盆栽とコミュニケーションが取れる テクノロジーを駆使した「BonsAI」って?
TDK株式会社の『Attracting Tomorrow Project』第二弾として、盆栽にテクノロジーを搭載した「BonsAI」(BonsAIと書いてボンスエーアイと読む)が出来たという報せを受け、今回も取材に行ってきた学窓編集部。
盆栽に……テクノロジー? 一体何を言っているんだろうかと、頭に?を浮かべながら「TDK MAKER DOJO」に到着すると、DOJO長の佐藤氏が笑顔で出迎えてくれた。
こんにちは! 「TDK MAKER DOJO」の佐藤です!
…ん? ちょっと待って。
ネクタイが……光ってる!!
ピカピカと7色に光るネクタイが気になりつつも、今はちょっとスルーさせてもらって、早速BonsAIの話を伺う。
佐藤俊弥 (Shunya Sato)
TDK MAKER DOJO ・ DOJO長
外資系大手セットメーカーを経て2010年TDK(株)入社。自分がオモシロいと思うものに情熱をもって取り組むことが個人の成長につながり、ひいては会社の成長につながると信じ、TDK社員がいつ来て何を作ってもいいメイカースペース「TDK MAKER DOJO」を設立。
「BonsAI」について聞いてみよう
まずは「BonsAI」のプロジェクトムービーをご覧ください
率直な疑問ですが、なぜ盆栽にテクノロジーを??
TDKは2017年からテクノロジーを使った実験的なプロジェクト『Attracting Tomorrow Project』を実施してきました。 その中で、自然とテクノロジーを融合させることで、人と自然が分かり合える・共存していく未来が作れるのでは?と考え、このプロジェクトが始動しました。モチーフとして盆栽を選んだのは、人が毎日語りかけるように手入れをする「盆栽」が、共存というテーマにぴったりだと感じたからです。
佐藤氏の手元にあるのが、BonsAIの鉢部分
BonsAIのプロジェクトムービーの中でも、
人と自然の共存した姿が描かれている。
具体的にどのようなものですか?
BonsAIは光や土の中の湿度など、植物の周囲の環境を様々なセンサーで測定することで、植物が求めていることを人に伝える機能を搭載しました。この機能は、人がまるでペットに接するかのように、植物を可愛がるようになればいいなという発想から生まれました。
盆栽の水が足りなくなると、BonsAIの鉢が水色に光りプルプル震える。
まるで「水を…水をください」と言っているようだ。
水をあげると、BonsAIの鉢が緑色に変わって
盆栽が喜ぶ姿を見られる。
陽の光が足りなくなると、鉢が赤く光って教えてくれる。
陽なたにいくと緑色に光って喜ぶ。
BonsAIの開発で苦労している点は?
このプロジェクトにはハードウェア開発チームや会話プログラム開発チームなど、非常に多くのメンバーが関わっています。だからこそ様々な部署から期待の声を寄せられますが、そういった“想い”を取りまとめながら完成させていくのが苦労している面でもあり、一番楽しい部分でもあります。
人工知能が発達した今、わざわざ動きで感情を伝えなくても「声」で伝えることもできますが、“なんでもできる”ということは、自然との共存を考えた時にかえって不自然になってしまうのです。
BonsAIの会話機能は最小限に留め古今東西の格言を話す。
ムービーの中でも、ゲーテの名言を話す姿が描かれている。
BonsAIを見てみたい!と思ったらどこで見られますか?
多くの方に見ていただきたいという想いがありますので、秋田県にかほ市にある「TDK 歴史みらい館」での展示や、TDKのオフィスを訪れた方を出迎えるためにラウンジに設置することを検討しています。
BonsAI以外にも、”Attracting Tomorrow Project”はまだまだ続いていきます。今後の新しい動きにも、ぜひ注目してください!
動きや光、会話によって人とコミュニケーションをとる「BonsAI」
ココはエンジニアの楽園か!?
「TDK MAKER DOJO」が気になる
ところで、先ほどから気になっていたのですが
「TDK MAKER DOJO」というのは?
ここは、自由な発想でモノを作ってもらおうと“TDKの社員がいつ来て・何を作っても良い場所”として設立された道場なんですよ。「TDK MAKER DOJO」には自社の製品だけでなく、3Dプリンターやレーザーカッターなど、製作に必要なものは一通り揃えています。
DIY好きならワクワクするような品揃え!
TDKは電子部品を作り、提供している会社です。実際に自社の製品を使ってモノを作る事で、「購入するお客様の目線に立つことができるのではないか?」という思いで設立されました。
自由な発想を刺激するには、流行の製品や最先端の技術に触れることもとても重要です。なので、一見関係ないようなAIスピーカーや雑学の本なども予算で購入して、誰もが気軽に触れるような環境にしているんですよ。なかには、みんなに触れてほしい!と、社員が寄付してくれたものもあるんですよ。
社員の皆さんの反応は?
元々の目的であった作品を作るのはもちろんですが、コミュニケーションスペースとして活用している人が多いのが嬉しいですね。お弁当を持ってくる人や、コーヒーを飲みにフラッと立ち寄る人もいます。
企業の規模が大きくなってくると、他部署との関わりって減ってきてしまうんですよね。でも、このDOJOには様々な部署の人が集まってきます。仕事で関わらない部署の人とも自然と会話が生まれて、部署内では浮かばなかったようなアイディアが浮かぶこともあります。
これは社員が作った作品
ピコピコハンマーを叩くと大きな”ドラ”の音が鳴る
実際に仕事に活きてきたりするのですか?
「就業時間内でも趣味のものを作って良いよ」と開放することで、自ずとお客様の目線に立った提案力・発想力が生まれてきているのではないかと思っています。 自分たちが作る電子部品はもちろん、その部品がどのように活かされて製品化されるのかに興味を持つことで、業務面でも新たな発見があったという声をよく聞きます。
TDKでは、行動指針として「お客様視点・挑戦・成長・多様性の尊重」という4つを定めているんです。言葉で伝えてもなかなか実践できないものですが、「TDK MAKER DOJO」があることで、この指針を実践できる場になってきていると感じています。
これは3Dセンサーを使ったデモ機
センサー単体を見せられるより、具現化することで
「あ、アレに使えそう!」というイメージも湧きそうだ
「TDK MAKER DOJO」は今後どのようになっていきたいですか?
今現在は、TDK社員向けの施設ですが、いずれは社員以外の方でも自由に入ってきて、好きなものを作れる空間にしたいと思っています。他の会社の方ともコラボレーションしたら、もっと面白い企画ができそうじゃないですか?
発する声の大きさによって光の強さが変わるネクタイ
今日の取材に合わせてDOJOのロゴまで刺繍したという自信作!笑
DOJOに置かれたミニ四駆のコース
「TDKの技術を集結したらすごく速いミニ四駆が
できると思いません!?」と今後の構想に目を輝かせる佐藤氏
Attracting Tomorrow Project
プロジェクト全体像はこちらからチェック!
テクノロジーでなにしよう。
TDK Attracting Tomorrow Project
BonsAIは、 “自然との共存”と真摯に向き合った新たな試みとして、私たちに未来の可能性を提示してくれました。技術がどんどん発展していく中で、自然との関わり方は大きな課題になってきます。BonsAIが見せてくれた、テクノロジーと自然の融合が、今後どのような形で私たちの生活に入り込んでくるのか。今からワクワクしませんか?
そして、もうひとつのプロジェクトも同時進行中!
「現代の魔法使い」とも呼ばれるメディアアーティストの落合陽一さんが進めるのは、空間にモノを浮かせる『Silver Floats』。プロジェクトの一環として先日行われた『人類が見たことのないカタチ』を作るワークショップでは、“未来”のカタチが続々出現!
当記事でご紹介した「TDK MAKER DOJO」で開催されるTDK株式会社のインターンシップ情報も掲載中!
マイナビ学生の窓口 広告企画/提供:TDK株式会社