悩みながらも答えを見つけていくことが大事。等身大の想いを唄う井上苑子がいま考える「愛」とは。 #セルフライナーノーツ

編集部:ゆう

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夢を叶えられなかったとき、人は悲しんだり苦しんだりします。しかし、夢を叶えたからといって必ずとも安泰だとはかぎりません。かつて憧れていた道に進むことによって、「夢を叶える」ことがゴールだった頃とはまた違う新たな課題が出てくることもあるでしょう。

4月22日にミニアルバム『ハレゾラ』をリリースする井上苑子さん。彼女は、小学6年生の頃に路上ライブ&オリジナル曲の制作を始め、高校進学とともに上京。17歳のときにメジャーデビューするなど、若くして夢を叶えた人です。

「夢を叶える」というひとつのゴールを達成しながらも、等身大の想いを唄い続けてきた井上さんは、これまで音楽や自分自身とどのように向き合ってきたのでしょうか。今までを振り返りながら、22歳現在の心境を語ってもらいました。

文:蜂須賀ちなみ
写真:佐藤友昭
編集:学生の窓口編集部

小6で路上ライブ。怖いもの知らずだったあの頃

――井上さんは、小学生6年生のときに路上ライブを始めたそうですね。

井上苑子:はい。当時のわたしはとにかく「もっともっと唄いたい!」っていう気持ちが強かったので、唄う場所がほしくて路上ライブをすることにしました。

当時は「小学生が唄ってる」というめずらしさからか、観てくれる人は多かったんですけど、ずっと足を止めてもらうことは難しかったですね。わたしのことを写真に撮って、「すごいね~、頑張ってね~!」って声を掛けて、いなくなってしまう、みたいな(笑)。

でも、応援してくださる方も少しずつ増えていったので、その人たちのために頑張ろう、もっとライブを楽しんでもらえるようにしよう、っていうことだけを考えていました。

わたし、理想がすごく高かったんです。テレビに出ている歌手を見て「もっと上手くなって絶対行くんだ!」って普通に思ってたし、そこしか見ていなかったから、自分の年齢のことなんてそんなに考えていなかったというか。

――「夢に向かってわたしは頑張っているんだ」という意識はありましたか?

「頑張ってる」と思ったことは全然なかったですね。たとえば、サッカーが好きな人は、リフティングをする姿がカッコいいと思うから練習をするわけで、そこから「できた」→「楽しい」ってなるじゃないですか。わたしもそれと同じでしたね。「歌が上手く唄えた」→「楽しい」、「路上ライブをした」→「お客さんが来てくれた」→「うれしい」みたいな。

――それはすごいことだと思います。努力と呼ばれるようなことを、努力だとは思わずに自然にできていたのですから。

そう言ってもらえてうれしいです。そのなかで嫌なことが起こるのも当たり前だって最初から思っていたから、くじけたりすることも全然なかったです。いい意味で怖いもの知らずだったんだと思います。

全力で挑戦することの大切さを実感


――キャリアを積み重ねて来たなかで、心境の変化や、悩んだことは?

悩んだことは何回もありました。井上苑子ってその時期ごとの曲の方向性が全然違うんですけど、それほど今までいろいろなことをチャレンジしてきたんですよ。激しめの曲をやったこともあったし、ダンスしてみたこともありましたけど、そのときは「これで合ってるのかな?」って毎回悩んでいましたし。

それは、関わってくださる方々がそれぞれの経験から「井上苑子はこれをやったらもしかしたら花が開くかもしれない」みたいなことを提案してくださったからで、やりくないことをやらされていたというわけではなくて、むしろ自分もやりたいって思いながらやっていました。

そうやって全力でやってみると「合う/合わない」がわかるんです。なので、違うほうがいいと思ったときはすぐに方向転換をして、また次のことに挑戦して……っていう感じでした。年齢的にも早いうちにそういう経験ができたこと、一緒になって答えを探してくれる人が周りにいたことが、とてもありがたかったですし、悩みながらも答えを見つけていくことが大事なのかなと思います。

愛とはなに? 22歳現在の結論とは

――今回リリースされるミニアルバム『ハレゾラ』に収録されている「近づく恋」は少女漫画的な世界観の、井上さんの王道にあたる曲です。

そうですね。昔から「シーブリーズ」のCMが好きだったので、お話をいただいたときはとてもうれしかったですね。なので、自分の一番の強みである「初恋っぽさ」を一生懸命出しました。特に〈先生、日直させてよ〉のところは、自分のやりたかったことをただただ歌詞に書いてます。

――他の5曲に関しては、どちらかというと、年齢を重ねたからこそ出てくる表現という印象を受けました。

今は背伸びをしようという気持ちがあまりなくて、とにかく自分がエモくなるその気持ちを曲に全部出しているんですけど……。

――これまでラブソングでは使ってこなかった「愛」という言葉を使われたのも大きな変化ですよね。

「愛」についてはいまだによくわからないんです。だけど最近、友達のことがすごく大事に見えた瞬間があったんですよ。どうしてそう思えたのか、それは自分でもわからないんですけど、一緒に遊んでいるときに、とにかく楽しくて、友達のことをすごく大切に思えた瞬間があったんです。

そのときにわたしが「これが毎日続けばいいのに」って言ったんですけど、一緒にいた友達からは「そう思った瞬間に(そういう日々が)なくなるんだよ」って返されて。

そうしたら、本当にそこから、みんなのタイミングが合わなくなって全然集まれなくなっちゃったんです。

そういう経験もあってか、愛と呼べるような、大事な人の存在が増えてきたなあって思って。ただ、「ぜんぶ。」と「ラブリー」を書くにあたって、そこからさらに愛について考えていったとき、やっぱり愛って難しいなあって感じたんです。

――映画『キスカム!~COME ON,KISS ME AGAIN!~』の主題歌・挿入歌ですね。

この映画は、お付き合いしている2人の気持ちの変化をえがいてるんです。そのなかで「嫌いなのに好き」ってどういう感覚なんだろうって考えてみたんですけど、今のところわかってないです。

――「ぜんぶ。」に〈すき、きらい、すきって気持ち あつめたら/“あいしてる” なんだろう〉という歌詞がありますよね。でも10代の頃の恋だったら「すき、すき、すき」だけで「きらい」は入らないと思うんですよ。

まだわからないんですけど……きっと「しょうがないなあ」って言いながら、そういう日常も含めて愛おしく思えること、それが愛なのかなって思います。

この曲(「ぜんぶ。」)は、映画を観て、さらに年上の人から聞いた話を参考に書いたんですよ。
だから、<すき、きらい、すき>とは書いているけど、わたしはまだ完全にわかっているわけではないというか。

今は、愛ってなんなのか、わかったような気がするけどやっぱりまだわからなくて、「わかってます」って断言するのが恥ずかしい、みたいな状態です。

「僕らの輝かしい未来」で〈自分が いつか何者かに なれたなら/君のもとへ逢いに行くよ〉って唄ってるように、わたしはまだ何者にもなれていないんです。もちろん「井上苑子」って検索したらヒットするし、みなさんに何者かにしてもらっている身なんですけど、まだまだだなって思うことが多くて。

多分、27、8才になったら「愛がわからない」なんて言っていないと思うし、歳を重ねるにつれてどんどん考え方は変わってくると思ってます。だからもうちょっと経って、経験値が増えてから、愛について語りたいっていう気持ちが今は強いかな。

――では、また5年後に聞きにきますね。

はい、お願いします!

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ミニアルバム「ハレゾラ」

iTunes・レコチョク・mora等の配信サイト、Apple Music・Spotify・LINE MUSIC・amazon Music ・AWAなどの各サブスクリプションサイトにて配信。

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