映画の3D作品をきれいに快適に観るには? 「視覚機能」の専門家に聞いてみた!

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映画の3D作品をきれいに快適に観るには? 「視覚機能」の専門家に聞いてみた!

海外のアクション作品など、大作映画が劇場公開される際は3D上映が行われることも多いですね。スクリーンから飛び出してくるような大迫力の映像が楽しめますから、「3D上映のほうが好き」という人もいるでしょう。
ただ、中には「映像がぶれるなどしてうまく3Dに見えない」という人もいるのでは? かく言う筆者もきれいに見えないことがあるのですが、どうすればきれいに見ることができるのでしょうか? 「映画の3D作品をきれいに見るこつ」を調べてみました!

3D作品がきれいに見られない理由は?

北里大学で「視覚機能」について研究されている半田知也教授に、「3D作品がきれいに見えない理由」や「きれいに見えるこつ」を聞いてみました。

――「3D作品がきれいに見えない」という人がたまにいますが、その理由は何なのでしょうか?

半田教授 まず考えられるのは、「立体がわからない」というケースです。例えば、「斜視」や「弱視」など何らかの目の病気の人の中には、両眼視(両方の目で同時に見ること)でも立体に見えなかったり、健常な人ほど立体に感じられなかったりする場合があります。

両目が健常な場合でも、片目を隠して見れば立体に捉えることができなくなりますよね。これと同じで、病気などで片目がよく見えていない場合は、両方の目で見ていても片目だけで見ているようになりますから、立体に捉えることができなくなるのです。

――なるほど、「そもそも3Dが見えない」という人がいるのですね。

半田教授 一方で、「立体が分かる」のにうまく見えない場合は、「3D用のメガネがその人に合っていない」というケースが多いですね。メガネが合っていないと当然ですが見づらくなりますし、疲れてしまいます。

また、「隠れ斜視」であることも考えられます。正しくは「斜位(潜伏性斜視)」といって、黒目が斜視と通常の中間に位置している状態です。

――隠れ斜視だとなぜ3D映像がうまく見えないのでしょうか?

半田教授 人間の目はもともと少し外を向いていて、それを中心に寄せて物を見ています。しかし、隠れ斜視の人は外に向いている度合いが大きいため、普通の人よりも強い力で中心に寄せないといけなくなります。特に3D映像は両目の寄せを強いて見るものなので、普段よりもさらに強い力を必要とするため、結果的に疲れてしまうのです。

――そうした隠れ斜視の人は多いのでしょうか?

半田教授 多いですね。私もそうですが、10人中7人くらいは普通よりも少し外に向いている「外斜位」です。外斜位にも程度の差がありますから、3D映像を見るときに疲れやすい人は、外斜位の程度が強いのかもしれません。

映像の左右差の少ない上映方式を選ぼう

――3D作品をきれいに見るにはどうすればいいのでしょうか?

半田教授 自分に合った「3Dメガネのタイプ」を選ぶことですね。

現在映画館で用いられている3Dメガネには偏光フィルター方式と呼ばれるものがあり、光を真っすぐに飛ばす直線偏光フィルター方式と、円を描くように飛ばす円偏光フィルター方式があります。このうち円偏光フィルター方式は体を傾けても映像がずれにくいので、円偏光フィルター方式のものを選ぶことをお勧めします。

――例えば3Dの上映方式の一つである「RealD 3D」は円偏光フィルター方式ですが、3D映像が見づらい、疲れやすいという人はこの上映方式を選ぶといいかもしれませんね。

半田教授 そうですね。疲れにくさでいえば「液晶シャッター方式」もいいですね。左右のレンズを高速で開閉させ、左右それぞれの目で異なる3D映像を見せるもので、映像の左右差を感じにくい方式です。

――やはり左右差があると見づらかったり、疲れやすかったりするのでしょうか?

半田教授 私たちは右目と左目で見た映像(情報)を頭の中で一つにしていますが、それぞれの情報が違いすぎると一つにするのが難しくなります。

例えば、昔の3D用のメガネはレンズが赤色と青色になっている「アナグリフ式」というものでしたが、このように左右で色が違うなど差が大きいと疲れてしまうのです。
特に隠れ斜視の場合は、右目で見る映像と左目で見る映像の差が大きいほど見るのに力を必要とします。ですから、円偏光フィルター方式や液晶シャッター方式など、左右差の少ない上映方式を選ぶといいでしょう。

スクリーンから離れることが重要

――円偏光フィルター方式や液晶シャッター方式でもどうしても見づらい、疲れてしまうという人もいますか?

半田教授 います。よく「利き目」といわれますが、私たちの目は右目と左目で受け取る情報の量に差があり、この度合いも人によって違います。映画館やテレビで流れる映像は、多くの人が普通に見られるであろう「中央値」の映像なので、左右差の少ない映像でもうまくマッチできない人が出てきます。

――個々の目の特徴や個性に適した3Dメガネにしないと対応できなそうですね。

半田教授 理想はそうですが、なかなか難しいですね。

――「それでも映画館で3D上映が楽しみたい!」という場合はどうすればいいですか?

半田教授 「3Dメガネを自分に合ったものにすること」が大前提ですが、「スクリーンとの距離を取ること」も重要です。
映画館で作品を見るときの適切な距離は「画面の高さの3倍」だとされています。そもそも3D映像は、画面から離れるほど立体感が増すものですから、スクリーンから離れた方が目も疲れず、3Dも楽しめます。

――スクリーンに近い方が3D映像がより楽しめると思っていました……。

半田教授 離れ過ぎても見づらくなりますから、中央付近の座席で見るといいですね。もし3D作品を見ていて疲れてしまったら、3Dメガネを掛けたまま片方のレンズを手で隠すといいですよ。そうすると2Dになりますからね。ただ、そこまでして3Dを見る必要はないかと思いますが……。

――「どうしても」という場合は、その方法を用いればいいですね。ありがとうございました。


3D映像をうまく見るには、

・自分に合った3Dメガネを選ぶこと
・できるだけ左右の映像差の少ない上映方式を選ぶこと
・スクリーンから距離を取ること

の3点が大事なポイントとのことでした。3D作品が見づらい人やすぐに疲れてしまうという人は、この3点に注意してみてはどうでしょうか。

取材協力:北里大学医療衛生学部 リハビリテーション学科 視覚機能療法学専攻
https://www.kitasato-u.ac.jp/ahs/ov/

(中田ボンベ@dcp)

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