「本気でバカなことをやる」がモットー。『大阪大学コウメ太夫研究会』

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「本気でバカなことをやる」がモットー。『大阪大学コウメ太夫研究会』

大阪大学に『大阪大学コウメ太夫研究会』というサークルがあるのをご存じですか? 「コウメ太夫」さんといえば、人気お笑いネタ番組『エンタの神様』でブレークした芸人さん。
昨今はすべり芸で人気を博していますが、「コウメ太夫さんを研究」というのは具体的にどんなことをしているのでしょうか。今回は、『大阪大学コウメ太夫研究会』の実態に迫ります!

「#まいにちチクショー」との出会いが全ての始まり

大阪大学コウメ太夫研究会の主宰・御樹原(みきはら)さんにお話を伺いました。

大阪大学コウメ太夫研究会、略して「阪梅会」

――どのような活動を行っているサークルなのですか?

御樹原さん 『大阪大学コウメ太夫研究会』は、1回生の私が立ち上げたサークルで、文字どおり、芸人であるコウメ太夫氏について研究・考察を行うサークルです。
現在の主な研究対象は、氏がTwitterに投稿する「#まいにちチクショー」というネタツイートです。一見すると支離滅裂な文章なのですが、その奥に深い含蓄が隠されているのが魅力です。

――なぜコウメ太夫さんの「#まいにちチクショー」を、研究・考察しようと思ったのでしょうか?

御樹原さん まず私とコウメ太夫氏、「#まいにちチクショー」との出会いについて話をさせてください。私は小学生のころに氏の出演するテレビ番組、『エンタの神様』を見て以来、ずっと氏のファンでした。
もちろん今でも大ファンですが、当時なぜ「コウメ太夫は面白い」と思っていたのか謎ですね。

氏がTwitter(@dayukoume)を始めたのは2011年10月で、まいにちチクショーの投稿を始めたのが2016年3月でした。
私はTwitterを2016年の10月くらいに始めて、すぐにコウメ氏をフォローしたのですが、ご存じのとおり面白くありませんでした。

当時のリプライ欄は「面白くない」「うそをつくな」などの言葉であふれ返っていたのですが、その中で「味わいカルビ塩」さん(@ajiwaikarubi)という方がチクショーの面白さを5段階で評価していました。

――味わいカルビ塩さんの評価リプライはネットでも話題になりましたね。

御樹原さん だいたいは星1か星0の評価なのですが、評価文が冷静でめちゃくちゃ面白かったです。気付くと毎日コウメ氏のチクショーそのものではなく、味わいカルビ塩さんの評価を楽しみにしていました。

その後、2017年の1月末に「まいにちチクショー指導くん」さん(@koumehyouka)が現れ、それからは「まいチク指導くんを評価くん」さん(@koumesidou_hyk)や、現在でも活発に考察を行っている「哲学者コウ・メダユー」さん(@koume_philo)などが次々登場して、氏のリプライ欄に一つの文化圏が形成されていきました。

その様子が本当に面白くてたまらなく、当時の私もメインで使うアカウントとは別に、氏にリプライするためのアカウントを作るほどどハマりしました。私と「まいチク」の出会いはそんな感じです。

――それがサークルの立ち上げにつながっていくのですね。

御樹原さん 私は昔から「バカバカしい変わったこと」をするのが大好きでした。学校の隅にある誰も使わないトイレを勝手に掃除してめちゃくちゃきれいにしたり、もう一度使えばすぐに汚くなるであろう飯ごうを磨きまくったり、「役に立たないこともない」くらいのバカバカしいものばかりでした。

ただ、こういうバカバカしいことは、往々にしてエスカレートしていくものです。気付いたら国語の教科書を最後から音読したり、数学のノートを縦書きで取ったり、本当に訳のわからないことをやりだしました。

――確かに普通の人はあまりしなさそうですよね。

御樹原さん やってる自分はいいんですけど、はたから見るとめちゃくちゃ怖いらしいんですよね。だから親とか先生は怒ってやめさせようとしました。

「自分の遺影」を作って毎日線香をあげようとしたら、母親に縁起でもないって本気で怒られたこともありました。そうやって止められると窮屈さを感じるわけですよ。
その結果として、「大学に入って自由になったら、バカバカしいことを真剣にやるぞ」とずっと考えていました。

――それがコウメ太夫さんの研究であると。

御樹原さん そうなりますね。ただ、ずっと考えていた「大学でやるバカバカしいこと」とコウメ氏の研究はすぐには結び付きませんでした。

最初は「壁に貼った50音表にダーツを投げて当たった文字を原稿用紙に書いていき、出来上がった意味不明な文字列を製本する」など、いろいろと考えていたのですけど、「なんか違うよなー」と思っていました。

――そのときはコウメ太夫さんのことは頭になかったのですか?

御樹原さん 「大学でやるバカバカしいこと」を考えていたのが受験生のころだったので、Twitterを見る頻度も減り、先述のコウメ氏にリプライを送るアカウントもめっきり見なくなっていました。

でも、あるときにふと思い出して、メインで使っていたTwitterアカウントで「コウメ太夫は哲学なんだよな」とツイートをしました。そしたら共感してくれる人がいて、それが今私が「共同設立者」と呼んでいる人なのですが、すっかり彼と意気投合して、しかも志望校も同じだったので「もうこれはコウメ太夫研究会を作るしかない」となりました。
そのときにようやく「大学でやるバカバカしいこと」と「コウメ氏の研究」がつながったんですね。

――共同設立者の賛同がなければサークルは生まれていなかったかもしれませんね。

精選した「まいチク」をメンバーで評価

――現在は何人で活動をされているのでしょうか。

御樹原さん 私を含めて8人を正式な会員としています。全員が1回生で、恐らくこれからもう少し増えると思います。正直なところ、こんな訳の分からないサークルに参加しようという人が現れると思っていなかったので本当に驚いています。最悪、私一人でもやっていくぞと覚悟していたので、ありがたい限りです。

――普段の活動内容を教えてください。

御樹原さん 主な活動は、2週間に1度程度のペースで会員が集まる例会です。ここでは発表された「まいチク」についての議論・考察を行っています。

「まいにちチクショー」の名のとおり、サークル活動の対象が毎日供給されるのは当会の強みですが、「何を言ってるんだ?」という内容のツイートが結構な頻度であるので、議題を精選する必要があります。そのため、このペースでの開催となっています。

例会の模様

議論で得られた成果は自分たちだけのものにするのではなく、Twitter(@OU_Koume)上で発表し、他のチクシスト(まいにちチクショー愛好者のこと)に公表しています。他にもTwitterでは、議題にするほどではないチクショーを主宰が個人的に考察し、発表しています。

また、これは今後の目標でもあるのですが、考察をまとめた会誌を学園祭や同人誌即売会で頒布することも考えています。

「本気でバカなことをやる」のが会のモットー

――活動を行う上で、御樹原さんが心掛けていることは何ですか?

御樹原さん 会のモットーの一つが「本気でバカなことをやる」というものです。ふとわれに返ったときに、自分たちがやっていることがバカバカしく思えることがあります。そんなときは、「最初からバカなことだというのはわかっていただろう。ただ他のやつらと違って私たちは全身全霊でバカなことをやるんだ」と自分たち自身に言い聞かせています。

もう一つのモットーは「多様性を尊重する」です。「まいにちチクショー」に対する考察に、正解なんてありません。コウメ氏はきっとそこまで考えていませんからね。
でも一つの考察に対して「より良い考察」は存在すると思います。メンバーには男子も女子もいますし文系も理系もいますが、我々全員でより高みを目指して進んでいくことが大事だと考えています。

解釈の方向性も、哲学をベースにしたり、社会的な観点から捉えたり、あるいは原点に返ってお笑い芸人のネタとして捉えたり、さまざまなものが考えられますし、それぞれに意味があると思います。

一つの単語をさまざまな側面から考察

――サークルの皆さんは、コウメ太夫氏に対する熱意を持っているのですね。今回の記事を読んでサークルに入りたいという人も出てくるかと思いますが、どんな人に入会してほしいですか?

御樹原さん 「真面目にバカをやりたい」という人には本当におすすめです。当会にはあなたのバカを笑う人はいません。「知識がないから……」と敬遠する必要もありません。当会は初学者大歓迎です。むしろコウメ太夫考察をしたことがある人なんてほとんどいないと思うので……。

実際に大学に入ってから考察を始めた人でも、思いも寄らないアイデアを出してくれたり、鋭い指摘を浴びせたりと活躍しています。誰だって最初は何もわかりませんし、何度も考察を重ねていくことが大事なので、気負わずにまずは一度参加してみてください。
当会はあなたを歓迎します。活動の予定はTwitterでお知らせしますので、ぜひチェック・フォローをよろしくお願いします。

大学に「おもろいこと」を楽しむ風潮を生み出したい

――最後に、大阪大学コウメ太夫研究会の今後について聞かせてください。

御樹原さん 今後の大きな目標が、当会を大阪大学公認のサークルにすることです。これにはまだまだ大きな壁がありますし、実際に公認化できたからといって何かできることが増えるのかと言われると、そんなにないと答えざるを得ません。
しかし、「コウメ太夫研究会が公認される」という事実が重要だと私は考えています。

正直なところ、大阪大学には真面目で窮屈なものを感じています。もちろん大学なので真面目であることは重要だとは思いますが、せっかくお笑いの街・大阪にあるのに、こんなにお堅いのはもったいないと思うのです。

大阪大学にはコウメ太夫研究会を公認するくらいの、「おもろいことを楽しむ風潮」が生まれてほしいなと思っています。そこには、「真面目にバカをやって世間に認められたい」という思いもあります。正直者がバカを見る世の中であっても、バカなことも真剣にやっていれば認められるということを証明したいと思っています。

――大きな目標を掲げているサークルでもあるのですね。

御樹原さん この大きな目標を達成するためには、まずは学内での知名度を上げる必要があります。Twitter上ではありがたいことにそこそこの知名度を得ているのですが、Twitterをやっている人が全てではないので、学祭への出店などを通じて多くの阪大生に「コウメ太夫研究会なんてあるんや」と思ってもらいたいです。

今回の取材を受けたのも、知名度上昇の一助になればいいなと思った故です。うちなんかを取り上げていただいて本当にありがたい限りです。

――知名度向上に貢献できればうれしいです。今回はありがとうございました!


『大阪大学コウメ太夫研究会』は、コウメ太夫さんのネタツイートを研究・考察しているサークルでした。失礼ながら取材前は「あまり本気で活動していないサークルなのでは」と、思っていましたが、本気でバカなことをやっている「コウメ太夫さんへの愛にあふれたサークル」ということがわかりました。

現在、入会は同じ阪大生のみということですが、同じようにコウメ太夫さんへの愛を内に秘めている人は、一度Twitterをチェックしてみてはいかがでしょうか?

⇒大阪大学コウメ太夫研究会(阪梅会)のTwitter
https://twitter.com/OU_Koume

(中田ボンベ@dcp)

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好きなものはチョコとビールと音楽と映画。ネトフリ廃人。ときどき絵を描きます。
Twitterで人の「いいね!」欄を見て時間をつぶすのが日課。

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