本物そっくり! 実在の人物がモデルの映画作品
実際にあった出来事を映画化する際は、実在の人物を役者が演じることになります。その多くは「なんとなく似ている」レベルですが、中には見た人が驚くほど「本物そっくり」な作品もあります。例えば1982年の『ガンジー』でベン・キングスレーが演じたガンジーは、あまりにも本物そっくりで大きな反響を呼びました。今回は、こうした役者が本物そっくりに演じた映画作品を紹介します。
『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』
(2017年)
第二次世界大戦中にイギリスの首相に就任したウィンストン・チャーチルの、就任からダンケルクの戦いまでの4週間を描いた作品です。チャーチルを演じたのはゲイリー・オールドマン。日本人アーティスト・辻一弘らの特殊メークによって本物そっくりに変身しました。また、見た目だけでなくしぐさや言葉のアクセントも本物そっくりに演じ、見事に第90回アカデミー賞主演男優賞を受賞。特に4分間にわたる演説シーンは必見です。
『ヒトラー ~最期の12日間~』
(2004年)
第二次世界大戦末期のドイツ・ベルリンを舞台に、総統地下壕におけるヒトラーの最期の日々を描いた戦争映画。本作ではドイツの人気俳優ブルーノ・ガンツがヒトラーを演じており、本物そっくりの見た目と演技が話題となりました。日本でも作中のシーンを用いたMADムービーが動画サイトに数多くアップされているため(その多くがヒトラーがアニメの展開などに怒っている内容)、映画本編を見たことがない人にも知名度が高い作品です。
『Ray/レイ』
(2004年)
盲目というハンディを背負いながら、アメリカを代表するソウルシンガーとなったレイ・チャールズの生涯を描いた作品。『エニイ・ギブン・サンデー』や『ALI アリ』で頭角を現したジェイミー・フォックスがレイ・チャールズを演じました。見た目はもちろんしぐさもそっくり。ジェイミー・フォックス自身が幼いころからピアノに親しんでおり、大学でも音楽を勉強していただけあって、ピアノパフォーマンスも圧巻です。
『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』
(2007年)
フランスで最も愛された歌手エディット・ピアフの悲劇的な人生を描いた作品です。エディット・ピアフを演じているのはマリオン・コティヤール。「まるで老人のようだった」といわれている晩年のピアフも、老けメークと類いまれな演技力で演じています。また、歌のシーンはほとんどがピアフのレコードに演技を合わせて作られました。マリオンは息遣いや間の取り方を自分のものにするために苦労したそうですが、本当に歌っているかのように見事にマッチしています。
『インビクタス/負けざる者たち』
(2009年)
アパルトヘイト撤廃後の南アフリカを舞台に大統領となったネルソン・マンデラが、黒人と白人の団結のために同国ラグビー代表の再建を図る姿を描いています。マンデラ大統領を演じたのはモーガン・フリーマン。実はマンデラ大統領は、自伝の発売時に「映画化の際はモーガン・フリーマンに演じてもらいたい」と述べたことがあり、それがきっかけになったのです。ちなみに見た目だけでなく身長もほぼ同じだったそうです(モーガン・フリーマン187cm、ネルソン・マンデラ約190cm)。
『ヒッチコック』
(2012年)
「サスペンス映画の神様」アルフレッド・ヒッチコックが、 『サイコ』をどのようにして作ったのかという舞台裏を描いた作品です。本作ではアンソニー・ホプキンスがヒッチコックを演じていますが、コンタクトレンズで目の色を変えたり、特殊メークで顔のたるみを作ったりした結果、本物そっくりになっています。もちろん特殊メークによる見た目だけでなく振る舞いもそっくりだと話題になりました。アンソニー・ホプキンスは『ニクソン』や『サバイビング・ピカソ』でも本物そっくりだと評価されています。こちらもチェックしてみてください。
実在の人物を「本物そっくり」に演じている作品をご紹介しました。機会があれば実際の写真と役者が演じた姿を見比べてみてください。そのそっくり具合に驚くことでしょう。また、そっくり具合だけでなく伝記映画としてもどれも非常に素晴らしい作品なので、ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか。
(中田ボンベ@dcp)