濱崎さんのガクチカ（学生時代一番力を入れていた活動）は？

▲学生時代の濱崎さん(下段右から3番目)

私は大学時代に「日本・イスラエル・パレスチナ学生会議」というイスラエル・パレスチナ問題を軸に当事者が対話することを目的とした団体に所属していました。イスラエルとパレスチナの学生は現地で話し合うことができないので、日本で合宿のようなかたちで寝食をともにして、毎年、まず会って、話をする場を設けてきました。

ある町の廃校を借りて共同生活をした年には、食事は朝昼晩とみんなで自炊をしていました。でもイスラエルの学生もパレスチナの学生も宗教的に食べられないものがあるので、買い出しひとつをとっても大変でした。学生ですからお金がない中で、どうやってみんなで食べられるものを準備するか、とても苦労しました。 また、パレスチナの人たちは特に経済的に余裕がないので、彼らに参加費（日本に来る交通費や滞在中の生活費）を全額拠出してほしいとはとても言えません。だからと言ってイスラエルの人にだけ参加費全額を出してほしいとも言えませんし、日本人だけが出すのも無理がある。資金を賄うためのドナー集めや、飛行機のチケットの手配、会議の進め方など、さまざまなことを企業や支援組織、様々な人たちにサポートしてもらいつつ、学生同士で議論し、時には意見をぶつからせながら共同生活をしていました。合宿前には隣の席に座ることさえ嫌がっていた人たちが、日本人学生も含め、「keep in touch！」と泣きながら再会を誓う姿は、毎年のことではありますが、今思い出しても胸が熱くなります。

仕事で役立っている大学時代の経験は？

役立った経験はひとつではなくて、団体での活動や大学での勉強なども含めて、やりたいことを全部やったことですね。 私は学生時代（特に後半）、1週間のうち平日に2日間、できるだけ「お休みの日」を設けると決めていました。その2日間は基本的に大学の授業もバイトも、友達との約束も入れないで、自分がやりたいことをやるんです。たとえば、私は紅茶が大好きなので、吉祥寺のカフェに行って紅茶を飲んだり、好きな紅茶の茶葉を探しに行ったり。もちろん、宿題がたまっていれば宿題をすることもありましたが（笑）。やりたいことをやっていると、自然と「やらなくてはいけないこと」が出てきます。でも、それに追われていると、自分が本当になにをしたかったのかわからなくなるし、疲れてしまって次のステップに移れなくなってしまいます。だから、無理にでも休む時間を作っていました。

今でも、仕事はしっかりやりたいし、夫と楽しくコミュニケーションをとりたいし、子育てもしたい、友達と過ごす時間もほしい……たくさんやりたいことがあります。それらを実現する一番下にある土台は、「自分を大事にする」ということだと思うんです。それは自分を甘やかすということではなくて、ちゃんと食べて、寝て、心身を休ませるということ。それができて初めて、いいアウトプットが出せるんじゃないでしょうか。学生時代にそうやって好きなことに没頭できたことは、今も考え方として役に立っているんじゃないかと思います。

就活前にやっておいたほうがいいことは？

就活のためだけではないですが、「すてきだな」と思う人がいたら、躊躇せずに近づいていくといいと思います。直接その人となにかを成し遂げることができなくても、その人をすてきだと思ったこと、これを真似しようと思ったことって、自分になにかしら蓄積されていって、そのうち花開くことが多いと思います。だから、積極的に関わってみたらいいんじゃないでしょうか。

濱崎さんは、結婚・出産を経験した今、大切にしたい存在が増えたからこそ、総務部というバックヤードで自分になにができるか、どうやったら仲間を支えることができるかをより考えるようになったといいます。常に自分にできることに全力でぶつかっていく濱崎さんの熱意と、そんな濱崎さんが生き生きと働ける日本財団の魅力が伝わってくるインタビューでした。

文：イマーゴ
写真：ブリッジ
取材協力：公益財団法人日本財団