難しさを感じながらも、無我夢中でやってきた。Maison book girlが語る成長するために必要な経験とは? #セルフライナーノーツ

編集部:ゆう

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パイオニアと呼ばれる人は、いつも孤独です。本当はやりたいことがあるにもかかわらず、周りから外れることを恐れ、自分の心に蓋をした経験がある人もいるのではないでしょうか。

4人組アイドルグループ、Maison book girl(通称:ブクガ)。現代音楽とポップスを掛け合わせた「現音ポップス」という音楽性と、歌やダンスによる精巧な表現で独自の存在感を確立したみなさんは、どのような考えで活動してきたのでしょうか。信じたものを貫くために必要なことについて、お話をうかがいました。

文:蜂須賀ちなみ
写真:島田香
編集:学生の窓口編集部

難しさを感じながらも「これがわたしたち」という意識で頑張ってきた

――Maison book girlの曲はどれも唄うのが難しそうですよね。みなさんも活動し始めたばかりの頃は難しさを感じましたか?

井上 唯:わたしはそもそもブクガに入ってから歌を唄うようになったので、「ブクガの曲って難しいなぁ」というよりかは「歌を唄って表現するのは難しいなぁ」という感覚でした。

和田 輪:1曲目からこういう感じだったので、ブクガにとってはこれが普通なんですよね。だから、昔も今もずっと難しいです。

矢川 葵:難しさをずっと感じながら、これを表現するのがわたしたちだという意識で頑張ってきました。

――難しいけど、自分たちなりに一生懸命にやってみることで成長してきたと。

井上:そうですね。特にライブは成長のきっかけになっています。

わたしたちは年に1、2回、「Solitude HOTEL」というタイトルのワンマンライブをやっているんですけど、毎回演出が凝っていて、リハーサルを重ねながらスタッフの方々とともに作り上げていくんですよ。今年の1月に開催した「Solitude HOTEL ∞F」で8回目を迎えたのですが、過去8回、どれも印象に残っていますね。

矢川:初めてバンドセットでライブをすることになって、生歌に挑戦したときのことも印象に残っています。バンドで演奏してくださる方が素晴らしい演奏技術を持った人たちばかりだったので、「わたしたちもちゃんと追いつかないとダメだよね」「そのためにはもっと成長しないと」っていう意識になっていって。それをきっかけに歌の面では成長できたかなと思います。

コショージメグミ:ライブで言うと、わたしは2018年に出演した「ビバラポップ!」がブクガにとって大きかったなぁと思いますね。

「ビバラポップ!」はさいたまスーパーアリーナで開催されるフェスで、その日はブクガにとって初めてのアリーナライブだったんですけど、近い時期にレーベルを移籍して、ワンマンライブがあって、イギリスでのツアーもあって……とにかくかなり濃い期間だったんですね。あの時期は「ここで成長できなきゃダメだ」みたいな想いがすごく強かったです。

――「ここで頑張らないと」というタイミングで結果を出せるか、出せないかは大きいですよね。みなさんは、頑張ろうと思ったとき、どのようなことに気をつけていますか?

コショージ:「頑張らなきゃ」と思っているときほど、視野が狭くなって、気づけないことも出てくるもので。それで空回りしちゃって、「なんだかうまくいかない感じがする」みたいなところにハマりやすくなっちゃうんだと思うんですよ。そういうときには一旦引いてみると、見えるものがまた変わってくる気がしますね。一旦その作業を止めて、あとでまた戻ってきてもいいだろうし。

和田:そうだね。ブクガは自分たちでダンスレッスンをしていた時期がけっこう長かったんですけど、最後のほうの時期は、何をどう直したらよくなるのかがわからなくなって、ちょっと伸び悩みを感じていたんですよ。

だけどダンスの先生に付いていただくようになって、お手本を見せてもらったり、アドバイスをいただくなかで、どういう練習をすればいいのかがまた見えてきました。

自分が頑張ることも大事ですけど、周りの方の目線も大事ですよね。わたしたちも、ときにはダンスの先生やレーベルのスタッフさん、いろいろな人に伸ばすべきところを教えてもらいながら、ここまでやってきました。

大事なのは勢いと覚悟。やってみたら案外どうにかなる

――ブクガの場合、自分たちと似たようなスタイルのグループがいなかったから、それゆえの苦労もあったんじゃないかと。

矢川:そうですね。わたしたちはわかりやすく盛り上がれるようなライブをやるグループじゃなかったので、アイドルさんがたくさん出ているライブに出演して、他のグループの方が(観客を)盛り上げているのを見たときに「わたしたちはこのやり方で合っているのかな」「お客さんにちゃんと届いてるのかな」と不安になることもありました。

でも途中から、「わたしたちは、わたしたちなりの表現のしかたを考えて、それをやっていくしかないんだ」と思うことができたんですよね。そういうふうにわたしたちの意識が変わったら、お客さんからも「ブクガはこういうふうに観るグループなんだな」と理解してもらえるようになりました。

その結果、客席のあるホールのような、大きい場所でライブができるようになったんだと思います。

――前例のないことに挑戦するときの不安、恐怖に打ち克つためには何が必要だと思いますか?

井上:うーん……勢いじゃないですかね?

コショージ:あはははは! でもわかる。ノリと勢いだよね。

――お二人とも、新しい環境にも躊躇せず飛び込めるタイプですか?

井上:覚悟を決めれば、って感じです。もちろんわたしにも不安はありますし、悩むこともあります。だからこそブクガに入る前は「“普通”に溶け込まないと」と考え込んでしまうこともあったんですけど……。

でも今思えば、「人と違うことがしたい」という気持ちは自分のなかにずっとあったし、だからこそブクガのオーディションに応募したんですよね。それで今に至るんです。

やってみてもダメだったらしょうがないですけど、もしもそれでうまく行けば、万々歳じゃないですか。だからもう「やっちゃえ!」って感じですよ!

コショージ:「怖い」「気が乗らない」って理由で実行するまでに至らないのであれば、それは「やらなくていい」という神からのお告げですよ(笑)。だからわざわざそこで闘わなくていい。だけどやってみたら案外どうにかなるものなので、興味があるならやってみたらいいと、わたしは思いますね。

――腹をくくれるほど大事なものを見つけたなら飛び込んだほうがいいと。

和田:そうですね。わたしも「やりたいことしかやりたくない」と思いながら生きてきたタイプなので、同じ気持ちです。怖くても不安でも、それでもやりたいと思えるほどの強い気持ちがあれば、たとえ失敗しても後悔は残らないと思います。

ベストアルバム『Fiction』から見える4人の成長

――Maison book girlは6月24日に初のベストアルバム『Fiction』をリリースしました。これまでの活動をまとめた作品と言えますが、完成した今、どう感じていますか?

コショージ:時系列に沿った曲順になっているので、1曲目から通して聴くと、ブクガの成長、世界観の広がり方がわかるんじゃないかなと思います。

井上:再レコーディングしたり、新しくアレンジを加えたりしている曲もけっこうあるので、感覚としては、また新しいアルバムを1枚作った感じに近いですね。

特に初期の曲は、最初にレコーディングをしたのが4、5年前になるんですけど、今思えばあの頃はまだ、技量や表現力が曲に追いつけていなくて……。今は当時よりもできることが増えたから、ボーカルのディレクションも全然違いました。

矢川:曲はずっとサクライケンタさんという方に作っていただいているんですけど、5年間活動をしていくなかで、わたしたちもサクライさんも成長できたからこそ、曲の幅が広がっていたんだと思います。

和田:最初の頃はただ無我夢中でやっていたけど、技術的にいろいろなことができるようになっていくにつれて、「こういう表現もあるよね」と提示してもらえる機会が増えたり、自分からもそういうものを見つけていったりして、表現のしかたを選ぶ余裕ができたんでしょうね。

その「選ぶ余裕」こそが個性だと思うんですけど、特に『yume』(2018年11月リリースのメジャー2ndアルバム)が完成したときにはそれを強く感じました。ボーカルディレクションを受けるなかで、「これだけいろいろな歌い方をしてもブクガの曲として成り立つんだなぁ」と思ったんです。

今こうしてベストアルバムの収録曲を一覧で見ると、『yume』以降はそれぞれの個性を自由に表現するタイプの曲が増えているなぁと感じています。

――最後に、ベストアルバムのなかから、特に思い入れの深い曲を1曲ずつ紹介していただけますか?

和田:1曲目の「bath room_」は今回再録したんですけど、新たにそれぞれのソロパートができたり、サビにコーラスが入ってきたりしているので、かなり雰囲気が変わったと思っています。ライブで唄うとどうなるのかな? と今楽しみにしている曲です。

井上:わたしは5曲目の「river」ですね。同じシングルに収録されている「cloudy irony」と「karma」を掛け合わせた曲で、今年1月のライブのために制作された曲です。今回初めて音源化することになったのですが、とても好きな曲なので、そのことを聞いたときはうれしかったです。

コショージ:わたしは13曲目の「夢」が好きなんですけど……すみません、もう1曲挙げてもいいですか? というのも、新曲の「Fiction」が「夢」に匹敵するぐらい好きなんです。

好きなところはたくさんあるんですけど、まず、4人が1人ずつ歌うAメロからしていいですよね。レコーディングもかなりスムーズに進んで、ありのまま歌えたので、とても気に入っています。このアルバムができてから一番聴いてるかもしれないです。

矢川:わたしは16曲目の「悲しみの子どもたち」が好きです。この曲のライブでの爆発感がすごく好きなんです。1月のライブでもやったんですけど、振り付けで後ろのほうの立ち位置になったとき、そこから見えたメンバーの表情から、テンションマックスな感じがすごく伝わってきて。それを見て、より好きになりました。

コショージ:今回のベストアルバムに伴うツアーも本当はやる予定だったんですけど、残念ながら延期になってしまって。今のところは、この『Fiction』というアルバムの世界観を生配信ライブで表現できたらと考えています。ブクガはライブにすごく力を入れてやってきたので、生配信でも今できることをやって、いざ(観客を会場に入れた状態での)ライブができるようになったときに備えたいですね。

編集部:ゆう

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学生に「一歩踏み出す勇気」を持っていただけるような記事を届けたいです。

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