木村さんの「ガクチカ（学生時代一番力を入れたこと）」は？

▲留学先の寮での一枚

高校生の頃から海外に興味があり、大学に入ったらどんどん行ってみたいと思っていました。1年生のときは途上国での現地実習がある授業を選択したり、休暇には友達と2人で、個人手配のトルコ旅行をしました。今振り返ると「無謀だったな」と思いますけど、幸い当時は今ほど治安が悪化しておらず安全だったので実現できました。トルコはイスラム圏でありながらキリスト教時代やローマ時代の遺跡もあり、美しいものも多くて憧れていましたから、本当に楽しかったですね！

その後、大学の留学生試験にパスし、3年生の秋から1年間交換留学でアメリカのカリフォルニアに滞在しました。政治学科だったので向こうでも政治学を中心に勉強しましたが、学問の中身以前にまず英語自体の理解に必死でした。最初は先生が何を言っているのかさっぱり分からなかったくらいです。それでも日々努力するうちに少しずつ上達して、留学期間が終わるギリギリまでかかりましが、どうにか授業も理解できるようになりました。苦労しましたが、英語に少し自信が持てるようになったのがうれしかったです。

仕事で役立っている大学時代の経験は？

留学先の学校ではNPOで数週間インターンをするというプログラムに参加しました。入ったのは10名ほどの小さな現場で、教育支援のための寄付を集める活動をしていました。でも、まだ英語のコミュニケーションに自信のなかった私は積極的に動くことができずにいたんです。元々私は自分の問題は自分で解決しようとするタイプで、困ったときも誰かに助けを求めることが苦手でした。でも、自分から表現しなければ何も起こらないのがアメリカという国です。「これが私の一番の弱点。このままではいけない」と自覚して、変わろうと決意しました。

同じプログラムに後から参加した子がいて、最初の数日はコミュニケーションができませんでしたが、ある日勇気を出して話しかけてみました。すると少しずつ仲良くなり、私をご飯に誘ってくれるようになりました。上司にも仕事の話だけではなく、生活の相談をしてみたら、オフにショッピングに連れて行ってくれて服を買うのを手伝ってくれました。それがきっかけで「何でも自分から表現しよう」「人に聞いてみよう」とだんだん積極的になれたんです。

この経験は、社会人になった今でもそのまま生きています。仕事の現場では自分の力だけでは何もできませんから、どんどん人に聞いて相談して、互いに協力を求めながら進めていくことが大事です。他の部署に何かをお願いするときに「迷惑じゃないかな」と躊躇することもありますが、実際はこちらが思う以上に助けていただき、スムーズに事が進むことが多いです。自分にとって少し壁があるときも、頑張って一歩を踏み出すことができるようになったのは、アメリカでの経験のお陰だと思っています。

就活前にやっておいたほうがいいことは？

当時も今も変わらず、学生時代にやっておいたほうがいいと思っているのは「時間をかけなければできないことをする」ということです。単純に社会人になってからでは、その時間が取れないからです。海外に行ったり、何かを勉強したり、趣味をものにすることでも、長期的にしっかり取り組めば自分の世界が広がります。ですから、興味のあることにはどんどん挑戦したほうが、絶対後悔がないと思います。

まるで今の仕事が天職のように見える木村さん。でも実は「IR・広報に配属されるとは思わなくて最初は驚きました。でも今は楽しいのでよかったですね」と笑いながら答えてくださいました。同社には文系社員のジョブローテーション制度があり、数年ごとに複数の部署を回るそう。「英語を生かした仕事に興味がある。他の業務も経験を積んで、視野を広げたい。」と意欲を語ってくれたので、木村さんの今後の活躍にも期待です。

文：鈴木恵美子
写真：ブリッジ
取材協力：株式会社日本触媒