クセもすごいし、好奇心もすごい。ブループラネット賞2019受賞者たちの、小さな物語。

がくまど編集長:点P
2019/10/30
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こんにちは、『マイナビ学生の窓口』です。大学生にきっかけを届けるというキャッチコピーのもと、WEBメディアを運用しています。 

前回、ブループラネット賞のスゴさを知った取材チームが、次に訪ねたのは上野にある国立科学博物館。館長さんが、ブループラネット賞の選考委員長なのだそうです。 

そこで館長さんに今年のブループラネット賞の受賞者についてお話をうかがおうと思ったら、科学者はウソついちゃダメ!と、意外な一言。そして、ブループラネット賞2019を受賞した、2人の「小さな物語」を教えてくれました。 

すごいひとたちだけど、なんだか変で、ちょっと愛おしい。そして、科学とはつまり好奇心である。 

環境問題だけでなく、“科学者の仕事”に興味ある方にも読んでほしいお話です。

SPONSORED:旭硝子財団 

お話を聞いたひと


イノベーションチームdotにインターン中の大学3年生。大学では心理学を勉強中。いまはグラレコにハマり中。卒業後はdotに就職予定とのこと。 

お話をしてくれたひと


国立科学博物館の館長であり、ブループラネット選考委員長。科学が好き。NHK Eテレで見た番組の感想をじぶんの手帳にしっかりメモしている。


前回の取材でもお世話になった、ブループラネット賞の運営チームの偉いひと。科学が好きで。情熱的に語る館長の話をわかりやすくフォローもしてくれる。

▼前回の記事はこちら▼
ブループラネット賞ってなんだ? 大学生が運営の偉いひとに聴いてみた


選考委員長の大事なお仕事「人を見抜くこと」


ブループラネット賞の選考委員長って、どういうお仕事なんですか?


ブループラネット賞は“環境のノーベル賞”と言われていますが、残念ながらノーベル賞とブループラネット賞では世界的な認知度が全然違うんですよね。 

なので、ブループラネット賞なるものがあるということ、環境を対象とした賞だということを知ってもらうために、きちんとした人を選ぶことが重要なんです。


“きちんとした人”って、どういう定義
なんですか? 


科学的にあきらかになっていることを根拠に、活動を行っている人でしょうか。

最近話題になった『ファクトフルネス』の著者であるハンス・ロスリングさんっていますよね。彼のおもしろいのは、環境問題で最も有名なアル・ゴアに資料作りを頼まれたときに断ってるんですよ。


へぇ~。どうしてですか?


なぜかというと、「環境を守ろう」というような“いい話”を人々が語るとき、ついオーバーに言い過ぎることがあるんです。科学的に明らかになってないことまで言ってしまう。

もう1つ、「ホッケースティック論争」という例もあります。

ペンシルベニア州立大学のマイケル・マン教授という人が作った「ホッケースティック曲線」というものがあって、現代になって気候が急激に上昇しているといることを表しています。

 
出典:ウィキメディア・コモンズ


その曲線がホッケーのスティックみたいな形なんですね。 


この図にカナダのウィニペグ大学のティム・ボール教授が異議を唱えた。現代の地球温暖化を急激な曲線にするために、過去の温暖化のデータを詐称していると言うんです。これは裁判になったんですが、マン教授はグラフを書いたときのデータを出せなかった。ブリティシュコロンビア州最高裁がマン原告の名誉毀損の訴えを棄却し、ボール被告が要した費用全額の賠償を命じた。この判決が出たのが今年の8月ですよ。


最近の話なんですね!


アメリカのトランプ大統領は、「パリ協定」から離脱したでしょ。その理屈として、温暖化の根拠にこういうウソがあることを理由にしたんです。

マン教授は「地球温暖化を止めなければならない」とよいことを言ってるんですよ。でも、そのためについた“ウソ”でこういうことが起こってしまう。だから科学者は、どんなことがあっても真実を語らなきゃいけない。『ファクトフルネス』の著者がアル・ゴアの要求に応じなかったのもそこなんです。

『ファクトフルネス』日経BP社


おもしろい! 学って人間味と真逆にあるイメージで、そこに“ウソ”をつく人間味が入ることで身近に感じます。そういう人間味や物語が見えると、私たち大学生もブループラネット賞にもっと関心が持てる気がしますね。


たしかに科学は物語を嫌ってきましたね。物語性っていうのは重要なところだと思います。でもやはり、環境の話でいうと地球温暖化について多くの人に納得してもらうためには、研究者がウソをついたらいけないんですよ。ウソは絶対にダメです。

それで最初の質問に戻ると、ブループラネット賞を真実に基づいた研究・実践した方に贈るためにきちんと検証するのが、我々選考委員の役割です。


科学者とかえらい方たちの中での真実って“大きな真実”だと思うんですけど、大学生にとっての真実って、「近所の海にめっちゃゴミ落ちてて汚いよね」とか、「最近暑いよね!」とか、身近にある“小さな真実”だと思うんです。

なので今日は、“大きな真実”と“小さな真実”を紐付けてお話うかがえるといいなと思います。


わかりました。今日はなるべく身近にある“小さな真実”と“ウソのない”物語性を意識しながらお話ししましょう。

ここがすごいぞ、ランバン教授


では本題で……今年の受賞者であるエリック・ランバンさんのすごいところを教えてください


ランバンさんは“森林認証制度”や“グリーン購入法”という、今では当たり前になっている概念のいちばん基に気がついた人なんですよ。


当たり前…えっと、“森林認証制度”や“グリーン購入法”って何でしょう?


まず、日本の話をしましょう。

大きな環境変化をもたらすものの1つに森林伐採がありますが、日本の森林資源は江戸時代に比べて増えているって知ってましたか?


え!知らなかったです。木はどんどんなくなってると思ってました。


実際は、鎖国していた江戸時代は資源を全部国内でまかなっていたので、森林は少なかった。明治時代の写真なんかを見ると、山は丸裸ですよ。今は森林保護をして、日本国内の森林は相当な蓄積量になっています。

ところが、世界に目を向けてみると、日本は木の輸入量が増えていますが、ボルネオ島なんかでは森林が減っていたわけです。ランバンさんは衛星データからそれに気づいて、国をまたいで自然を保護しなくてはいけない、と最初に気づいた人なんです。


着眼点がすごい。でもどうやって気づいたんですか?


わたしが説明しますね。

※前回の取材でもお世話になった、運営の清水さん。


清水さん!お願いします!


ランバンさんは“ピクセルと人を結びつけた”と言われてるんですが、衛星で撮った地球の写真を見て、「なんで地面はこういう模様になってるんだろう?」と疑問に思ったそうなんです。


着眼点がすごい(2回目)。


それを知るために、学生のころに自分でバイクに乗ってアフリカを走り回って土地の生活様式などを調べた。すると、この模様は農業の灌漑(かんがい)の仕方でついたものだと気づいたんだそうです。そういう土地利用の情報を収集して、衛星の写真と照らし合わせていったんですね。当時、Googleアースはありませんでしたから。それで、毎年ここが変わってるというのを見つける時系列解析のソフトを開発したみたいです。実は、私もこの論文は難しくてよくわからないんですよ(笑)。


とても情熱的な方なんですね。研究は学生時代からずっと続いていたんですか?


彼の大学時代の経歴を聞いたら、なんと大学生と大学院生を同時にやってたそうですよ。


行動力がカンストしてますね。


もともと大学で地理学をやっていて大学院にも進み、同時に哲学部の大学生もやってた。そういやって多角的に科学に励むうちに、人間の営みである経済データと合わせて「こっちの国はよくなってるけど、こっちはダメになってるぞ」というのに気づいて、一つの学問だけではガマンできなくなっちゃったんでしょうね。


おもしろいです!ところで、そのランバンさんの“森林認証制度”や“グリーン購入法”って、日本でも活用されてるんですか?


日本は取り入れるのが早かったんですよ。2000年にはグリーン購入法に関する法律が制定されていて、今はきちんと認証された林業製品だけを使うようになっています。

ここがすごいぞ、ダイアモンド教授


もう1人の受賞者、ジャレド・ダイアモンドさんのすごいところを教えてください


ダイアモンドさんは、若いころ、パプアニューギニアで鳥の研究をしていました。普通の鳥類学者だと地元の人の生活や生き方に関心を持たないですけど、ダイアモンドさんはいろんなことに関心を持って、特に伝統的な社会に対して関心を持ったんですね。

ランバンさんもダイアモンドさんも、いちばん根本にあるのはすごい好奇心ですよ。研究者はね、好奇心を奪われたら研究じゃなくなるんです。単なる作業になっちゃうから。


好奇心がすごい……なんだか少年みたいです。


それでダイアモンドさんは鳥類学者だけに収まらなくなって、文明の発達の謎に迫った『銃・病原菌・鉄』というノンフィクション作品を1997年に発表し、ピュリッツァー賞を受賞しています。

タイトルの『銃・病原菌・鉄』というのは、世界に格差を生んだ要因ですね。なぜ、日本が明治の開国のときに植民地にならなかったのかわかりますか? いくつか理由はありますが、その1つは当時、人口約3000万人の日本に銃が50万丁もあったからなんです。


めちゃくちゃ銃社会だったんですね!


なぜかというと、イノシシや鹿など野生動物を駆除するのに必要だったんですね。だけど、それだけ銃があっても日本で内乱は起こらなかった。全体のレベルが高かったんですよ。ダイアモンドさんはどんどん文明論に惹かれていって、調べ物をしては「文明崩壊」「昨日までの世界」と本を出しています。


そう。徹底的なフィールドワークで、『昨日までの世界』ではある意味で持続可能な文明である伝統的な社会のことを書いている。それで「環境問題と文明を考えるように言ってるんじゃないか」となったのが受賞理由ですね。文明と環境は切っても切れないと気づかせた。


ダイアモンドさんは親日家なんですよ。その理由の1つは、日本の自然観です。日本人は基本的に、自然を対立概念で見てないでしょ。人間も自然の一部だという考え方が彼の考えとぴったり合ったんですね。アジアの国を見て、西洋にはない自然との付き合い方が、結果的に持続的になってると書いています。

彼は講義も人気で、最近までEテレで『ダイアモンド博士のヒトの知恵』という講義の番組が放送されていたくらいなんですよ。


見たかったです!


82才の今もお元気でフィールドワークをやってますよ。並大抵の好奇心じゃないですね。ダイアモンドさんもランバンさんも、12月にブループラネット賞の表彰式典に来日し、講演もあります。私もそこでいろいろ話を聞きたいなと思っています。

まとめ…大学生が環境問題に向き合うには?


私たちは、環境問題とどのように向き合えばいいんでしょうか。


日本では最近台風の規模が大きくなってますが、これは海水温が高くなった海の上を渡ってくる間にどんどん発達するから。温暖化のひとつの影響だと言えます。身近に問題を感じることによって、多くの人が環境について関心を持ちやすい時代になっていると思うんです。

そういうところから、もっと若い人が中心になって活動する傾向が強まるんじゃないかなと期待も込めて思っています。そういう時にブループラネット賞が役に立つことが望ましいですね。


たしかに身近なところで問題を感じると、若い人も関心を持ちやすいと思います。


『ファクトフルネス』を読んだらわかりますけど、知識がある人ほどものごとを悲観的に見ている可能性があるんですよ。でもデータを見るとわかりますが、世界はそんなにひどい世の中にはなっていない。例えば、乳児死亡率は改善されています。だから悲観的に考えずに、創意工夫でやっていくことが必要だと思います。


海外では環境に対する活動がカッコいいという意識が根づいていると聞きました。日本だとまだ敬遠されてしまう感覚があると思うので、環境に対する活動がおもしろいなとかカッコいいなと思えたら、若者たちをどんどん巻き込んでいけるんじゃないかなって思います。


おもしろいっていうのは大事ですよね。受賞者の2人も、絶対に研究がおもしろかったんですよ。だから長く続けられるんだと思います。

最後に、大学生はこう思った。


若者が悲観的にならずに実践していくことに期待したいっておっしゃっていて、すごく共感しました。環境問題で若者が活動するためにはプラットフォームが重要だと思っていて、それはカッコいい、おもしろいっていう意識なんじゃないかなと思います。そういう意識が基盤となれば、いろんな災害やプラスチック問題、地球温暖化などの問題にも巻き込みでいけるのかなと思います。今日お話を聞いて、受賞者記念講演を聞いてみたいと興味が出ました。

関連リンク

ブループラネット賞2019特設サイトはこちら

受賞者記念講演へのお申込みはこちら

歴代受賞者のストーリーがわかる「ブループラネットものがたり」

インタビューをしてくれた「イノベーションチームdot」

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