思春期の恋を、大人の恋にアップデートしよう #大学1年生の転び方

トミヤマユキコ

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思春期の恋を、大人の恋にアップデートしよう #大学1年生の転び方

ちょっと前まであんなに暑かったのに、気づけばなんだか涼しい風が。ああ、どうすることもできぬまま夏が終わっていく。この「終わっていく感」の加速度が切なすぎて、なんというかもう「今年も終わりだ(泣)」という気持ちにさせられますね(みなさん、よいお年を)。

 ……と、このように、ひとは終わりを予感すると、たいへん切ない気持ちになります。しかし、その切なさには、なんとも言えぬエモさが含まれている。
今回のお便りもまた、切なくて、エモい。夏の終わりにぴったりです。それではさっそく拝見しましょう。

他大学に行ってしまった同級生とどのようにすればうまく恋愛を続けることができますか…(男性/大学1年生)


エモい。エモすぎる。わたしは思わずぎゃー!と叫んで床を転がりましたよ。これぞ青春。これぞ大学1年生。優勝です。

同じ学校に通う人と両思いな上に、大学合格という共通の目標に向かって一緒にがんばれるなんて素敵じゃないですか。ときどきは、勉強時間が減ってしまう後ろめたさを感じながら短いデートを楽しんだりもしてきたわけですよね。
死ぬほどうらやましいぜ(そもそもモテない上に中学・高校と女子校で出会いがなかった女の個人的意見です)。

しかし、楽しい時間はそう長くは続かないもの。このカップルも、別の大学に進学することになり、一緒にいられる時間はずいぶん減ったものと思われます。

それぞれの生活というものがある以上、いろいろなことをリアルタイムで共有することがどんどん難しくなっていく。ときには、相手の生活スタイルや交友関係に嫉妬することもあるでしょう。

そんな中、せまり来る「終わりの予感」を胸にこのお便りを下さったのでは、と思うと……もう本当にエモいです。心からありがとうございます。

「同じ」が基本の恋愛から、「違う」が基本の恋愛へ移行しよう

思春期の恋愛って、「同じ」だったり「一緒」だったりが支えになっていることが多いんですよね。同じ世代、一緒の学校、触れているカルチャーも似たり寄ったり。

同じだから相手のことがよくわかるし、一緒だから安心できる。もちろん、それ自体は悪いことではありません。

ただ、大人になるにつれ、恋愛における「同じ」や「一緒」はどんどん減っていくもの。歳が違う、出身地が違う、勤め先が違う、好きなもの/嫌いなものが違う……たくさんの違いがあって当たり前なんですね。でも、たくさんの「違う」を乗り越えて、ふっと誰かを好きになってしまう瞬間がある。それが大人の恋愛なんじゃないかと。

いや、これは恋愛だけじゃなくて、人間関係全般に言えることですね。違うところもたくさんあるんだけど、ふとしたきっかけで仲良くなった友達がわたしにもいます。

大人になって、そういう出会いがたまらなくおもしろいと思えるようになりました。

今回のお悩みに関しては、高校までの「同じ」が当たり前の世界から、大学以降の「違う」が当たり前の世界にうまくジャンプできないことが主な原因だと感じました。

よその大学に行った恋人は、新しい環境で変化し続けるでしょう。とにもかくにも、人生には「同じ」から「違う」への移行がある(しかも逃れられない)ことはぜひ覚えておいてください。

そして、そのことを「世の常」として受け止めることが肝要です。そうじゃないと、どんどん変わっていく彼女を無理矢理引き戻そうとしてしまうと思います。

今まで通りの付き合いをしたい、という願いは、一歩間違えると相手に対する強引な要求になってしまい、とてもまずいです。

忍耐強さこそが、カップルの危機を救う

大事なのは、恋愛をするにあたって「同じ」をちょっとずつ諦め「違う」を徐々に受け入れられるふたりであること、なんじゃないかと思います。

ですから、相談者さんが変わりゆく恋人を否定せず、そのまま受け止められるようになったらとてもうれしい……のですが、恋人がそんな包容力ありまくりの相談者さんに目もくれず、「新しいわたしの人生サイコー! 過去なんてどうでもいいー!」みたいな感じで、なんというか、脳内麻薬がキマってしまっているケースも十分考えられます。いずれ我に返ると思いますが、けっこう時間がかかるかも知れません。

わたしにも経験がありますが、そうなってしまうと、とにかく己の過去の全てが古くさい&ダサいと思えてきて、全然ときめかないので、捨てたくなるんですよ。

その「捨てるリスト」に「現在の恋人」が入ってしまうこともないとは言えません。

しかし、やれることはただひとつ。忍耐強く相手と向き合うこと。それだけです。もし別れようと言われたら、相手の意志を尊重して、いったん別れたほうが、あとでヨリを戻せるかもしれないとすら思います。

「お前はいま新しい環境のせいで頭がおかしくなってるんだーっ!」とか言って、強引に目を覚まさせようとすれば、その暴力性だけが相手に伝わってしまって、逆効果です。

俺にできるのは忍耐強く待つことだけかよ、と思われたことでしょう。明るい見通しを示せなくてすみません。でも、既婚者になってつくづく思うのですが、愛する人の変化をできる限り受け入れ、よくない状態のときには、慌てずじっくり様子を見ることが、夫婦関係を継続する上ですごく重要なんですよ。地味だけど、それが一番の近道です。

ただし、浮気とか二股とか、倫理的に許されないと思うことは、別に我慢しなくていいですからね! 


つまり、相手の変化をできる限り受け入れることと、惚れた弱みでなんでも許すことは、わけて考えましょうということ。愛することと、甘やかすことは、まったくの別物。

それが理解できてこそ、大人の恋愛ができるってもんです。

文・トミヤマユキコ
ライター、大学教員。早稲田大学法学部、同大大学院文学研究科を経て、2019年春から東北芸術工科大学講師。ライターとして、日本の文学、マンガ、フードカルチャーなどについて書く一方、大学では、少女マンガ研究を中心としたサブカルチャー関連講義を担当。
書籍:『大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ』(清田隆之との共著)
Twitter : @tomicatomica


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ライター、大学教員。早稲田大学法学部、同大大学院文学研究科を経て、2019年春から東北芸術工科大学講師。ライターとして、日本の文学、マンガ、フードカルチャーなどについて書く一方、大学では、少女マンガ研究を中心としたサブカルチャー関連講義を担当。

書籍:『大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12のステップ』(清田隆之との共著)

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