#へんてこアート入門 『刀剣博物館 日本刀の見方 姿』編

編集部:いとり

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みなさんは、美術館や博物館に行ったことはありますか? 行ったことがないという人の中には「興味があるけど何だかハードルが高そう」と考えている人が多いかもしれませんね。確かにそれなりに知識がないと楽しめない展覧会もありますが、初心者でも楽しめる一風変わった切り口の展覧会も数多く開催されているのです。

今回は、初心者でも楽しめる企画展として、刀剣博物館の『日本刀の見方 姿』をご紹介します。

日本刀鑑賞のイロハが学べる企画展

刀剣博物館を運営する『公益財団法人 日本美術刀剣保存協会』の総務部会計課兼博物館事業課・荒川史人さんに、今回の企画展の見どころやイチオシの展示を聞いてみました。

――今回の展覧会について教えてください。

荒川さん 『日本刀の見方』は、全3回のシリーズものの企画展です。日本刀をどのように見ればいいのか、どこが見どころなのか、ということが学べる初心者にぴったりの内容です。ここ数年は、長年刀剣を鑑賞してこられた愛好家だけでなく、ゲームや映画などをきっかけとして刀剣に関心を持った若いお客さまも多く来館されています。そうした方々が刀剣の見方を知っていただくことを目的として、今回の企画が立てられました。

――今回の企画展の見どころは?

荒川さん 今回の展示品は刀剣博物館の所蔵品、寄託品の中から特に日本刀の「姿」の見方がわかりやすく伝えられるものを選びました。日本刀の姿にはその時代ごとの特徴が表れますので、それぞれの時代背景を思いながら見ていただければよいのではないでしょうか。

例えば、鎌倉時代中期に作られた太刀である「長光(ながみつ)(銘 長光)」と、室町時代後期の1534年に作られた刀である「祐定(すけさだ)(銘 備前国住長船与三左衛門尉祐定作/天文三年二月吉日)」を見比べていただくと、反りや長さがだいぶ違うことが分かると思います。


長光

祐定

荒川さん これは刀剣を用いた戦闘方法が、馬上での一騎打ちのような使用から地上での集団戦での使用へと変わったことに由来します。

――なるほど。

荒川さん また、こちらの江戸時代後期の「水心子正秀(すいしんし まさひで)」には、展示されている側からは見えませんが、名前の後に「二腰両腕一割若瓜」と入っています。これは「截断銘(さいだんめい)」といい、罪人の死体で試し斬りをした際の切れ味を記したものです。
江戸時代になると実際に刀を用いて戦うことがなくなる分、このような形で切れ味を確認するということが行われました。

水心子正秀

国宝に注目!

――注目の展示物が数多くありますが、荒川さん個人のおすすめはどれでしょうか?

国行

荒川さん やはり二振りの国宝です。特に「明石国行(あかしくにゆき)」の号で知られる「太刀 銘 国行(来)」は、ゲームに取り上げられたことから若い世代にも人気があります。2018年も10月から12月にかけての企画展で展示をしましたが、アンケートやSNS上での反響が大きくあらためてその人気を実感しました。

刀身の中ほどに反りの中心がある「輪反り」という姿に、潤いのある地鉄(じがね)という上品な出来栄えの明石国行をぜひじかに見てください。

ほかにも、刀剣博物館は旧安田庭園の一角にありますので、併せて庭園も散策していただけると日本の歴史と風情をさらに感じられるかと思います。

――訪れる際は、どんな準備をしておくとより楽しめるでしょうか。

荒川さん 日本刀の鑑賞というのは専門用語が多く、どういったところを見ればよいのかというのがわかりにくい、難しいと感じる方が多いと思います。今回はまさにそういった方々にこそ見ていただきたい展示なので、気負うことなくお気軽にお越しください。

準備というほどではありませんが、1Fのチケットカウンターでは「刀剣鑑賞の基礎知識」という小冊子も配布していますので、展示室に入る前にそちらをお読みいただくとより展示がわかりやすくなるかと思います。また、展示室では、刀を拡大して見ることのできる単眼鏡を無料で貸し出していますので、ぜひご利用ください。

全展示品が写真撮影可能!

――今回の企画展において、一般的な展示会や美術展とは「ここが違う」というポイントを教えてください。

荒川さん 今回の展示に限ったことではありませんが、私たちの博物館は日本でも数少ない「日本刀に特化した博物館」です。そのため展示室内の照明も日本刀の美しさを最大限に引き出して鑑賞できるようになっています。また、自館の所蔵品や寄託品が中心の展示なので、国宝や重要文化財といったものも含めて、「展示品の全てが写真撮影可能」というのも、他の展示ではあまりないことかと思います。

――気に入った作品があれば、写真に収められるのはうれしいですね。最後に今後の展望を教えてください。

荒川さん 『日本刀の見方』展では2019年10月~12月には「地鉄」、2020年2月~5月には「刃文(はもん)」をテーマに取り上げます。今回の「姿」と併せて、この3つの要素が日本刀を鑑賞する際のポイントになりますので、各回の展示をご覧いただければ日本刀の見方というものがつかめるかと思います。
今後はこの3展示を定期的に開催することで、日本刀を知る機会を提供できるようにしたいです。また、両国という地域は海外の方も含めて観光のために非常に多くの方が来られます。こうした地で日本刀という日本固有の文化を発信していくことが私たちの使命ですので、これからも日本刀の魅力に触れられる展示を開催していきたいと思います。

――ありがとうございました。

『日本刀の見方』展は、国宝をはじめとする貴重な刀が数々見られるだけでなく、どのように見ればいいのかも学べるまさに一石二鳥の企画展です。昨今はゲームやアニメの影響で刀に興味を持った方も多いと思いますので、この機会に本物を見に行ってみてはいかがでしょうか? 美しい形と輝きに魅了されること間違いなしですよ。

●『日本刀の見方 姿』
会期:2019年4月13日(土)~6月30日(日)
入場料:大人1,000円(会員700円)、高校・大学・専門学校生500円、中学生以下無料
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合開館、翌火曜日が休館)
住所:東京都墨田区横網1-12-9
https://www.touken.or.jp/museum/exhibition/exhibition.html


(文・中田ボンベ@dcp)

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