斎藤工は枠に囚われない、捨てる勇気があるから。

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俳優業にとどまらず、映画監督やバラエティなど挑戦をやめない斎藤工。

斎藤工はなぜ、枠に囚われないのか。

38歳を迎えた彼の哲学と、10月2日放送のドラマSP『最上の命医 2019』に込めた想いを伺いました。

人生を賭して「最上の何か」を目指す、あるいは目指すものがわからないあなたに届いてほしい、斎藤工のイノセンス。

ーー『最上の命医』シリーズは2011年からはじまりました。8年前とくらべて、斎藤さん自身に変化はありましたか?

斎藤工

自分自身ではわからないです。
いろんなことをしすぎて、迷走している感はあると思うんですけど……(笑)。

ただ、38歳になって、当然落ち着いてくるべき年齢ではあると思うんですけど、僕にとっては裾野を広げていくことの方が大事で、このドラマが始まったときより「守らない」という守り方を手に入れようとしている最中です。

ーードラマのタイトルにちなんで伺います。
「最上の何か」になるために斎藤さんが心がけていることは?

今の俳優業をいわゆる「就職先」だとは思っていないんです。

僕は、若いときに俳優業と出会いましたが、自分に合っているものに早く出会いすぎることって、必ずしもメリットではないというか。

「自分にはもしかしたらこれが合うかもしれない」とか、「意外とこれが自分はしっくりきた」みたいなことを模索する期間というのが、実はいちばん充実した日々だと思っていて。

斎藤工

たとえば、就職活動をすることで、自分自身はもちろん親や世間に向けて「何かひとつ確約をもらいたい」と思う気持ちはわかります。

でも、あまりにも就職をめがけて動きすぎるのは、すごくもったいないな、と。

むしろ、就活期に出会う何気ない人との会話が大事だったりもするし、紆余曲折あってやっとたどりつくというのが、人生の醍醐味だと思うので。

自分の人生が、1本の映画だったら

斎藤工

たぶん今って「どれだけ端的に、ムダなく早くゴールできるか」ということが重要視されてるように感じています。

でも、実はそこで損失しているものがたくさんあるな、ってアナログの世代からはどうしても思ってしまう。

たとえば、自分の人生が、1本の映画だとしたら。

内定をもらえなかった人、自分の目標にたどりつかなかった人……そんな人たちこそ、し映画だったら、ここから盛り上がるところじゃないですか。

渦中にいるときは大変だとは思うんですけど、そこから何に出会うか、どうリベンジを果たしていくか、そんなドラマを楽しんでほしいんです。

極東の向こうの世界を、知ってほしい

斎藤工

ーー大学生世代は、将来への不安を抱えながら、それぞれの「最上のなにか」を目指してがんばっています。ぜひ、アドバイスをお願いします。

一度、まったく価値観や文化の違う国に行ってみてほしいですね。

小学生のとき、イギリスにサマースクールに行ったんです。イギリスに向かう飛行機の中で世界地図を見てたら日本がなくて。「あれ?」って思って探したら、右隅にすんごいいびつな形であったんです。

僕らがいるところって、Far East(極東)なんですよ。

こんなに世界が広いのに、自分はここしか知らないのか、ということがショックでした。
もちろん、日本だからこその価値観もあれば美学もあるけど、やっぱり世界を知りたくて、のちにバックパックを始めたんです。

すると、日本がどういう国かがだんだんわかってきた。

日本の基準は日本の基準でしかないというか、年齢や学歴なんかのキャリアがまったく意味をなさないこともたくさんあるし、昔見た世界地図みたいに、日本が中心じゃないということを身をもって知ることができました。

沢木耕太郎さんの『深夜特急』と、『イントゥ・ザ・ワイルド』というショーン・ペンが撮った映画があるんですけど、もし旅に出るなら、このふたつにはぜひ触れてみてほしいと思います。

年齢は飛距離。ネガティブに捉えるな

斎藤工

バックパックを経て、「年齢に囚われる」ということはこれだけ毒なんだ、ということもわかった。僕らは歳を重ねることを、どうしてもネガティブに捉えがちじゃないですか。

でも僕は、年齢は飛距離だと思ってるんです。

年齢を重ねるほど、おいしいものを食べたり、行きたいところに行ったり、会いたい人に会える回数は増えるわけで、経験という飛距離が増える。それはとってもラッキーなことだ、と。

積み重ねた経験は、その人の個性になっていくと思います。どんな経験を重ねるかも自由で、たとえば「なにかを探しに海を渡って、外から日本を見たかったんです」と面接で言えたなら、それは自分の長所になると思うんです。

ただ、年齢を重ねることをネガティブに思う人も、少なくない。
そんな人とは、付き合わなくていいんだってこともクリアになるんです。

ーー斎藤さんにとっての「最上をめざす」、その定義は?

頂上に仁王立ちして旗を掲げる状態が「最上」ではなくて、その途中というか…。
頂を目指している姿そのものが、僕にとっての「最上」かなと思います。

たとえば、俳優業界の先輩たちも「もうあなたは頂点として君臨していてください」って人がまだ上を見てたりするんです。

目線を常に上に向けて、そこに近づこうとする行為自体が最上ということなのかな、と思います。

ーー斎藤さんが人生でめざす「最上の何か」はありますか?

僕も開拓している最中で、たぶん頂上を目指してはいます。
でも、頂上に到達することが本当のゴールではなくて、今まで自分が経験してきたことを捨てる覚悟があります

だからこそ、フレキシブルに身を投じているところがあるんですね。
自分の経験値みたいなもので祠を作ってしまわないように心がけてます。

これというものに出会いたいんだけど、出会いたいと思って行動に移しているときが、たぶん僕がいちばんやりがいを感じているときなんです。

恋愛でも実ったとたん冷めていく、みたいなことあるじゃないですか(笑)。

「あれ? 追っかけてたときがいちばん盛り上がってたかも」みたいな。
それにちょっと近いかもしれないです。

2011年、震災。「主演だったから」以上の意味

ーー2011年のテレビシリーズから続く『最上の命医』ですが、シリーズだからこそのやりがいや難しさはありますか?

最上の命医

シリーズを網羅して、“線”として捉えていただいている視聴者の方々に支えられていますが、“点”で何を残せるか、ひとつの“点”がどう届くかが勝負だと思っています。

シリーズを通して同じスタッフの方とやらせていただいているので、あうんの呼吸というか、台本にはない意識の共有ができているので、そんな信頼関係の中でやらせていただいているのも心強いです。

2011年、連続ドラマ放送中に東日本大震災が起こったこともあって、僕にとっては“主演だから”という以上に意味がある作品でもあります。

現代医療と小児外科の問題は、日本においてなかなか解決しない事例として今もあり続けているので、このシリーズも「ここで終わり」というピリオドは見えないですね。

ーー8年間、西條命という役を演じることを通して、感じたことはありますか?

西條命

僕は昔、オーストリア出身の教育者であり哲学者のルドルフ・シュタイナーの教育理念を実践する学校(東京シュタイナーシューレ、現・シュタイナー学園)に通っていました。

その教育理念と、西條命(みこと)の感情に、すごく通ずるところがたくさんあって驚いてるんです。

シュタイナーは医学や医療にも取り組んでいて、こんな言葉を残しています。

ーー「僕らは自然界や他者の恩恵の中に属している」

人は自立した生き物だと思いがちですが、親から生まれ、教育を受け、ものを食べ生きていく中で、実はいろんな人に支えられて生きているんですよね。

要は、自己に向ける自己のパワーより、他者に向けたエネルギーの方が大きいんです。まさにそれって西條命そのものだなと思っていて。

西條命のように、自分が大きな病気を抱えていても、優先順位を自分ではなく他者の未来に迷いなく向けるという強さを持っていることはすごく素晴らしいし、こういう人がいたらいいなと思います。

西條命にこれだけ長く寄り添わせていただいているからこそ、「西條命らしいかどうか」とか「西條命だったらこうしたんじゃないか」と考えることが、自分の中に生まれたひとつの要素というか、自分の中で何かをジャッジする際のひとつの物差しになっているんです。

だから西條命は、僕にとって目標のような存在になっていると思います。

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:落合由希 写真:島田香 編集:学生の窓口編集部
ヘアメイク:赤塚修二 (メーキャップルーム)スタイリスト:川田力也(es-quisse)

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10月2日(水)よる9時〜放送
ドラマスペシャル『最上の命医2019』(テレビ東京系)
出演/斎藤工 田中麗奈 永井大 村田雄浩 泉谷しげる 岸谷五朗ほか

「最上の命医 2019」番組HP https://www.tv-tokyo.co.jp/mei...
「最上の命医」番組 HP : https://www.tv-tokyo.co.jp/mei...
番組公式 Twitter : @tx_meii

Ⓒテレビ東京

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大学が好きで、それが講じて6年通いました。タメになることよりムダなことが好きです。

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