「私、自分自身に飽きちゃうのって、嫌なんです。」【女優・石原さとみ】

編集:ナベ子

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石原さとみさんは、なぜ飾っていないように見えるのでしょうか。 火曜ドラマ『Heaven? 〜ご苦楽レストラン〜』で、主人公のフレンチレストランオーナー・黒須仮名子を演じる彼女は、お店を繁盛させる気など毛頭なく、「自分が心ゆくままにお酒と食事を楽しみたい」という欲求を叶えるために店を開いた風変わりなオーナー・仮名子を演じます。石原さんはどう感じ、役と向き合い、演じているのでしょうか。石原さん自身が思う「素のじぶんらしさ」も伺ってみました。

INDEX

1.「私、自分自身に飽きちゃうのって、嫌なんです。
2.「気が付けばこの1か月半、ずっと笑ってますね。」
3.意味のない仕事なんて、世の中にない。
4.楽屋に炊飯器を持ち込むことが健康の秘訣!?
5.現場の雰囲気と本作の見どころ


1.「私、自分自身に飽きちゃうのって、嫌なんです。」

今回演じる役柄は常に自分らしさを発揮して活躍している人物だと思いますが、石原さんが思う「自分らしさ」って何ですか?

私、自分に飽きたくないんです。常に変化し続けたいと思ってるから「自分らしさ」っていうものはそんなにないような……あ、でも、それが自分らしさなのかな。自分に飽きないための欲は強い気がします。

これまでしたことのないメイクや髪型を積極的に取り入れてみたり、手料理とかも新しいレシピに挑戦してみたり。精神的な面でも「こういう自分が好きじゃないからこういうふうになりたい」とか、「こう言ってしまって後悔したから次にはこういう言葉をかけてみよう」とか、常にいろいろ挑戦はしてますね。

仮名子は自由人で我が道を行くタイプの性格ですが、石原さんご自身の性格や考え方が役柄と似ているところはあると思いますか?

そういえば私、この役をやってからすごく切り替え上手になりました。仮名子は何かがあっても「うん、お腹がすいたからもう行こう」とか、何かトラブルが起きたとしても、それを全部自分にとってプラスになるように切り替えられる力をすごく持っているので、その力ってすごく必要だなって思って。もともと切り替え力が低かったわけではなかったんですけど、もっと早くなりましたね。

役柄に影響されて、石原さんにもともとあった気質が強くなったということですか?

そうですね。それはすごく感じます。落ち込みすぎなくなりました。「ま、いっか!」みたいな。何かが起きても「あら最高じゃん、だって〇〇だし」って、1回「最高じゃん!」って言ってみるとか。それは友達の間でもやってたりしますね(笑)。友達にも「なんか最近すごいスッキリしてない?」って言われますし、今までよりもっとさっぱりするようになりました。

2.「気が付けばこの1か月半、ずっと笑ってますね。」

マンガが原作の作品ですが、今回の役柄に関しての率直な気持ちをお聞かせください。

マンガが原作の作品を演じるときは、「髪の毛一本まで忠実に原作を再現」することを意識して取り組むことも多いのですが、今回は原作そのまんまをやっているわけではないんです。たとえば、原作では両手に持ったカトラリーをテーブルにガンガンぶつけて「(料理は)まだか!」ってやったりしてるんですけど、プロデューサーさんから「そういう子にはしたくない」って言われて。だから、今回は原作をそのまま実写化するのとはまた違う部分の楽しさ感じています。

ちょっとの優しさとユーモアと、断言する力強さと、とにかく生命力みたいなものを大事にっていうことを言われて、自分でもそう思うので、そこは大事にしながら……。でもそうするとやっぱり原作の、あの勢いのあるキャラクターの魅力が失われるんじゃないかなとも思うので、すごく難しいんですけど……。原作の大事なエッセンスを大切にしながら、試行錯誤して演じています。現場はすごく楽しくて、気が付けばこの1か月半、ずっと笑ってますね(笑)。

スタイリングやメイクも印象的ですが、石原さんのアイデアも入ってるんですか?

はい。原作は10年以上前の作品なので、「確かにこの時のトレンドはこうだったな」って思う部分はあるんですけど、それをそのまま再現するのではなく、原色を取り入れてみたらいいんじゃないかな、と思って提案しました。役柄的にも周囲と馴染みすぎるのではなく、もっと個性を出していくためにもハッキリした色で、仮名子が登場した瞬間に「来た!」って一瞬でわかるようなものがいいな、って。

あと、食事のシーンが多いので、食べるときに髪で顔が隠れない髪型にしようとか、今までやったことがないけどやってみたかったメイクにも挑戦してみようとか。ちょっとパンチがあるものにしたいよね」っていうことは現場のみなさんと話してました。

3.意味のない仕事なんて、世の中にない。

仮名子を演じる上で心がけていることはありますか?

仮名子はとにかく食べるのが好きなので、そういう「食に対する貪欲さ」というか、「食べ物を食べているときだけは何があっても幸せそうな子」というのは意識してますね。怒っていても、おいしいものを食べた瞬間幸せになるっていう、それだけはしっかりとしてたいなと思っています。

ドラマの中に「この仕事に意味があるのか」というようなセリフが出てくるんですけど、レストランに限らず、「幸せを提供する場」ってすごく大事なものだと思うんです。人生を豊かにする時間や場所はプライスレスだと思うし、自分のお金や時間や心に余裕ができたとき、それをより豊かにするための場所って必要不可欠だな、って思います。

エンタメもそうだと思うんです。例えば仕事から疲れて帰ってきてテレビをつけたとき「なんか笑える」とか「なんかホッとする」瞬間ってあるじゃないですか。そういうときって心が豊かになっている感じがする。「女優」って、そういう、言葉では言い表せない部分に関わりの深い仕事だと思うし、かけがえのないものだなと思います。そう考えると、味のない仕事なんて世の中にないんだなって改めて実感しましたね。

4.楽屋に炊飯器を持ち込むことが健康の秘訣!?

石原さんご自身が心がけている体力づくりや、精神的に強く自分を保つために意識的にやっていることなどはありますか?

最近はずっとスタジオにこもりっきりなので、楽屋に炊飯器を持ち込んでご飯を炊いてます(笑)。玄米と黒米と豆とかいろんなものを入れて炊いたり、炊飯器でできるレシピをいろいろ検索しながら挑戦してるんですけど、そうするようになってから健康的になった気がします。主食となるものがおいしくて健康的なものだったらいいなと思って始めたんですけど、体力面でも精神面でも結構変わったので「撮影しながら健康になれるってめちゃめちゃ幸せだな~」と思ってます(笑)。

石原さんが今、心ゆくままに楽しめてるなと思う瞬間はどんなときですか?

なんだろう……(としばらく考えて)ここ最近はホントに撮影しかしてないんですよね。現場に炊飯器を持ち込んで、撮影の合間に今日の献立を考えて……っていうのをずっとやっていることですかね(笑)。今日はバスマティライスを炊いて、スパイスを入れて食べたんですけど、それがものすごくおいしくて。「おいしい!」って感じた瞬間は「うまくできた……!」ってすごく幸せな気持ちになります。それが楽しいかなぁ。でも基本的に、私の周りにいるスタッフさんもそうですけど、よく笑うチームで、ずっと笑っている現場なので楽しいですね。

5.現場の雰囲気と本作のみどころ

現場のムードメーカーは勝村(政信)さんと志尊(淳)さんだそうですが、現場の雰囲気はいかがですか?

勝村さんがずっと志尊さんをいじってますね(笑)。それも面白いんですけど、本番中やテスト中、いちばんツボにハマるのは確実に岸部さんです(笑)。岸部さんの笑いにつられてみんな笑っちゃうパターンがいちばん多い気がしますね。“笑いがこらえられない”っていう経験をこんなにすると思わなかったです。

不思議なんですよ、この現場って。明るいわけじゃないし、別にずーっとしゃべってるわけでもないですし、どちらかと言うと結構静かなんです。みんながそれぞれ自分のことをしている、大人な感じの現場だなと感じています。キャストの方が全員男性で、しかもラブストーリーの要素は1ミリも入ってこないので、人としての付き合いみたいな感じです。そういう意味ではとても貴重な現場というか、すごくラクですね。かわいくしていなくていいので(笑)。

セットもすごく作り込まれていますが、特にお気に入りのスペースはありますか? 

ロッカールームはどこを映してもクスッとするポイントがいくつかあるので、意外と面白いと思います。あと、厨房もたまに入ると面白くて。ずっとドライフルーツとかをつまみ食いしてます(笑)。

主題歌はあいみょんさんですが、もうお聴きになりましたか?

聴きました。最っ高ですよ! 私たち以上にストーリーを深読みしてくれてるんじゃないかって思うくらい、すごく素敵な歌詞を書いてくださって。しっかり「天国(Heaven)」という言葉も入れてくださってるし、仮名子のことをもじってるような歌詞もあるし、耳から離れない曲です。イントロを聴いた瞬間からああ、もうこれは、みんな好きだなって思いました。あいみょんさんの曲は以前やらせていただいた番組がきっかけで全曲聴いてるんですけど、全曲聴いた中でもこれまでに聴いたことがないテイストの曲で。とっても大人だし、キャッチーだし、幅広い世代のみなさんにも楽しんでいただけるし、このドラマの世界観もすごく底上げしてくださっています。

最後に、石原さんご自身が思う、本作品の見どころについて教えてください。

今回の作品はメッセージ性が強いわけではないんです。ラブストーリーの要素も1ミリもないし(笑)。でも、見ると平和な気持ちになるんですよね。あと、悪い人がひとりも出てこない。色々と欠けてる人達だらけなのに成立してしまうこの感じっていうのは見ていて気持ちがいいと思うし、「自分は変わらなくていいんだ」とか、「いいとこだけ伸ばせばいいんだ」とか、「悪いところも愛されるって幸せだな~」とか。何かがあったとしても、諦観の笑みで意外とスムーズにいくこともあるかも、とか。とにかく平和な気持ちになれる作品だと思います。

石原さとみさん演じる主人公・黒須仮名子

他のいろんなドラマや映画をいっぱい見てても、しんどい作品とか入り込まなきゃいけないものって「1話見逃したらもう見続けられない」ってなっちゃうものもあるじゃないですか。そういう作品って、もちろん演じていても楽しいし、観てても入り込めるし、だからこそたぶん一生忘れられない作品になると思うんです。

でも、今回の物語は、深く考えずに見れて、ただただ明るい気持ちになれたり、平和な気持ちになって一瞬だけでもいやなことを忘れられる作品だなと思います。今という時代をとても象徴している気がするし、「こういうのもいいんだよ」っていえるものになったらいいなと思います。私自身、これが10年前だったらたぶんもっと必死だったし、それで空回ってたかもしれない。でも、こうしてベテラン俳優陣の先輩方と一緒に、この重くない作品を今の自分がつくっていくっていうことにすごく価値を感じてます。

文:落合由希
写真:佐藤友昭 

 TBS火曜ドラマ「Heaven?〜ご苦楽レストラン〜」


毎週火曜夜10時スタート!

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/Heaven_t...
公式Twitter:https://twitter.com/heaven_tbs


編集:ナベ子

編集:ナベ子

生まれは北海道、学生時代は主に研究と剣道に捧げてました。最近は妖怪が好きです。
好奇心で人生をもっと豊かに!をテーマに日常/非日常のアレコレを題材にした記事をメインで担当してます。

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