時期もありました。というか、あの時期は感じざるを得なかったと思います。

とはいえ、「もしも失敗したらどうしよう」「一応就活しといたほうがいいのかな?」とは1ミリも思わなかったんですよね。「悔しい」「認めてもらいたい」「(夢を)叶えられないと言っている人たちを見返したい」という感情は、むしろ当時の自分の原動力になっていました。色眼鏡で見られれば見られるほど、燃えてましたね。

挫けそうになったときの打開策は「夢を増やす」こと

――ということは、自分から夢を諦めそうになった経験はあまりないですか?

わたしの場合、そういう時期が来るのがちょっと遅かったんですよね。実は、デビュー5周年ぐらいの頃だったと思うんですけど、昔のように、「(日本)武道館に行くぞ!」みたいな大きな夢を口にしづらいと感じていた期間があったんですよ。

というのも、デビューしてからたくさん現実を突きつけられて……。誰かになにか言われたわけではないんですけど、自分の夢と当時の実力との乖離を、自分で察してしまったというか。

それで、壮大な夢を堂々と口にすることが、恥ずかしくなってきてしまったんです。

――それは乗り越えられたんですか?

乗り越えられましたね。なぜ乗り越えたのかというと、別の夢ができたんです。若い頃のわたしには、勢い任せなところもあったんですよ。「武道館!」って一度思ってしまったらそこを気にし過ぎてしまい、漠然と、「武道館こそが最強の夢」みたいに捉えてしまっていました。

だけど、もっといろいろな夢があっても全然いいんですよね。それに気づけてからは気持ちが楽になりました。武道館はもちろん今でも目指しているんですけど、他にも今は、「ずっと唄い続ける」、「もっと寄り添える曲を書けるようになる」という夢があります。

――きっと視野が広がったんでしょうね。

そうですね。視野が広がったんだと思います。違う種類の夢を持てるようになったからといって、それが武道館よりも劣っているとか、夢のレベルが小さいとか、そういうことではないんですよね。

先輩方とお仕事をご一緒にさせていただく中で、長く唄い続けることのすごさや大変さを知って。そういうふうに、大人になってから徐々に考え方が変わってきています。

これからの自分がどんな曲を書くのか楽しみ

――10月28日にはchayさんにとって初めてのベストアルバム『Heart Box』がリリースされました。数年前にリリースした曲を聴いてみて、今改めて感じることってありますか?

今回のベストアルバムには入ってないんですけど、まさに19才のときに書いた「nineteen」という曲があるんですよ。

――2015年リリースのアルバム『ハートクチュール』に収録されている曲ですね。

はい。これって多分、18才のときにも、20才のときにも書けなかった曲で。「これから自分はどうしていったらいいんだろう」と悩んでいた時期だからこそ書けた曲だと思うんですよね。

そういうふうに、今しか感じられない気持ち、今しか書けない言葉を大事にしながら、瞬間瞬間を切り取って(曲を)作ってきたので。わたし自身、このベストアルバムを聴きながら、懐かしいなあと感じましたし、「こんな出来事があったなあ」というふうに振り返るきっかけにもなりました。

今回のアルバムで最後に収録されている「それでしあわせ」は、元々、シングルで出したときは華やかなアレンジだったんですよ。だけど、歌詞を改めて読んだときに、今だからこそもう一度伝えたい想いがあると感じたので、ピアノと自分の歌声だけのシンプルなアレンジで改めてレコーディングしました。まさに今聴いてほしい曲だなと思います。

――新曲の「花束」、「永遠の針」は、どちらも「永遠」がキーワードになっているように感じました。

「永遠」という言葉は他の曲にも出てくると思うんですけど、やっぱりデビューしてからいろいろな経験を重ねてきたので、同じ言葉でも、その言葉に対する思い入れ、深みみたいなものは絶対に増していると思うんですよね、だからこそ今まで以上に強い想いをそこに込めているなあと、今言われて気づきました。

――2曲目の「Together」は路上ライブ時代からある曲で、ライブ定番曲でもありますが、音源化されるのは今回が初めてです。

わたしにとって何よりも思い入れのある曲で、ファンのみなさんと繋がっていることを感じさせてくれる証のような曲です。ファンのみなさんと一緒に曲が育っていっている感じがしているので、ベストというタイミングで音源化できてよかったですね。

――今仰った「曲が育っていく感覚を味わっている」という話には、先ほど出てきた「ずっと唄い続けることが夢」という話と通じる部分がありますよね。

確かにそうですね。わたし、5月に結婚を発表させていただいたんですけど、年齢を重ねて、状況や環境が変わっていくと、考え方や価値観も当然変わっていくものだと思っているんですよね。

いつも「今」を大事にしながら曲を作ってきたので、これからも背伸びをせず、等身大の気持ち、今しか感じられない気持ちを言葉にしていきたいと思います。そうして同世代の女性に寄り添えるような楽曲づくりを続けていきたいですね。

これからの自分がどういう曲を書いていくのか、すごく楽しみです。

編集部:ゆう

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学生に「一歩踏み出す勇気」を持っていただけるような記事を届けたいです。

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