奨学金の利子(利率)はどれくらい? 借りる前に確認しておこう

学生の窓口編集部

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学生に対して「金銭の給付や貸与」を行う奨学金。返済不要の「給付型」奨学金も始まっていますが、後に返済しなければならない「貸与型」の方を検討されている方も多いことでしょう。

特に利子をつけて返済するタイプは、金利が一体何パーセントになるのか気になるところ。そこで今回は、奨学金の利子や利率を調査するとともに、月々の返還額についても計算してみました。

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奨学金で利子がかかるのは「第二種奨学金」

奨学金には大きく分けて「給付型」と「貸与型」の二つのタイプがあります。

・給付型:返済する必要なし
・貸与型:返済する必要あり

「給付型」の方はそもそも返済自体が不要ですので、利子とも無関係ということになります。ここからは「貸与型」について見ていきます。

代表的な奨学金である『独立行政法人 日本学生支援機構』(以下、JASSO)の奨学金では、国内向け「貸与型奨学金」として以下の2種類を設けています。

*JASSOの貸与型奨学金*

・第一種奨学金:無利子
・第二種奨学金:利子がつく

つまりJASSOの奨学金で金利をチェックすべきなのは「第二種奨学金」ということになります。

奨学金の利子(利率)はどうやって決まる?

利子ありの第二種奨学金では、奨学金の利用を申請する際に利率の算定方法を選択します。利率の算定方法は以下の2種類です。

1.「利率固定方式」

貸与終了時に決定した利率を返還完了まで適用。将来、市場金利が上昇した場合も、返還利率は変動しません。一方、市場金利が下降した場合も、返還利率が下がることはありません。

2.「利率見直し方式」

返還期間中、おおむね5年ごとに見直された利率が適用されます。将来、市場金利が上昇した場合は貸与終了時の利率より高い利率が適用されます。一方、市場金利が下降した場合は、貸与終了時の利率より低い利率が適用されます。

簡単にまとめると、「利率固定方式」は貸与が終了した月の利率が採用され、その利率は奨学金の返済が終わるまで変わることはありません。一方の「利率見直し方式」は、およそ5年ごとに利率の見直しが行われ、市場金利次第で利率が高くなったり低くなったりするものです。

奨学金の実際の利率はどれくらい?

奨学金の利率はどれくらい?

では、実際の利率はどのくらいなのでしょうか。過去4年間のJASSO第二種奨学金の利率は、以下のようになっています。

※記事執筆時2024年1月現在

利率固定方式(年利%)

・基本月額分の利率です。(増額部分別途)
・貸与終了月の利率が適用されます。

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
4月 0.157
0.268
0.468
0.737
5月 0.160
0.268
0.437
0.637
6月 0.163
0.268
0.537
0.537
7月 0.233
0.161
0.437
0.637
8月 0.267
0.164
0.468
0.905
9月 0.163
0.268
0.605
0.937
10月 0.233
0.268
0.705
1.105
11月 0.163
0.268
0.605
1.005
12月 0.157
0.268
0.737
0.905
1月 0.233
0.268
0.805
-
2月 0.268
0.369
0.905 -
3月 0.268
0.369
0.905
-

利率見直し方式(年利%)

・基本月額分の利率です。(増額部分別途)
・貸与終了月の利率からスタートします。


2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
4月 0.003
0.003
0.020
0.200
5月 0.003
0.003
0.008
0.168
6月 0.005
0.003
0.040
0.050
7月 0.003
0.002
0.009
0.090
8月 0.003
0.002
0.030
0.300
9月 0.002
0.003
0.077
0.300
10月 0.003
0.004
0.200
0.400
11月 0.002
0.004
0.077
0.400
12月 0.002
0.002
0.300
0.300
1月 0.002
0.006
0.200
-
2月 0.004
0.040
0.300
-
3月 0.004
0.040
0.300
-

例えば利率固定方式を選んでいて2022年度3月に貸与終了した場合は、利率0.905%が適用され、返還終了までこの利率となります。利率見直し方式で同じく2022年度3月に貸与終了した場合は、利率0.300%となりますが、およそ5年で見直しが行われます。

※いずれの方式も利率は年3%が上限、在学中および返還期限猶予中は無利子

月々の返還額をシミュレーションで計算

続いて実際の返還額がどれくらいになるか計算してみましょう。毎月5万円の貸与型奨学金を4年間(48カ月間)利用したとして、貸与総額は240万円。この240万円を15年間毎月引き落としの月賦返還で返済すると仮定します。

⇒JASSOの奨学金貸与・返還シミュレーションによる計算

利率0.905%の場合

「利率固定方式」を採用したとして、2022年度3月貸与終了時の利率0.905%を使ってシミュレーションしてみましょう。

貸与総額 240万円
貸与利率 0.905%
返還期間 15年
(返還回数180回)
月賦返還額 14,322円/月
(最終月のみ14,415円)
返還総額 2,578,053円

このように、実際に貸与された金額に比べて17万円程度を利子として余分に返済することになります。

ちなみに今回は月々の支払いのみで計算していますが、半年ごとの支払い(ボーナス払い)と併用することも可。ボーナス払いを併用すると、月々の負担をもう少し軽くすることができます。

利率0.3%の場合

次に「利率見直し方式」の直近の金利を参考に、同じ条件で計算してみましょう。利率見直し方式の2022年度3月貸与終了時の利率は0.300%です。

貸与総額 240万円
貸与利率 0.300%
返還期間 15年
(返還回数180回)
月賦返還額 13,656円/月
(最終月のみ13,723円)
返還総額 2,458,147円

こちらの金利負担は5〜6万円程度。先ほどの「利率固定方式」よりも金利負担が軽減されていることが分かります。ただし「利率見直し方式」の場合は5年後以降の利率が読めないため、少し難しい部分もあります。

どちらの方式にするかは保護者や周囲にもよく相談し、納得した上で選ぶようにしましょう。近年の動向としては、過去4年間の金利表からも分かるように、金利は上昇傾向にあります。

5年後に上がっているリスクを考えると、固定方式の方が安全性は高いかもしれません。

一方で利率固定方式と利率見直し方式の金利を比較すると2022年3月金利では
年利0.6%の差があります。返済期間や返済余力、保護者の方からの援助など返済計画を立て金利上昇リスクに対応できる状態を作ることが出来れば、利率見直し方式の低金利メリットを享受し返済金額を抑えることも選択肢の一つです。

参考:JASSO以外の奨学金

ここまでお伝えしてきたJASSOの奨学金とは、国の教育事業として実施されている「公的な奨学金」。まず第一にこちらを検討されるのがオススメです。

ですが、他の制度とも見比べてみたい、ダブルで申請したいといったこともあるかもしれません。参考としてJASSO以外の奨学金について、何点か挙げておきます。

大学などが独自で設ける奨学金

それぞれの大学等が独自で設けている奨学金。その制度内容はさまざまで、必ずしも全ての大学等にあるとは限りません。あらかじめ公式ホームページで概要を確認しておくと良いでしょう。

また、私立大学だけではなく国公立大学にも制度がある場合もあります。一般的に返済不要の給付型のことが多く、成績優秀等、優れた業績をおさめた学生のための奨学金や、経済的困窮により学業継続が困難な学生のための経済支援の奨学金など受給に対して一定の条件があることが多いです。在学中に家庭の事情で学費の支払いが困難になった場合、学費免除や後期からの奨学金制度の利用もできます。万が一の場合活用を検討しましょう。

<例>法政大学「法政大学独自の奨学金」

東京大学「東京大学独自の奨学金」

新聞奨学金

新聞配達や集金などの実務をこなすことで、お給料と奨学金の両方が支給される制度。住み込みで仕事をして生活費を稼ぎつつ、奨学金も得られるのがメリットです。朝日奨学会・毎日育英会・読売育英奨学会・産経新聞奨学会・日経育英奨学会など、各新聞社にあります。

<例>産経新聞奨学会

日本政策金融公庫の教育一般貸付

これは正確には奨学金ではなく、「国の教育ローン」です。申し込みは学生本人ではなく保護者の方になりますが、公的制度なので安心感は高いです。

大学・専門学校といった「学校法人」に当てはまらない、いわゆる専門校やスクールにも幅広く対応しているのがポイント。

<公式HP>日本政策金融公庫「教育一般貸付」

まとめ

今回は、奨学金の金利についてまとめました。「利用してみようかな…?」と思われる方は、事前にJASSOのHPで返還シミュレーションをしてみるのがオススメです。総額でいくらになるのか、また月々の返済額はどのくらいかを把握することができます。

もちろん奨学金を利用するには審査がありますので、採用基準についても事前によく確認しておくようにしましょう。

【監修】久保 雅巳(FP Office株式会社)

新卒でコンビニエンスストア本部に就職後、生命保険会社FP事業部に転職。 電力会社、スーパーマーケットなど様々な企業のお金の相談室にて相談、社員研修を担当。さらに幅広く専門的アドバイスを行い、お客様の人生に寄り添う為に独立系FPに転身。モットーは「知らないことで損をさせない・お金のことで後悔させない・不安にさせない」。

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