「焼きそばパンを食べる! が目標でもいい」 鈴木愛理が考える、自分を変える方法
放送中のドラマ『Iターン』で、広告代理店で働く主人公・狛江(ムロツヨシ)の同僚、吉村美月役を演じている鈴木愛理さん。現在はソロシンガーとしての単独ホールツアー「鈴木愛理 LIVE 2019 “Escape”」も佳境を迎えています。久々の演技のお仕事について感触を振り返ってもらうとともに、ソロデビューから1年を迎えた今、自身の「変化」やこれからの「挑戦」について聞きました。
INDEX
2.憧れのムロツヨシさんから、吸収しようともがいた演技の現場
3.℃-ute時代から現在までを振り返る。鈴木愛理が変わった3つのきっかけ
・“歌って踊る”原点はSPEEDさんとBOAさん
・「あのときつんくさんは、私のことを試していたのかも」
・ソロデビューとともに「第二の人生」が始まった
・26歳になる前に自分らしさを確立したい
ソロデビューからの1年、全部が「初めて」
―2017年に℃-ute解散とともにハロー!プロジェクトを卒業し、2018年6月のソロ活動開始から約1年が経った今、改めてこの1年を振り返って、あのときの自分から「変わったな」と思うことを教えてください。
全部が初めてみたいな1年でした。今までにも経験のある、たとえば「取材を受ける」という活動ひとつとっても、とにかく「ひとり」というのが初めてなので。
自覚はないんですけど、久しぶりに会った友達には「愛理ってそんなに自分の意見をいう子だったっけ?」って言われました。「もっと人の意見に流される子だと思ってた」って。言われて初めて気づいたんですけど、やっぱりひとりになってからは自分がやりたいことを考えて発信することがすごく増えたので、少しは自立できたのかなって感じました。
―「自分しかいないんだからしっかりしなくちゃ」という気持ちがあったと。
そのせいなのか、ライブでもつい、しゃべりすぎちゃうんです(笑)! 「鈴木愛理がソロになっていちばん心配なのは、MCができないこと」ってみんなから言われていて、自分でもそう思ってたぐらいだったのに……。でも、ある意味本来の自分が出てきたのかもしれないです。
憧れのムロツヨシさんから、吸収しようともがいた演技の現場
―久々の本格的な演技のお仕事は、いかがでしたか。
演技自体が本当に久しぶりで、「台本ってどうやって覚えるんだっけ?」というレベルから始まったので、右手と右足が一緒に出ちゃうんじゃないかというぐらい緊張しました。
いつも好きで見ていた俳優さんたちとの共演は貴重な経験でしたし、特に今回の共演者はすごく人間味のあるお芝居をされる方ばかりで、勉強になることしかなかったです。
ドラマ『Iターン」は極道×サラリーマンっていう「なんじゃそれ!」な感じのコメディなんですけど、見ていると「自分もがんばろう」という気持ちになれる作品。視聴者の方がゆるい気持ちで楽しみながら、なにか少しでも響くものがあれば嬉しいです。
―主演のムロツヨシさんとは共演されてみていかがでしたか?
撮影の直前までムロさんが出演されていた『大恋愛』を観ていたので、共演できる日が来るなんて思ってもいなくて。ラジオでも(『大恋愛』について)結構語ってたんです。そしたら共演させていただくことになって。役者として学ぶべきところがたくさんある方だと思っていたので、現場では「吸収しよう」とがんばりました。
ムロさんは演技経験のほぼない私にも「よかったよ」って声をかけてくださる、すごく優しい方なんです。忙しい合間に「気分転換だ」って、私と(もうひとりの社員・柳直樹役の)渡辺大知さんをランチに誘ってくれて、ラーメンを食べに行ったり。そういう現場への気遣いもすごくて、見習わなければいけないなと思いました。
―吉村美月役を演じる上で難しかったところはありますか。
原作の美月ちゃんは愛嬌だけで生きてるみたいな役だったので、当初はそういうキャラクターを演じるつもりでいたんです。でも、ドラマの美月ちゃんはサブカル女子っていうまったく正反対の性格だったので、最初は切り替えが難しかったですね。
美月ちゃんは、最初は恋も仕事も興味ない感じで、髪もボサボサ。でも回を重ねるごとに、ムロさん演じる狛江や、周りの影響を受けて少しずつ気持ちが変わっていくので、その様子を外見の変化でも表現しています。メイクさんと相談しながらいろいろ工夫したので、そんなちょっとした変化にも気づいてもらえたら嬉しいですね。あとはちょこちょこ出てくる回想シーンがおもしろいので、それも見どころです。
℃-ute時代から現在までを振り返る。鈴木愛理が変わった3つのきっかけ
―ドラマのなかで演じた吉村美月は、周囲の影響を受けて「変わっていく」とのことでしたが、鈴木さんご自身の「変化」のきっかけになったと思う人・モノ・コトを3つ教えてください。
まずはSPEEDさん、BOAさんとの出会いですね。
この2組との出会いで「歌手になりたい!」って思ったので。SPEEDさんはいちばん最初にライブを見た方でもあるし、“歌って踊る”ということにおいて憧れの存在なので、いまだにずっと聴いています。
ハロー!プロジェクトのオーディションで歌ったのもBOAさんの曲(『気持ちはつたわる』)だったぐらいなんですけど、そんなBOAさんにも曲を提供している原一博さんに、自分のファーストシングルを手がけてもらえるとは思ってもみなかったです。昔の自分に教えてあげる……ことはせずに、もう一度サプライズで驚きたい(笑)! そう思うほどラッキーでしたね。
2つめは、℃-uteが8人から5人になったとき(メンバー3人が脱退・卒業した2009年から2010年にかけて)です。
当時はつらかったし、メンバーにもギスギスした空気が流れていて、ファンのみなさんも「なんだこの体制は」みたいな感じになって……誰もうれしくない感じだったんです。
今考えると、あのときつんくさんをはじめスタッフの方々は、もしかしたら私のことを試していたのかもしれないと思います。当時の私は「このままなら℃-uteをやめたいです」って相談してました。あの時期はいちばんキツかったですね。
それから、歌割りについてなど自分の意見を伝えていった結果、その後は本当に楽しく活動できるようになったし、解散ライブのときには当時歌っていた『SHOCK!』という曲も胸を張って披露できたので、今となっては、ターニングポイントとしてとらえています。それでも、自分の人生の中では忘れることのできない、忘れちゃいけない衝撃の年だったなって思います。
・ソロデビューとともに「第二の人生」が始まった
3つめはやっぱりソロデビューしたことですね。
2017年6月に℃-uteが解散し、大学も同じ年の3月に卒業して、今まで積み重ねてきた学生生活とアイドル生活が両方同時に終わったんです。ソロデビューの肩書きも“15年目の新人”でしたが、完全にゼロからのスタートで、「第二の人生」が始まったと言えるぐらいの転機でした。
それに、解散からデビューまでの半年も水面下ではすごく色々なことを経験した成長期間だったんですよね。半年の間に「意外とネガティブなとこあるんだな、自分」みたいな気づきがあったり……たぶんずっと忘れないと思います。
「今日は絶対焼きそばパンを食べる」まずはそんな目標でもいい
―ホールツアーも間もなくフィナーレを迎えます。2019年下半期で「変わりたい」「変われたらいいな」と思うことはありますか?
上半期はずっとツアーのことを考えていました。葛藤や悩み、モヤモヤが多かったなという印象です。年明けすぐにドラマでの演技という新しい挑戦があったんですけど、もうそれが上半期のことだったというのが信じられないぐらい、時間が過ぎるのが早かったです。
だからツアーをやりきったら、下半期はいい意味で羽を伸ばしてリフレッシュしたいですね。今は部屋の模様替えがしたすぎて(笑)、家に帰ると毎日掃除してます。環境をガラッと変えて心機一転、26歳になる前に自分らしさを確立したいなって思ってます!
―最後に、学生生活を通して多くの変化や挑戦の場に立たされ、迷っている人に向けてアドバイスをお願いします。
挑戦して自分を変化させるには、まず自分というものがちゃんと確立していないとダメだと思うんです。それに、「自分はこうなりたい」と思って意識的に変化するのか、それとも自然に変わっていくかによっても違ってくるんじゃないかと。目指すべきものを常に頭の隅に置きつつ、まずは近い目標を達成するっていうのが大事だと思いますね。
大学生って結構やらなきゃいけないことが多いじゃないですか。私自身も大学に通っていたことがあって、あまり厳しい目標を立てると実現しない可能性が高いということは経験済みなので。
たとえば「今日は絶対焼きそばパンを食べる」とか、そんなことでもいいんです。
小さなことから初めて「よっしゃ!」って達成感を感じることができたら、意欲が湧いてきていい方向に変化できたりするので。
あんまり気負いすぎず、でも若いうちになんでもやったほうがいいという気持ちで、常に前向きにがんばってほしいなって思います。
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