【連載】『あの人の学生時代。』#20:鈴木亮平「好きなことにとことん、まっすぐ」 2ページ目
「役者になるための「就職活動」
――大学生活の中で転機はありましたか?
何度かあったんですが、いちばんの転機だったのは周りが就職活動を始めた時期ですね。そのときに「あれ? これ、このままじゃ役者になれないな」と思って、就職活動にあたることをなにかやらなきゃと思い、初めて必死になって、自分でプロフィールをいろんな会社に持ち込んだりして動き始めました。
「就活生も同じことをしているんだから、僕だけが夢を追っているからってそこから逃げてはいけない」って。あと、「就活をして会社に入って、もし営業部に配属されたら、みんな体当たりでいろんな会社に営業していくものなんだし、まだ学生だからとそれを怖がって、傷つくのを怖れちゃいけない。自分で自分を営業するんだ!」って思いましたね。
――大学卒業後は役者の仕事に就こうと真剣に思っていたんですね。
「役者になる!」って言っていても、仲間内で好きにお芝居してるだけじゃやっぱりプロにはなれないって思いもありました。演劇をしながら、映像をやりたいという気持ちもずっとあったので、この先は映像でのお芝居の仕事をしたいっていう思いは強かったですね。
――大学での経験が今の仕事に生きているなと思うことはありますか?
大学生の頃は時間がたくさんあったんです。だから好きなことができた。今思うと、いちばん役に立っていることは映画をたくさん観たことですね。
1日1本は必ず見て、見られる日は2本観ていました。なにかやらなきゃと焦っていた中で、とにかく勉強しようと思って無我夢中でやっていたことが、のちのちすごく役立っています。
――学生時代は吸収する時期だったんですね。
お芝居のワークショップかなんかに行った時に、誰かに言われたんです。「映画をたくさん見られる時期は今しかないぞ」って。その言葉に影響を受けて観始めました。
新人として仕事をしていく中で、監督に「あの映画見たか?」って聞かれても、全部「観てます」と答えられるし、「あの映画の誰々のイメージ」って言われてもすぐわかります。それに、映画を見ることで自分の中で無意識のうちに蓄積したものがあるので、それが今、演じる幅みたいなものにつながっているのかなと思います。