日本で「ジューンブライド」が広まったきっかけはホテル業界!? 6月挙式の人気の理由とは #もやもや解決ゼミ

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6月に結婚すると幸せになれるという「ジューンブライド」の言い伝え。将来、6月に結婚式を挙げることに憧れている女子大生も多いのではないでしょうか。そもそもこの言い伝えが日本に広まったのはいつなのでしょうか?

日本で「ジューンブライド」が広まったきっかけはホテル業界!? 6月挙式の人気の理由とは #もやもや解決ゼミ

今回ジューンブライドの歴史について、立教大学 経営学部の有馬賢治教授にご回答いただきました。

「ジューンブライド」の起源は?

「ジューンブライド」の起源を調べたところ、諸説ありますが、以下の3つが代表的なものとされています。 

・ローマ神話説
6月の月名である「JUNE」は、ローマ神話の全能の神ゼウス(ジュピター)の妻ヘラ(ジュノー)が由来。ヘラは婚姻と母性、貞節の女神なので、6月に結婚すると花嫁は幸せになれると言われるようになった。

・結婚解禁説
ヨーロッパの一部地域では、3月から5月までの3カ月間は農作業が繁忙期になるので、結婚が禁止されていた。6月に結婚が解禁になると多くのカップルが一斉に結婚し、人々から祝福をされたため、そこから6月に結婚すると花嫁は幸せになれるという話が広まった。 

・気候、天候説
ヨーロッパでは、6月は一年のうちでも雨が少なく好天が続く時期。また、この時期は各地で祭事が行われることも多く、結婚はより祝福されやすい。そのため、6月の花嫁は幸せになれるという話が広まった。

これらが代表的な説ではあるものの、明確に「これが始まり」というのは分かっていません。キリスト教の文化圏でそこまでローマ神話を起源とする話が広まるのも不思議ですし、農作業の繁忙期に結婚を禁止した地域から話が広まったというのも、実際にヨーロッパのどの地域の言い伝えなのかも明らかになっていません。つまり、ジューンブライドの起源については、確定的なことは言えないのが現状です。

日本ではいつからジューンブライドが広まった?

日本にジューンブライドが持ち込まれたのは1967年だと言われています。日本の場合、6月は梅雨。雨の多いこの時期に結婚をするカップルは少なく、ホテルや結婚式場は閑散としていました。また、6月は他の月と比べて年中行事が多い時期ではないため、ホテルでの宴会場の需要も少なかったのです。

そこで、当時『ホテルオークラ』の副社長だった橋本保雄さんが、梅雨の時期に落ちる売り上げをなんとかするために、海外で広まっていたジューンブライドの話を日本でも広めることにしました。

当時「6月はジューンブライドという言い伝えがある」「6月の花嫁は幸せになれる」というコピーで宣伝したのですが、6月は雨も多く蒸し暑いため、最初はあまり効果が上がらなかったそうです。

しかし、徐々に空調設備が整い、結婚式の演出も豊富になったことから、世間にジューンブライドが浸透していきました。つまり、日本の「ジューンブライド」は、ホテル業界が仕掛けたのです。

日本でジューンブライドが好まれている理由は?

日本でここまでジューンブライドが浸透した理由としては、6月の結婚に複数のメリットがあることが考えられます。

まずは「縁起がいい」ということ。日本人は「縁起」をものすごく気にしますから、「婚姻の女神が『JUNE』の由来なので幸せになれる」などの縁起のいい話は魅力的に感じるのだと思います。

また、6月は春や秋といった人気のシーズンと比べて結婚式の費用が安くなる場合があります。新婚旅行をする場合でも、この時期は梅雨で祝日がないため料金設定が安いのも、6月の結婚のメリットだといえます。もしハワイなど海外に行く場合、海外の6月は日本と違って旅行日和といえる気候なので、これもジューンブライドのメリットでしょう。

他の時期に比べて安価で済むので、ジューンブライドはコスパ志向の若い世代にとってマッチしていると考えられます。また、結婚を考える若い世代の社会人にとって6月は会社の行事も少ない時期なので、慌ただしい時期よりは結婚するのに適していると言えます。

こうした日本人の縁起を重視する考えや、コスパ志向、社会人のスケジュール感などの理由が、ジューンブライドが日本で浸透する要因となったのでは、と分析しています。

女性の憧れであるジューンブライドですが、日本では前回の東京オリンピックが終わった後の1967年にホテル業界の仕掛けで広まり、徐々に浸透していったとのこと。

また、縁起を尊ぶ日本人の気質や、若者のコスパ志向などが、ジューンブライドが日本で広く浸透した要因だと考えられるそうです。

クリスマスやバレンタインデーもそうですが、海外の言い伝えや文化をうまく取り入れるのは、日本ならではの特徴なのかもしれませんね。

イラスト:小駒冬
文:中田ボンベ@dcp


教えてくれた先生

有馬賢治 Profile

立教大学 経営学部教授。1962年愛知県生まれ。
1992年、早稲田大学 大学院商学研究科博士課程単位取得。著書に『マーケティング・オン・ビジネス―基礎からわかるマーケティングと経営』(新世社,2016年,共著)、『マーケティング・ブレンド -戦略手段管理の新視角』(白桃書房,2006年)、『Business Journal』連載「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」、「今さら聞けないマーケティング 基礎の基礎講座」などがある。

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お笑いとK-POP好き。名前の由来は「すいすい物事がうまくいくように」「水のようにチームになくてはならない存在になるように」から。
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