いまこそ見たい、マイケル・ムーアの傑作ドキュメンタリー

編集部:いとり

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2018年11月2日に、マイケル・ムーア監督の最新作『華氏119』が公開されます。本作は、2016年のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が当選してから現在までに、アメリカの経済や社会がどのように変わったのかを描いたドキュメンタリー作品です。トランプ政権の深奥に迫る映画として注目されています。
そこで今回は、『華氏119』公開前にあらためて見ておきたいマイケル・ムーア監督の傑作ドキュメンタリーを紹介します。現在のアメリカの実情と比較してみるのもおすすめです。

マイケル・ムーアの傑作ドキュメンタリー

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マイケル・ムーアの傑作ドキュメンタリー4選

『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002年)

1999年4月に起きた「コロンバイン高校銃乱射事件」を題材にしたドキュメンタリー。犯人が事件を起こした背景やアメリカの銃社会の成り立ち、そして銃社会に隠された白人と先住民族、白人と黒人との間のなくなることのない対立を、さまざまな角度から取材、検証しています。銃器とは縁遠い日本人にとっては、銃を持つことが容認されている社会背景を知ることができ興味深いでしょう。

ちなみに『ボウリング・フォー・コロンバイン』というタイトルは、「乱射事件の犯人がマリリン・マンソンの影響を受けていたと批判されたのに、事件前にしていたボウリングの影響は考慮されないのか」という意味と、「ボウリングのピンが射撃練習の的に使われる」ことのダブル・ミーニングになっています。マイケル・ムーア監督ならではの皮肉が込められたタイトルなのです。

『ザ・ビッグ・ワン』(1997年)

『DOWNSIZE THIS!』という本を出版したマイケル・ムーア監督が、本のプロモーションのために全米を回る様子を収めたドキュメンタリー作品。プロモーション中にクリントン、ブキャナンなど当時の大統領候補たちに怪しい団体名で献金し、誰が最初に現金化するかなどを検証しています。これだけだと、監督自身のやんちゃなロードムービーのようですが、そこはマイケル・ムーア。しっかりと社会問題にも迫っています。

本作ではアメリカの企業が国内工場を閉鎖し、賃金の安い途上国に工場を作ることを問題として取り扱っています。自社の利益を追求するあまり、アメリカの労働者をないがしろにしているとして、ナイキ社などさまざまな企業に突撃インタビューを敢行します。2016年の大統領選では、トランプ氏が国外工場をアメリカに取り戻すと公約して地方都市の票を獲得しましたから、それを踏まえて観るとなお面白いでしょう。

『華氏911』(2004年)

2001年に起きた「アメリカ同時多発テロ」におけるブッシュ政権の対応を批判する「反ブッシュ政権ドキュメンタリー映画」です。作中では、ブッシュ大統領とビンラディン家の関係、またラムズフェルド国防長官とサダム・フセインとの関係を踏まえて、イラク戦争について取材。その上で「なぜテロに対応しないで関係ないイラクに攻め込んだ?」「ブッシュ政権の捏造(ねつぞう)で、死なずに済んだはずの命が失われた!」と批判しています。

特に後半では、イラクの実情(爆撃された人々の様子)や、戦争で負傷して手足を失い苦しむ兵士の姿など、ブッシュ政権の対応でどのようなことが起こったのかを淡々と描いています。これらはテレビなどでは報道されなかったことで、こうした隠された真実を暴くことこそムーア監督の真骨頂です。ブッシュ政権時のアメリカはどうだったのかをあらためて振り返る意味でもおすすめです。

『シッコ』(2007年)

アメリカが長らく抱える医療問題を題材にしたドキュメンタリー。アメリカは日本のような国民皆保険(ユニバーサルヘルスケア)がないため医療保険問題が深刻で、民間の医療保険に入れない人がおよそ5,000万人もいるといわれています。本作では、先進国なのにほかの国と同じような保険制度が確立できていない原因を調べるほか、保険金の支払いを拒否して利益を確保しようとする保険会社の実情、その裏に隠された政治家との癒着問題に迫っています。

作中では高額な医療費を支払うために家を売る人や、病院に行くお金がないために切断した指の治療を諦める人といった、アメリカ独自の医療制度によって苦しむ貧困層の現状が描かれています。先進国のはずのアメリカでこんなひどいことが起こっているのかとショックを受けるかもしれません。またあれこれと難癖をつけて保険金の支払いを拒否する保険会社の対応も興味深いです。日本も超高齢化社会により、国民皆保険が破綻する可能性はゼロではありません。自分たちに待っている未来の話として見ると、ゾッとするのではないでしょうか。


ドキュメンタリー映画は数多くありますが、マイケル・ムーア監督の作品は淡々と真実を描いているにもかかわらず最後まで飽きずに見られるのが特徴。「ドキュメンタリーは苦手」という人にもおすすめです。今回ご紹介した中で気になる作品があれば、ぜひ『華氏119』公開前にチェックしてみてはいかがですか?

(中田ボンベ@dcp)

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