【連載】『あの人の学生時代。』#22:山本美月「好きなことを見つける」

学生の窓口編集部

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著名人の方々に大学在学中のエピソードを伺うとともに、今の現役大学生に熱いエールを送ってもらおうという本連載。今回のゲストは、5月25日(金)に公開される映画『友罪』で、生田斗真さん演じる主人公・益田純一のかつての恋人であり、雑誌記者・杉本清美役の山本美月さん。映画だけでなく、ドラマ、雑誌に大活躍の山本美月さんは明治大学出身。自身の大学時代について、また作品の魅力について、お話を聞いてきました!

生物の教師である祖父の影響と「遺伝」の分野が好きで、リケジョの道へ

――山本さんは明治大学の農学部 生命科学科に行かれていたそうですが、大学・学部選びの理由を教えてください。

そもそも、通っていた高校の国公立理系コースを選択していましたが、在学途中で芸能活動を始めたこともあり、国公立を受験するには少し時間が足りなくなってしまい、私立の理系を受けようと思っていました。農学部にした理由は、祖父が生物の教師であることや、田舎に住んでいたこともあって、植物や動物に触れ合うことが多かったことからです。生物学に興味がわいて、「化学」じゃなくて「科学」の方を勉強したいと思い、農学部にしようと。

それと、「遺伝」が好きだったんですよね。遺伝子組み換えとかクローンなどのジャンルが好きだったので、生命科学系がいいなと当時は思っていました。私立の農学部、生命科学科という中で探して、明治大学を受けました。

――遺伝子の勉強は、実際は難しかったですか?

楽しかったですよ。でも、仕事ばかりしていたこともあって「大学で何を学んだの?」って聞かれても、全然何も答えられないんですけど……(笑)。

――やっぱりお仕事と大学の両立は大変でしたか?

大変でしたが、大学に通うことが仕事の息抜きみたいになっていましたね。友達とみんなで一緒に勉強したり、放課後にごはんを食べたり……楽しかったです。でも、テストは本当に大変で、みんなで協力しあって先輩から過去問を集めたり、授業のプリントをとっておいてもらったりしました。

あとは、出席するのも大変だったので、出席重視ではなく、テストの成績で評価してくれる授業を選ぶようにしていました。時間割を決めるときに先輩から「この授業は比較的楽だよ」なんてアドバイスなどもしてもらい、参考にしていました(笑)。

――なるほど。それ以外に大変だったことはありますか?

明治大学の生田キャンパス(神奈川県川崎市)に通っていたので、朝、生田に行って、そこから仕事で都内などに行ってまた生田に戻る、みたいなことをしていて……それがすごく大変でしたね。最寄り駅から15分ぐらい歩くんですが、坂がすごくて……。

生田キャンパスって、山の上にあるんですよ。だから毎日山を登っていました。途中でエスカレーターができたんですけど、それまでは本当に山登りが大変でしたね。

――通うだけでも一苦労ですね! そんな大学生活の中で、一番楽しかったことといえばなんですか?

友達と学食とか図書室で、何をするわけでもなく過ごす時間が楽しかったですね。

「大学に行って社会に出ることは社会貢献」仕事に理解のある教授との出会い

――では、大学時代に転機みたいなものはありましたか?

2年生の後半ぐらいに研究室を決めるんですけど、私の入った研究室の先生が芸能活動にすごく理解のある方で「大学に行って社会に出るということは社会貢献をするということ。あなたはもうすでに社会貢献しているんだから、仕事をがんばりなさい」って言ってくださったんです。理解のある方に出会えてよかったなと思いました。

――その先生との出会いが転機になったんですね。では、そんな大学時代の思い出深いエピソードはありますか?

友達とみんなで、宇都宮に餃子を食べに行ったことは思い出深いですね。東武ワールドスクウェアにも行きました。で、帰りに心霊スポットに行こうってことになって、トンネルを歩いたんですけど、「驚かさないでね」って言ったのに驚かされてキレたっていう(笑)。驚かされて泣きながら怒って帰りました(笑)。

――そんな大学での経験が今の仕事に活きているなって思うことはありますか?

今後、何かに活かせたらとは思うんですけど、今のところはあまりないですね。なかなかないですもんね、映画やドラマで研究室の設定なんて……。でも、ネズミの解剖はできるので、もしかしたら医療系の作品に出演できたら活かせるかもしれないです(笑)。

「普通の女性」である元カノを女っぽく演じる

――映画『友罪』で山本さんが演じられた週刊誌の記者である杉本清美という役は、これまでに演じたことがないような役柄でしたが、演じてみた感想はいかがですか?

とにかく緊張しました。錚々たる方々がいらっしゃる現場に入って、ピリッとした空気感の中で説明ゼリフを言うのはすごくドキドキしましたね。

――どんな役作りをされましたか?


(c)薬丸 岳/集英社 (c)2018映画「友罪」製作委員会

衣装合わせのとき、監督に「普通の人でいて」って言われたんです。なので「普通」という部分を意識しつつ、やっぱり記者なので事件に対する好奇心が抑えられない感じだったり、彼(益田)の前での仕事とプライベートの気持ちをちゃんと割り切ることができないシーンは考えながら演じさせていただきました。

――週刊誌の記者というお仕事について、なにか調べたりはしましたか?

仕事についてというより、大事なのは人間性の部分だと思ったので、そこは想像で作りました。清美は、仕事のことがすごく好きで、さっぱりした性格なんだろうなって考えていて。ただ、彼の前で若干の女らしさが出てしまう部分は、監督に言っていただいて意識しました。

――演じていて難しかった、苦労した点はありますか?

事件の概要を説明するセリフはすごく難しかったですね。普段使わない専門用語が出てくるじゃないですか。それが言い慣れなくて……。

――週刊誌の記者という役柄上、言い慣れている感じも出さなきゃいけないですもんね。では、役柄に共感する部分はありましたか?

仕事とプライベートをうまく割り切れていない感じはなんとなく似ているなと思いました。どんな職業でもあると思うんですけど、職業病みたいなもので、

ふとしたときに「あ、悲しいときってこういう気持ちになるんだなぁ」とか、人が怒っているのを見ているときにちょっと客観的に考えちゃったり。

――普段の生活の中のふとした瞬間に、自分を客観的に見て「あ、これ芝居の参考になる」と考えてしまう……そんな瞬間は複雑な気持ちになったりはしませんか?

複雑な気持ちになります。うまく友達と話せていないような気がして。自分が作って笑っているような気がするんですよね。まるでセリフを言っているみたいな。

「あぁ、今気をつけて笑っているなぁ」とか考えちゃいます。

――今回の作品で生田斗真さん演じる益田とは、元々同じ職業というだけでなく、学生時代を同じ大学で一緒に過ごした元恋人でもあるという距離感が難しい間柄でしたが、演じる上で気をつけた部分はありますか?

私が元々想像していた清美は、あまり恋愛には興味がなくて仕事に集中しているタイプの女性だったんです。でも病院のシーンのときに、監督に「もうちょっと元カノ感みたいな女っぽさを出して」って言われたので、「あ、じゃあ意外と恋愛する人なんだな」と。好きな人と話すとき、人はすごく相手の目を見ていたりするので、女っぽさを相手の目をよく見て話すことで表現してみたり。本当はまだ元カレのことを好きな気持ちをにじませられたらいいなと思って演じました。

――相手役の生田さんとはお話しされましたか?

居酒屋のシーンの時に少しお話ししました。私の行っていた大学に生田さんに似ている人がいて、すごくカッコよくて、みんなキャーッて感じでしたというお話をしたんですけど、信用されませんでした(笑)。

――では最後に、作品の見どころを教えてください。

私も映画を観終わったあとに、なんというか「この気持ちをどこに持っていったらいいのか」と考えました。正解はない作品だと思うので、作品を観た後に感想を言い合うのもいいし、自分の中に落とし込んで、考え込んでモヤモヤっとし続けるのもいいと思います。

決して軽くはない内容ですが、エンターテイメント性の高い作品ではあるので、身構えずに観ていただけたらなと思います。

* * * * * * *

最後に、今の大学生にメッセージをお願いすると、「好きなことを見つける」と書いてくださった山本さん。お仕事をしながらの忙しい学生生活の中、「自分はただただ普通に大学生をやっていたなって思うので、もうちょっと将来をちゃんと考えて、好きなことを見つけたほうがよかったな、って」と反省も交えながら振り返ります。

生物はもちろん、絵を描くことも好きだったという山本さん。「いろんな『好きなこと』から本当に好きなことを見つけて、それを自分の将来につなげていけたらいいんじゃないかな」と、あたたかいメッセージをいただきました。

 
<プロフィール>

やまもと・みづき●1991年7月18日生まれ。福岡県出身。O型。雑誌『CanCam』の専属モデルを経て、2011年にドラマ『幸せになろうよ』(フジテレビ系)で女優デビュー。おもな出演作は、映画『桐島、部活やめるってよ』『少女』『ピーチガール』、ドラマ『64(ロクヨン)』(NHK)『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)など。現在放送中の、『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』(フジテレビ系)でヒロインを務める。2019年NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』にも出演予定。

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『友罪』5月25日(金) 全国ロードショー!
監督・脚本:瀬々敬久
原作:「友罪」薬丸岳(集英社文庫刊)
出演:生田斗真 瑛 太 夏 帆 山本美月  富田靖子 佐藤浩市
配給・宣伝:ギャガ
(c)薬丸 岳/集英社(c)2018映画「友罪」製作委員会
公式サイト:http://gaga.ne.jp/yuzai/
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文:落合由希
写真:島田香

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