嫌いな人はいてもいい。大事なのは不機嫌で人をコントロールしないこと #大学1年生の転び方

トミヤマユキコ

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大学の専任&非常勤講師として、いろいろなキャンパスに通っていて思うことは、大学の規模によって醸し出される空気感がだいぶ違うなあ、ということです。
大きい大学は、それ自体がひとつの街のようであり、構内ですれ違う人が誰なのかよくわからないのが当たり前。教室に入るとようやく顔見知りを見つける感じですね。一方、小さい大学は、顔見知りとの遭遇率が高く、自分とは無関係の学科のことも把握できちゃう、みたいな状態になります。


どちらがいい/悪いということはありませんが、違いがあるのはたしか。入学後のサークルやゼミ選びも同じで、たとえ似たような活動内容であっても、大規模集団と小規模集団では、色々と内実が違ってきます。
そこで選択を間違えると、思わぬストレスになったりするんですよね……。

今回のお便りは、大学の研究室に通うのが辛いと訴える方からのものです。

研究室に所属が決まって以来、毎日毎日同じ人と顔を突き合わせることになり飽きてきた。自分の器の狭さもあるが、相手の非常識に思える行動が目について、すぐにイライラしてしまい、日に日に態度が素っ気なくなってしまっている。将来、こんな調子じゃやって行けないとは思うが、なかなか直せない。
(女性/大学4年生)

人付き合いがうまくいかないのはしょうがない、でも不機嫌オーラをふりまくのはダサい。

ほとんどの大学で、3年生からゼミ(研究室と呼ぶところもあります)に所属し、自分の研究テーマを深めるカリキュラムが組まれています。ゼミの規模は、かなり大きいところで1学年20人といったところでしょうか。少ないところだと2〜3人でのんびりやっているところもあります(ちなみにわたしのゼミは4年生が4人、3年生が7人で丁度いい感じです)。

お便りだけではちょっとわからないものの、20人も同期がいて飽きる、ということはなさそうな気がするので、わりと小規模なゼミだと想定することにします。

まあ、どうしたって狭い世界なので、人付き合いがつまらなくなるのは、わからないではないです。というか、わたしの大学院時代もそんな感じだったんですよ。自分の研究テーマに合ったゼミを選んだところまではよかったのですが、同期に気の合う人がほとんどいなかったんです。

大学院は研究をするところだから、別に友達なんて要らないでしょ、とドライに考えていたんですが、ちょくちょく通う場所に気を許せる人がいないのはやっぱりしんどくて。かといって、がんばって話を合わせることもできず。それで結局、ゼミが終わったらさっさと帰る、飲み会にもほとんど出ない、みたいな生活に突入してしまいました。

今振り返ってみて思うのは、「あの頃のわたし、感情で人をコントロールしようとしてたんじゃないだろうか? だったらダサすぎるなあ」ということです。
ゼミの人たちとうまくいかなかったのは100歩譲って許すとして(わたしは自分にめちゃくちゃ甘い!)、ゼミに行ったときに、不機嫌な態度でみんなを微妙な気持ちにさせてなかったかな、と。もしそうだったら、その点に関しては、本当に申し訳なく思います。

適当にやり過ごすことができずに、クソ生意気な態度でゼミに出てた自分がありありと想像できる……うう、つらい……。

研究室通いに飽きるのも、他人の非常識な行動が目につくのも、仕方ないっちゃ仕方ないですが、それは個人的な事情であって、不機嫌オーラをふりまいていい理由にはならないんですよね。周囲からすれば、「あいついっつも怒ってるけどなんなの⁉」という話ですし。それはお互いに不幸です。

「努力はするな、工夫をしろ」の精神を大事に

じゃあ、どうすればいいの? という話ですが、こういう ときは努力はするな、工夫をしろ」なんですよね。自分を根本から変えるなんて土台無理な話。でも、ちょっとだけ工夫をしてみませんか?

まず、今の研究室のことは半分諦めて、それ以外の場所で楽しく過ごす時間をたくさん作ってください。そうすれば、週に数時間のつまらない時間は「修行」だと思って耐えられますから。ちなみにわたしは、よそのゼミに出入りするようになり、だいぶメンタルが安定しました。そこで知り合った友達とはいまだにめちゃくちゃ仲がいいです。

大学1年生の歩き方』にも書いたんですが、居場所は複数あるに越したことはありません。むしろ、ある居場所が失われた時に、ほかの居場所が自分を支えてくれるので、居場所の複数化はとても大事です。

あるいは、誰かにイライラさせられたのであれば「おっ、このわたしをイライラさせるなんて、大したもんじゃないか、10ポイント!」とか「あと50ポイントたまったら、ハーゲンダッツを買うぞ!」とか、ユーモアで自分の機嫌を取ってみてはどうでしょう。

相手に直接文句を言うほどの勇気はないわけですから、たまったストレスは自分で発散するしかありません。そのときにムカつくやつをただディスるだけだと疲れるので、ムカつけばムカつくほどいいことがある「ご褒美システム」を作っておくわけです。
あ、これは「やけ食い」のような行動とは違いますよ。あれは突発性のものですから。ちゃんとムカつきを数値化した上でご褒美をゲットするシステムを構築するのがポイントです。

所詮は自作自演ですし、対症療法でしかないんですが、騙されたと思って一度やってみてください。最終的には「ああ!もうちょっとでハーゲンダッツだったのに! もっとムカつかせてよ!」ってことになりますのでね。

お便りには「将来、こんな調子じゃやって行けないとは思うが」と書いてありましたが、わたしのような者でもなんとか生きていますから元気を出してください(かつての大学院ゼミのみなさん、本当にすみませんでした!)。

とはいえ、これ、研究室の人の「非常識に思える行動」というのが本当にヤバい行動だったら、当たり前ですけど、担当教員に一度相談したほうがいいです。他の学生さんも迷惑してるかもしれないし……。なんかおかしいと思ったら我慢しないですぐ相談。

不機嫌オーラをふりまくのはダサいですが、チクるのは別にダサくありませんので!


文・トミヤマユキコ
ライター、大学教員。早稲田大学法学部、同大大学院文学研究科を経て、2019年春から東北芸術工科大学講師。ライターとして、日本の文学、マンガ、フードカルチャーなどについて書く一方、大学では、少女マンガ研究を中心としたサブカルチャー関連講義を担当。
書籍:『大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ』(清田隆之との共著)
Twitter : @tomicatomica


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ライター、大学教員。早稲田大学法学部、同大大学院文学研究科を経て、2019年春から東北芸術工科大学講師。ライターとして、日本の文学、マンガ、フードカルチャーなどについて書く一方、大学では、少女マンガ研究を中心としたサブカルチャー関連講義を担当。

書籍:『大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ』(清田隆之との共著)

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