国内外のさまざまな社会課題の解決に向けて、自ら行う災害支援等の活動やNPOへの助成事業を展開している日本財団。今回はそんな日本財団で総務部 総務チームのリーダーとして、職員の働く環境づくりに取り組む田代さんにお話を伺いました。現職に就く前に経験された、助成事業の最前線での忘れられないエピソードから、学生時代に力を入れたことまで、就活や将来を考える上での考え方のヒントが満載です。

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今のお仕事はどんな内容？

総務チームで、人事や給与関係、社会保険関係などに関する業務に携わっています。総務部に来るまでには、国内の各種助成事業やファンドレイジング業務などに携わりました。総務部に異動してからはまだ1年4カ月ほどですが、今は各部門の職員が存分に能力を発揮できるような、働く環境や仕組みを整えることを目指して日々業務に取り組んでいます。

日本財団は公的な資金が財源になっているので、一人ひとりがモラルを持ち、事業を進めるプロセスや結果の透明性を確保しながら仕事を進めなければなりません。 一方、民間組織として新しい社会課題を見つけて解決を促進する仕事なので、慣習や常識にとらわれない柔軟な発想力も必要です。行政や企業ではアプローチしづらい社会課題に対して、公的な面を持ちながらも民間非営利団体という立場から支援に注力できるのが日本財団の特徴。企業のようにビジネス目的で利益を追求する必要はないですが、逆に言えば、「会社のためにお金を稼ぐこと」以外で何を自分のエンジンにするかが問われます。さまざまな社会課題の解決に向けてモチベーションを保ち続けることは難しくも、おもしろいです。また、社会課題の解決というのは明確な終わりがない事業なので、「どう指標やゴールを設定するか」も難しい面と言えますね。

一番楽しかった＆つらかった仕事は？

入社1年目に、犯罪被害者の支援事業の助成を担当しました。社会では多くの犯罪が起きており、その数だけ被害者がいるのはよく考えれば当たり前のことなのですが、それまで深く意識してこなかった世界に触れたことで、大きな衝撃を受けました。犯罪自体はニュースになっても、被害者が置かれた状況についてはあまり知られていませんよね。近年は少しずつ変わってきたと感じますが。

また、当時は犯罪被害者等基本法が施行されたばかりで（※2005年4月施行）、それ以前は公には被害者の権利が認められていませんでした。加害者と比しても被害者にはほぼ支援がないに等しい状況でした。弁護士も加害者と異なり、自費で自分たちで確保する必要があるのです。

そんな状況のなか、この助成事業を通して、ボランティアで被害者を支える志ある人たちにたくさん出会いました。支援する相手は、殺人事件や性犯罪などの深刻な犯罪に巻き込まれた被害者やその家族になるため、少し想像するだけでも大変な仕事です。普通ならお金をもらってもなかなかやれないことに、ボランティアベースで取り組んでいる人々や団体の姿に驚きました。その姿を見て「自分が、この世界に入ってきてよかったのだろうか？」と自問したほどです。しかし、社会には、世間の目には見えづらいところで困っている人や見過ごせない社会問題がたくさん存在します。まずはそのような社会課題があるという事実と、陰ながらその解決のために奮闘している人たちがいることを人々に、特に子どもたちに伝えていきたいという、自らの使命を見つめなおす貴重な機会となりました。

今の会社を選んだ理由は？

志望業界としては教育機関やNGO、子どもや教育に関わる分野のマスコミを選んで受けていました。なかでも日本財団を選んだ理由は、社会課題解決の最前線で仕事ができる組織だと思ったことと、子どもの問題に対して広く深くアプローチできるのではと考えたことからです。なんらかの形で子どもに関わる仕事がしたいと考えていたので、条件よりも、自分の心が惹かれるか、を大切に志望しました。