『オーシャンズ』シリーズは飲食シーンがおもしろい!
サスペンスながらワクワクするオーシャンズ11
まずは『オーシャンズ11』のストーリーからご紹介しましょう。
窃盗の罪で4年間服役していた一流の泥棒ダニー・オーシャンは、仮釈放中に泥棒仲間のラスティに会いに行きます。そこで服役中に考えていた「ラスベガスのカジノの売上金を奪う計画」を打ち明けます。ラスティはその話に乗り、作戦を遂行するための仲間を集めることに。かつての仕事仲間や新しい仲間も加わり11人となったオーシャンたちは、ラスベガスで最も強固といわれるカジノセキュリティに挑む……。
これが第1作目『オーシャンズ11』のあらすじです。一流の技術を持つ仲間たちが、オーシャンやラスティの綿密な計画の下、自分の仕事を遂行します。その鮮やかな仕事ぶりが本作の魅力の一つでしょう。もちろん一筋縄ではいかない部分もあり、「失敗するかも!?」というスリリングさも味わえます。そしてラストのどんでん返しは、見ていて思わずうなるほど見事。
続編の『オーシャンズ12』『オーシャンズ13』でも同様に、綿密に練られた見事なストーリーが展開されます。
常に何かを飲み食いしているラスティ
オーシャンズシリーズでは飲食シーンに注目してください。例えばオーシャンの右腕であり、作戦の実行役でもあるラスティは、何かを飲んだり食べたりしているシーンが特に多いキャラクターです。例えば作戦会議中、偵察や潜入の最中でも何か食べています。
こうした常に何か食べている演出は、ラスティを演じたブラッド・ピットが提案したもの。本作では役者の癖や個性の一部を登場キャラクターに反映しており、これはブラッド・ピットの癖を取り入れたものだといわれています。実際、オーシャンズシリーズ以外の出演作品でも、ブラッド・ピットは何かを食べているシーンが多いのです。
ただ、こうした食事シーンを用いることで、「ゆっくりと食事を取る時間がないくらい忙しい」ことが強調され、プロフェッショナル集団であることがより際立ちました。
ちなみにラスティは『オーシャンズ11』だけでもナチョスにハンバーガー、サラダといろんなものを少年のようにもりもり食べています(それでいて食べ方がきれいなのも魅力的)。見ると「おいしそうだなぁ」となること請け合いです。
また、ラスティ以外では、後半で仲間のリヴィングストンがルームサービスのペンネを食べているシーンも、作戦中の腹ごしらえとして印象的です。
最もおいしそうに食べているシーンは?
2作目『オーシャンズ12』から、仲間たちみんなで飲み食いをするシーンが登場します。例えばオーシャンズ12の序盤、アムステルダムのホテルの一室で、作戦会議をしながらお酒を飲んだりご飯を食べたり(ラスティのみ)しています。こうした気の合う仕事仲間と食事を楽しんでいるシーンが実にほほ笑ましいのです。
シリーズ中最も和気あいあいと、おいしそうに食事を楽しんでいるシーンが3作目『オーシャンズ13』に登場します。本作では仲間の一人をメキシコのサイコロ製造工場に送り込み、製造段階でサイコロに細工をしようとします。しかしその仲間があまりの待遇の悪さに怒り、暴動を起こしてしまいます。その報告を受けているとき、オーシャンやラスティなどほかの仲間たちはホテルの一室で仲良く中華料理を食べていました。
報告を聞きながら仲良くテーブルを囲み、もぐもぐと頬張っている姿は、撮影の休憩中かと思うくらいリラックスしたもの。シリーズでも屈指の名飲食シーンです。
最新作でもみんなで食事するシーンがある
2018年、『オーシャンズ11』をオール女性キャストでリブートした『オーシャンズ8』(監督はゲイリー・ロス)が公開されました。ダニー・オーシャンの妹であるデビー・オーシャンが、仲間たちと高級な宝石を盗み出す、という物語です。
この作品にも「伝統」の食事シーンが登場します。例えば、デビーが相棒のルーを計画に誘うシーン。ニューヨークに実際にあるウクライナ料理レストラン『VESELKA』で食事をしながら計画を伝えました。
ちなみに『オーシャンズ11』のリメーク元は、フランク・シナトラ主演の『オーシャンと十一人の仲間』で、当時のハリウッドを席巻していたシナトラ一家が総出演し、話題となった作品です。しかしこちらには目立った食事シーンはありません。オーシャンたちの行方を捜査する保安官が「謎の男」に相談するシーンで、サンドイッチが登場したくらいです。
ソダーバーグならではのスタイリッシュな映像と、思わずうなるストーリーが楽しめる『オーシャンズ』シリーズ。Amazonプライムビデオなど定額視聴サービスでも配信されているので、秋の夜長に楽しんでみてはいかがでしょうか。その際は、ぜひ食事シーンに注目してみてください!
(中田ボンベ@dcp)