お金に詳しくなれる! 金融や投資がテーマの「経済系映画」

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映画の中には、金融業界を舞台にしたり、金融・投資をテーマにする作品があり、特にリーマン・ショック以降は「金融危機」を扱った作品が目立ちます。
これらの作品を見ると、実際の金融業界がどのようなものなのかを知ることができ、勉強としても役立つ作品が少なくありません。
今回はそんな「金融や投資がテーマの映画」をご紹介します!

お金に詳しくなれる? 金融や投資がテーマの「経済系映画」!

『インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実』(2010年)

●世界的な金融危機を作った張本人はだれ?


リーマン・ショックと呼ばれる2008年の世界的な金融危機がどのようにして起こったのか、を描くドキュメンタリー映画です。ちなみに原題の「inside job」は「内部の者の犯行」という意味で、責任の所在が金融業界自体にあったことを示しています。

本作は、「プロローグ」の後、第1部「How We Got Here」(ここまでの経緯)から第5部「Where We Are Now」(現在の状況)までが続く、章立ての構成になっています。それぞれの章で、何が誰によってなされたかが描かれます。淡々と事実を積み上げて、金融危機をもたらした構造を明らかにしていきますが、観客はだんだん暗澹(あんたん)たる気持ちになります。
負の連鎖が続き、誰もそれを止めなかったことを理解するからです。

「事実は小説よりも奇なり」といいますが、往々にしてフィクションよりも「事実」のほうが怖いもの。
本作は、世界的な金融危機についての「怖い事実」を教えてくれる映画で、その衝撃ゆえか第83回アカデミー賞で「長編ドキュメンタリー映画賞」を獲得しました。

『キャピタリズム ~マネーは踊る~』(2009年)

●暴走する「資本主義」がアメリカ市民を不幸にした?!

『華氏911』『シッコ』などで知られるマイケル・ムーア監督の作品です。毎作アメリカの「なんだかヘンな部分」をテーマとして取り上げるムーア監督ですが、2008年のリーマン・ショックを受けて、本作では暴走する「資本主義(キャピタリズム)」に挑んでいます。

取材映像を自在に切り貼りしながら作品を構成するのがムーア監督の手法ですが、リーマン・ショックを引き起こした「サブプライム問題」、ローンが払えず家を取り上げられる人などを切り取り、アメリカ市民にどんな影響を与えたのかを浮かび上がらせます

相手が「資本主義」という巨大なものなので、さすがのムーア監督も持て余した感がありますが、それでも日本からはうかがい知れない「アメリカのヘン具合」は必見。ウォール街の人々の非常識で浮世離れした感じにはショックを受けるかもしれません。

『マネートレーダー/銀行崩壊』(1999年)

●女王陛下の銀行を破綻させた男

かつては「Queen's Bank」(女王の銀行)とまでいわれた英『ベアリングス銀行』がどのように破綻したのかを描いた作品です。元銀行員で銀行を破綻させたトレーダー、ニック・リーソンの手記『Rogue Trader:How I Brought Down Barings Bank and Shook the Financial World』(ローグ・トレーダー:私はいかにしてベアリングス銀行を破綻させ投資世界に衝撃を与えたか)を原作としています。

ベアリングス銀行にトレーダーとして勤務するニック・リーソンは、先物取引部門責任者に抜てきされ、デリバティブ取引で成果を上げていました。しかし、実は架空取引口座に損失を隠していたのです。
この損失隠しのため自己売買(本来は禁じられている)を行いますが、これがさらに損失を拡大させます。さらに日本で起こった「阪神・淡路大震災」によって日本市場は大暴落。ニックの取引は致命的な損失を被ります。これを取り返すべく大ばくちを打つのですが……というストーリー。

損失を取り返そうとじたばたして、かえって損失を拡大させるというニックの姿は、多くのトレーダーにとって他山の石となるでしょう。
ニックは主に日経平均と日本国債のデリバティブ取引を行っていましたので、その点でも日本人なら興味深く見られる作品です。

『私がベアリングズ銀行をつぶした』(新潮社)という手記の翻訳本も出ています。もし興味があればこちらも読んでみてください。落ちていくトレーダーの苦悩がリアルに感じられるとても面白い本です。

『マージン・コール』(2011年)

●金融危機に瀕したとき、人や会社はどうなる?

世界的な金融危機の引き金となった、2008年のリーマン・ブラザーズ社の破綻をモデルにした作品です。

ウォール街の巨大な投資銀行で大規模なリストラが行われます。クビになったリスク管理部門のエリックは、「気を付けろ」と言いながら部下のピーターにUSBメモリーを渡します。ピーターはそこに記録されたデータを見て、サブプライム商品のリスクが高まり銀行を破綻させる可能性があることを知ります。
一方、経営陣は銀行を破綻させないためにある汚い手段を講じようとして……というお話です。

あくまでもフィクションですが、破綻したリーマン・ブラザーズ社で当時行われていたであろうこと、想定される社員の動きがリアルに描かれています。金融商品、投資銀行が暴走した際にどんなことになるのかを教えてくれる佳作です。

『金融腐蝕列島 呪縛』(1999年)

●バブル時代末期の金融業界の悲惨さ

高杉良先生の著作を原作とし、実際にあった旧『第一勧業銀行』(統合されて現在は『みずほ銀行』)の総会屋利益供与事件をモデルにした作品です。

本作では総会屋に不正融資が行われたことが発覚し、危機に瀕する『朝日中央銀行』のどたばたが描かれます。銀行の経営中枢は事なかれ主義で責任回避に終始しますし、そのため組織は崩壊寸前に。そんな中、過去のあしき呪縛を断ち切り、自行を立ち直らせようとする銀行員たちが苦闘を続けるのですが……というお話。

物語の舞台となっているのはバブル末期の1997年。上記の利益供与事件が発覚し、『三洋証券』『山一證券』『北海道拓殖銀行』が破綻した年でもあります。バブルの時代は遠くなってしまいましたが、当時の日本の金融業界の惨憺(さんたん)たる状況が実感できる良作です。

『ウォール・ストリート』(2010年)

●あまりにも非常なお金の世界



『プラトーン』『ブッシュ』などで知られるオリバー・ストーン監督自身による『ウォール街』(1987年)の続編。社会派と呼ばれるストーン監督ですから、リーマン・ショックに触発されて実に20年超ぶりですが「続き」を製作したくなったのでしょう。

前作『ウォール街』で、インサイダー取引が明るみに出て逮捕、刑務所に収監されたゴードン・ゲッコーが8年ぶりにシャバに出てきます。さらに7年後、ジェイコブ・ムーアが勤務する証券会社が株価の急落で破綻。社長のルイスは自殺します。株価急落にはブレトンの投資銀行が関与していました。
ブレトンはゴードンが逮捕されるきっかけをつくった男でもありました。講演会でゴードンと知り合ったジェイコブはルイスの復讐(ふくしゅう)を考え……というストーリーです。

世界的な金融危機を背景に、お金の戦場で戦う男たちを描いていますが、本作はまた家族の再生を模索する物語でもあります。非情なお金の世界の肌触りが見る者の心に鮮烈な印象を残す作品です。

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年)

●投資家の勝利と世界の破綻



マイケル・ルイスのノンフィクション『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』を原作とする作品。原題は「The Big Short(ザ・ビッグ・ショート)」ですが、これは「すんごい空売り」という意味です。

本作では、2008年に起こった「リーマン・ショック」の際に、空前の空売りを行って(ショートのポジションを取って)大金を手にした3つのグループの動きを追います。
しかし、作中ではその「勝利」を華やかなものとしては描いていません。それは多くの人の生活が破綻した上に成り立った、あまりにも苦い勝利だったからです。

また、本作は「リーマン・ブラザーズ」を破綻させた「サブプライム・ローン」とはどのようなものだったのか、またそれがなぜ破綻したのかをわかりやすく解説してくれる教材のような作品です。
要所要所で登場人物が観客に語りかけ、「モーゲージ債とはどのようなものか」などを説明してくれるのです。この演出が入っているおかげで、金融についてのリテラシーがそれほどなくてもストーリーラインについていくことができます。

そのため、この映画を見るとリーマン・ショックがどのように引き起こされたかを大づかみに理解できるようになります(厳密には説明が正確ではない部分もあるのですが)。2008年の金融危機について知りたい人には絶対おすすめの1作です。

『大逆転』(1983年)

●一発逆転で大もうけ! の痛快コメディー

先物取引を利用して一発逆転をたくらむコメディー映画で、監督は才人ジョン・ランディスが務めています。

商品先物取引を扱う会社のデューク兄弟が「人間は血統か環境か」でけんかをします。兄弟は、自社に勤務する生まれながらのエリート社員ウィンソープと、ホームレスのバレンタインの立場を入れ換え、どうなるかを賭けることにしました。
ウィンソープは屋敷から放り出され、バレンタインが主(あるじ)としてやって来るのですが、やがて2人はデューク兄弟のたくらみに気付いて復讐を考え……というストーリー。

舞台となるのは、立ち会い所で紙の注文書が飛び交う時代ですが、今見ても痛快でスカッとする傑作です。統計データの政府発表が、いかに先物価格に大きな影響を与えるかがよくわかる作品でもあります。


というわけで金融・投資がテーマの映画をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?
投資や経済に興味がある人は、ぜひ勉強の最初の一歩として今回ご紹介した映画を見てみてください。

(柏ケミカル@dcp)

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