宇宙人は本当に存在する? 天文学者の見解は #もやもや解決ゼミ

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「宇宙のどこかに人類のような知的生命体がいるのかなぁ」なんて考えながら夜空を見上げたことはありませんか。誰でも一度は「宇宙人がいるか、いないか」と考えたことがあるでしょう。

宇宙人は本当に存在する? 天文学者の見解は #もやもや解決ゼミ

今回は「宇宙人の存在」について、『兵庫県立大学 天文科学センター 西はりま天文台』の鳴沢真也博士に伺いました。鳴沢博士は、宇宙人の信号を探知しようとする世界的プロジェクト「SETI(※1)」「OSETI(※2)」にも携わっていらっしゃいます。

「地球外知的生命体」は、いて当然である

「宇宙人は存在するのか」というご質問ですが、天文学者は「いて当然」と考えます。むしろいないほうがおかしい。

ここが大事な点ですが、この宇宙人というのは「知的生命体」のことです。バクテリアや単細胞生物といったごく原始的な生物であればもっと多く存在するでしょう。しかし、残念ですが「太陽系には私たち以外に知的生命体はいません」。ここまでは天文学者の間でも広く同意が得られています。

では(太陽系のある)「天の川銀河」はどうでしょうか。これについては意見が分かれ、「いるという学者」と「いないという学者」がいます。私自身としては「いるとしてもそれほど多くはないだろう」という意見です。

しかし、よその銀河という話になれば、これは爆発的にいるといえます。なぜそう言い切れるのかというと、根拠は「星の数」です。

1つの銀河には10の11乗個の星があります。また、私たちが観測可能な範囲に存在する銀河の数は10の11乗個あります。つまり、私たちが知る範囲だけでも星の数は10の22乗個あるわけです。これは地球の海岸に存在する砂粒の数よりまだ多いといわれます。

それだけの星があって知的生命体が地球人だけ、ということはあり得ません。そのため、天文学者の間では「地球外知的生命体、宇宙人は存在するのが当然」なのです。

ですから、問題は「いる」「いない」ではなく、「どこにいるのか」「どのくらいいるのか」「文明の密度はどのくらいなのか」「どうやって知的生命体を発見(確認)するか」といったことになるのです。

「地球外知的生命体」は生物の形をしていないかもしれない

「宇宙人(地球外知的生命体)はどんな形をしているのか」とよく聞かれます。昔はそれこそ「タコの形をした火星人」、最近では「グレイタイプ」と呼ばれる宇宙人がポピュラーですが、地球と交信できるほど文明が発達した知的生命体は、生物の形をしていないかもしれません。

最近では、脳の電気信号をデジタル技術で置き換えることが可能ではないか、という試みがされています。つまり、その人の個性や記憶、意識をバックアップしてずっと保持することができれば、生物の形をしている必要はなくなります。

技術はあっという間に進化し、地球人もそのようなことが実現可能か、という時代になりました。1947年にトランジスタが発明されてからまだ100年たっていません。

星の歴史、生命進化の歴史からすれば100年なんて一瞬です。 知的生命体が生物の形をしているのは一瞬の間ではないでしょうか。ですから、私たちが初めて交信する宇宙人(地球外知的生命体)は、生物の形をしていないと考えることができるのです。

もしコンタクトを求めているなら「紫」の光を使うだろう

私は、知的生命体の「信号」を探す世界的なプロジェクト「SETI」「OSETI」に携わっています。 もし、地球外知的生命体が他の星の知的生命体と交信するとしたらどんな方法を使うでしょうか。 それは、電波やレーザー(光)といった「電磁波」のはずです。

これは、重力波や素粒子などに比べて圧倒的にコスパがいいからです。では、レーザーの場合なら、何色の光を選択するのでしょうか? 私は2年前に、その予測される色について論文を書きました。世界で初めての特定です。

それは、「もしその知的生命体が他の知的生命体と交信したがっている」のなら、スペクトルでいうと紫の光を用いるだろうということです。これは天文学者がよく観測する波長の光で、例えていうなら「もし交信したがっているのなら、最も視聴率のいい番組にCMを打つだろう」という理屈です。

観測を続ける中で、地球外知的生命体の「ここにいるよ!」という信号を発見する日がくることを希望しています。

宇宙に私たち人類以外に知的生命体が存在するというのは、天文学者にとっては自明のことだそうです。「いて当然」なのです。問題は「どこにいるのか」「どうすればコンタクトできるのか」とのこと。はるかかなたの銀河にいる知的生命体の通信をキャッチできる日が、いつかやってくるかもしれません。そう考えるとなんだかわくわくしてきませんか? 

※1:SETIは「Search for ExtraTerrestrial Intelligence」の略で「地球外知的生命探査」。主として電波望遠鏡で受信した電波の中に、地球外知的生命体が発信したものがないかを調査するプロジェクト。 

※2:OSETIはSETIの一手法で、「Optical Search for ExtraTerrestrial Intelligence」の略で「光学的地球外知的生命探査」。光学望遠鏡を用いて、地球外知的生命体が発信したレーザーなど光学的な信号を捉えようとするプロジェクト。

イラスト:小駒冬
文:高橋モータース@dcp

教えてくれた先生

鳴沢真也 Profile

『兵庫県立大学 天文科学センター 西はりま天文台』天文科学専門員。教育学修士。博士(理学)
1965年長野県生まれ。福島大学教育学部を卒業、福島大学大学院教育学研究科を修了。広島大学にて博士号取得。1995年から兵庫県立西はりま天文台に勤務。 研究テーマは天体物理学、特に近接連星系や脈動変光星。光学的観測による研究を行っている。SETI(地球外知的生命探査)、OSETI(光学的地球外知的生命探査)に携わり、全国同時SETIおよび世界合同SETIのプロジェクト・マネージャーを歴任。
著書に『137億光年のヒトミ―地球外知的生命の謎を追う』(草炎社,2006年)『望遠鏡でさがす宇宙人』(旬報社,2009年)、『ぼくが宇宙人をさがす理由』(旬報社,2012年)、『天文学者が、宇宙人を本気で探してます!』(洋泉社,2018年)などがある。

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お笑いとK-POP好き。名前の由来は「すいすい物事がうまくいくように」「水のようにチームになくてはならない存在になるように」から。
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