話題になるけど5Gってそもそもどんなもの? 素朴な疑問を今解説
数年前から、社会が変わると言われ続けてきた「5G(ファイブジー)」。本格的にサービスが開始して、身近になってきましたが、スマホの回線が速くなるだけじゃないの? という人もまだ多いのではないでしょうか。
ところが、詳しく調べてみると、これからの社会を大きな変える技術転換が起こるようです。
そこで、書籍『これからの5Gビジネス』の著者であり、Youtubeで『スマホ業界ニュース』の配信も手掛ける、石川 温(いしかわ つつむ)さんに、5Gとはどのようなものなのか? 5Gでどのように社会が変わっていくのか? お話を伺いました。
▼INDEX
Q1.5Gとはそもそも?
Q2.特に注目な特長はありますか?
Q3.具体例に、この業界はこう変わるという例は?
Q4.5Gの大学生的なメリットは?
Q5.5G対応のスマホにすぐに乗り換えたほうがいい?
Q6.5Gが普及すると仕事はどう変わる?
Q7.5Gの先、これからの時代はどのように変わる?
5Gって何が変わるの?
5Gとはそもそもどういった特徴があるのでしょうか?
5Gは大きく3つの特徴があります。「高速・大容量」「超低遅延」「多数端末接続」です。この3つが大きく進化することによって、様々な産業などに変化をもたらすと言われています。
イラスト出典:石川温/著『これからの5Gビジネス』p23,MdNコーポレーション
3つの特徴の中で特に注目なモノはありますか?
「多数端末接続」でしょうか。5Gは大量の通信機器が通信をしても耐えられるようなネットワークになりました。4Gでは1平方キロメートルあたりに10万台のデバイスが同時接続できるとされていましたが、5Gでは100万台のデバイスが同時接続可能になります。
世間で言われているIoTの世界観も5Gで実現してくるだろうと言われてますし、それによって今までアナログチックに動いていたものがデジタル化されて、さらに効率化していきます。
また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進で、様々なものがデジタル化して産業構造が変わっていく、と言われているので、おそらく数年後には色々な業界の仕組みや構造が、多数端末接続とIoTやDXで変わっていくのではないでしょうか。
IoTとは:
IoT(Internet of Things)は、センサーやデバイスなどあらゆるモノがインターネットにつながって通信をすること
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは:
DXは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念のこと。2018年に経済産業省が「DXを推進するためのガイドライン」を取りまとめたことで話題に上がることが増えました。ガイドラインでは、DXの定義を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」としています。
具体例に、この業界はこんな感じになる、という例があれば教えてください。
農業であれば、畑や水田に大量のセンサーを設置して管理することで、わざわざ見に行かなくても手元のスマートフォンで状況をチェックできるようになると言われています。必要なときだけ出かけていく、と。ほかにも、IoTと5Gを組み合わせて、トラクターや稲刈り機の自動化運転も視野に入っているとも言われています。
このような形であらゆるモノにセンサーが載って、データ通信によって管理できるという社会になってくるのでしょうね。
イラスト出典:石川温/著『これからの5Gビジネス』p95,MdNコーポレーション
5Gはデータ使い放題!?
5Gになることで大学生的にはどんなメリットがありますか?
メリットは大容量で使えるというところです。どの携帯電話会社も料金プランを提供していますが、データ使い放題を謳っているところもありますし、表向きは月100GBというような容量制限をしているところもキャンペーンで使い放題になっています。
ですので、スマートフォンでどんなに動画を見ても料金は上がらないですし、テザリングでパソコンと繋いでも使い放題なのはメリットが大きいかなと思います。
※テザリングの容量制限があるプランもあります
例えば、学生さんの一人暮らしであれば、自宅に光回線などを引かずに、スマートフォンだけでインターネット通信をすれば、1回線で完結するので通信費が安く抑えることもできるでしょう。それに、「月末にギガがなくなった」みたいなことが言われますが、そういったストレスから解放されて、インターネットを使い放題で使えると。
2020年になってビデオ会議や、オンライン授業が非常に増えていて、今まさにオンラインで授業を受けられていると思います。オンライン授業もギガがたりなくなる要素のひとつだと思いますし、これからますますオンラインでのコミュニケーションが増えてくるので、5Gのスマホを持っているのはメリットがあると思います。
5G対応のスマホにすぐに乗り換えたほうがいいですか?
現状だと5Gのスマートフォンはまだ高いものが多いので、いきなり飛びつく必要はないです。ただ、製品のラインナップは増えてきますし、2021年の後半くらいには新しく発売されるすべてのスマートフォンが5G対応しているだろう、とも言われているので、意識しなくても5Gのスマートフォンに買い換えているかもしれません。ですので、急ぐ必要もないですし、5Gが当たり前になるのはもうすぐでもあるかなと思います。
とはいえ、5Gはまだ電波が飛んでいるところは限定的です。現状だと、それぞれの携帯電話会社のサイトでどこで電波が飛んでいるかを確認したうえで、その場所に行かないとつかまないような状態なんですね。
ただ、5Gの電波が使えていない状態でも4Gでの通信はできますし、データ使い放題の料金プランも適用されているので、じわじわと5Gネットワークが広がっていく様子を体感すればいいのかなと思います。
これからの仕事はどうなる!?
5Gが普及すると仕事はどう変わっていきますか?
リモート社会がますます当たり前になってくるのかなと思います。会議や打ち合わせは、これまで以上にオンラインになっていくでしょう。今のビデオ会議って、音質が悪かったり、画質がいまいちだったりしてリアリティに欠ける部分もありますよね。
それが5Gになることによって、もっと高画質になって、もっといい音になって、さらには仮想現実的な、例えば、ホログラム的なものが自分の周りに浮かんできて、あたかも打ち合わせ相手がその場にいるような形で打ち合わせができるようになるかもしれません。
リアルに人が表示される感じになっていくと思うので、そうなるとコミュニケーションの形も変わってくると思いますし、仮想現実の世界も5Gによって進化して、その進化によって仕事もやりかたも変わっていくんでしょうね。
5Gの先には6Gも検討されているとききました。6Gは2030年を目安だそうですが、これからの時代はどのように変わっていくのでしょうか?
おそらく、今までの常識が通用しなくなってくると思います。2020年は生活様式が大きく変わりました。インターネットがあったからこそ、仕事がまわってるということは多くの人が実感していると思いますし、5G、6Gでネットに依存する社会はますます加速するのかなと。
それに、いろんなものがリセットされるタイミングになってきてると思いますし、そこに5Gを組み合わせることによって、まったく新しい産業も出てくると思います。それこそ、学生さんがアイデアを出して大きな会社を作ることができることになるかもしれないし、会社自体も本業がガラッと変わっていくことも考えられます。
だからこそ、変化のタイミングをどう捉えるかと、変化したときにどう生き残っていくかを考えさせられる時代になってくるのかなと思いますね。学生さんは、自分たちが主役になってこれからの変化を作っていけるんだろうなって気がするので、学生さんに非常に期待したいなと思いますし、むしろ面白い時代になってくるんじゃないのかなと思いますね。
まとめ
スマホの通信が速くて安定していて使い放題!となるのは、私たちにとって非常に嬉しいことですね。
さらに、5Gが一般的になっていくにつれ、スマホ以外の多くの機器もインターネットにつながるようになり、身の回りにあったサービスの形も大きく変わっていくようです。
新しい働き方、新しい暮らし、といったものが、一部の人の先行事例のようでしたが、まさにこれからみんなのものになる可能性を秘めています。大きな変化にびっくりするかもしれませんが、これからの社会を作っていくみなさんが、ぜひ「自分たちの時代だ」と捉えて、楽しみながら変化を作っていってくださいね。
文:砂流恵介
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